第5話「募る想いⅡ」
静香の気持ちが、最近ますます強くなってきたように感じます・・・
ひんぱんに電話かかってくるんです。
それもたいした用じゃないのに。
今日、優香と智恵がああだったこうだったって
報告みたいなもんです。
最初はさ、
「ちっ、もうそんなことどうでもいいんだよ。」
そう思ってました。
仕事から帰ってきてね、俺もゆっくりもしたいわけよ。
それを中学生の戯言に1時間も2時間も付き合わされて、
って思ってました。
でもね、最近やばいんです・・・
何がやばいかって・・・
静香から電話を
心待ちしてる自分が!!
(;゚Д゚)
やっぱりね、向こうからとんで来るわけですよ・・・
強烈な強烈な・・・
先生好き好き
ビ~ムが !!
本当にもの凄いんです・・・
確かに嬉しいんだけど、なんか戸惑っちゃいます。
「先生、今日の授業分かりやすかったよ。
証明苦手だったけどね、だいぶできるようになったもん。」
「そりゃ良かった。
パターンさえ覚えちゃえばあとは楽勝だからね。」
「やっぱ先生って凄いね。
先生に教えてもらえて良かったぁ♪」
「え? そ、そうか?
いや参っちゃうなぁ。ははは。」
「先生、照れてるぅ。ふふふ。」
なんか中学生に…
手のひらで踊らされてる
気がするのは俺の気のせいでしょうか・・・
まあ、結局ね、いつもいつも喋ってたら、
すごく静香のことが可愛く思えてきたわけで。
でもね、こんな可愛い会話だけじゃないんです。
俺が困るようなことも言うわけでして・・・
「先生、最近よくかまってる生徒いるでしょ?
多分中2じゃないかと思うんだけど。」
俺のお気に入りの中2の女の子のことを指してマス(汗)
静香も可愛いんだけど、中2の女の子はレベルが違うんです。
いつ芸能人からスカウトされてもおかしくないっていうほど、
メチャクチャ可愛いんです。
生徒はもちろん、先生たちの間でも評判で、
誰があの子をおとすか面倒をみるのか、
酒の席でもいつも言い争っていたほどです。
実は俺はこの子の担任であることを利用して、
こっそり抜け駆けして…
静香以上に面倒を見てたのデス・・・
ドキッ(;゚Д゚)
お、落ち着け。中2と中3は曜日が違うんだから大丈夫・・・
「優香が自習に来たときに
先生がふたりっきりで教えてたの見たって。」
あのボケナス!!
お前はチクリババァか!!
(;゚皿゚)
「あのな、俺は先生なんだから、
誰にだって教えるの。気にしすぎ。」
「そりゃそうだろうけど・・・。でもなぁ・・・。」
「な、なんだよ。でもなんだよ・・・。」
「でも・・・
すっごく可愛い子なんでしょ?」
静香ちゃ~ん、
言い方にかなり毒が
あるんですけど(汗)
あ~ん、怖いよ、女の子は。
中学生でも立派に嫉妬してるもん。
とりあえず言い訳しとかなくっちゃ。
「それは、おもしろ可笑しく言ってるだけだって。
優香にからかわれてるの。
じゃ、聞くけど静香はさ、
先生が他の女の子を特別扱いしてるって思ってるの?」
「え・・・。ううん、思ってないよ。
ただ、ただちょっと気になって。
ごめんなさい、先生。怒った?」
「ううん、全然。別に怒ることでもないし。」
ウソついてホッとさせてあげるのも先生の役目です。
うんうん。受験生に余計な心配事を増やしちゃいけませんから。
それにしてもさ、仕事がやりずらくなったなぁ。
これじゃ、安心して生徒の髪をなでたりとかできないじゃんか。
まったく誰に見られているか分かったもんじゃないっす。
まあ、そんなことよりもさ、
昨日、電話の切り際にね、静香がぽろっと言ったのね。
「今度、家でゆっくり勉強みてくれませんか?
塾よりおちついてできると思うし。」
え・・・
おちついて
何ができるって?
ああ・・・
勉強に決まってるよね( ̄ー ̄)
ま、まあとりあえず、
がんばらなくっちゃいけませんね(何を)
これからは、受験生の為に先生が全力を尽くす季節です。
一緒にがんばろうね、静香ちゃん♪