一般的にブラッドスポーツと言われる競馬は
近親配合によりその強さを増すといいます。
奇跡の血量と言われる18.75%の血統支配率。
いわゆる「おお!○○の4×3ですか!!」ってやつからは
マックスビューティなど数々の名馬を生んでいます。
昨今、日本ではヘイルトゥリーズン系が幅を利かせ
ヘイロー・ロベルト2つの父を祖とする馬たちで
溢れかえっているといっても過言ではありません。
欧州や米国ではなかったことで、
かなり特異な血統文化を歩んでいる日本ですが
栄華を極めたノーザンテースト系統の種牡馬は
アンバーシャダイ、メジロライアンの系譜を残して種付け数は激減。
ダイナガリバーやギャロップダイナの産駒は
めっきり見なくなってしまい、
かろうじてアスワンやロングニュートリノが勝ち鞍を挙げる程度です。
隆盛と衰退を繰り返す中で
サンデーサイレンス系が果たしてオールマイティなのか
血という観点から見てみたいと思います。
まずは父サンデーより
◎サンデーサイレンス×ブライアンズタイム
ヘイロー代表のSSにロベルト代表のBTがつけられて
ザ・アメリカといった血統ではありますが、
成功例が少ないためか登録されたのはわずかに12頭。
内、オープンクラスまで上り詰めたのは
サンライズペガサスとマンデームスメだけです。
全体的に体質の弱さが目立ち、
ファレノプシスの仔・スパンゴールドは
満足にレースを使うことすら出来ませんでした。
他の例:サンデーストリーム、チョウカイフライト、オースミナナなど
◎サンデーサイレンス×リアルシャダイ
ブライアンズタイムより頭数が多く、
登録されたのは全部で28頭。
重賞勝ち馬も4頭輩出しています。
ただ、総じて奥深さと言う物に欠け、
スランプに陥ると長い馬が多いように見受けられます。
重賞勝ち馬4頭のうち、2勝以上したのは
ペインテドブラックのみであとの馬はほとんど尻すぼみ状態。
ジリジリとした切れない脚に加え
慢性的な勝負弱さと燃え尽き症候群ともいえるような
スランプから脱出できないもどかしさ、
さらに母父BT同様に体質的な弱さもあり、
なかなか「大物」というイメージはわいてきません。
他の例:フサイチランハート、フューチャサンデー、ギミーシェルター
逆にBMSサンデーの場合はどうでしょう?
◎ブライアンズタイム×サンデーサイレンス
産駒総数は27頭ですが
目立つのはワイルドワンダーのみで
勝ちあがった馬自体が少なくみえます。
期待度の割にはズブズブと伸びない馬が多く、
フサイチギャロップやシュウマノチカラなどは
一頓挫あって出遅れて立て直しきれなかった
と言う馬の典型のようにもみえます。
◎タイキシャトル×サンデーサイレンス
スピード×スピードという配合。
基本的にこの血統はヘイローの3×3となるため
体質的な弱さがあるものの、
現役2頭はともに勝ちあがり、
ウイングレットは秋華賞3着とGⅠ戦線でも活躍しています。
今後増えてくる配合かと思われますが、
いかんせん近親配合である点から
体質虚弱がネックになってきそうです。
◎マヤノトップガン×サンデーサイレンス
ナリタブライアン亡き今、
実質的なブライアンズタイムの後継種牡馬一番手
ともいえるマヤノトップガン。
こちらも産駒自体が少なく、現役6頭しかいませんが
その中でプリサイスマシーンが
高松宮記念4着、南部杯2着と芝砂問わない活躍。
ワキノカイザーも条件戦で堅実に走っています。
大物感は無いが堅実さはウリというのが
産駒の特徴でブラッシンググルームの
柔軟性が上手く出ているのかもしれません。
◎グラスワンダー×サンデーサイレンス
サクラメガワンダーの活躍で一見成功例には見えるものの
基本的にはこの馬だけでデビューしていない馬も多くいます。
まだまだモデルケースが少なく傾向は読めませんが
もともとグラスワンダー産駒自体、母系のダンジグの
影響からか気性的に当てにしづらいところもあって
少なからずその影響があるのではないかとも思います。
全体的に走っていない印象もあり、
加えてGⅠを勝つ配合でもないと言うところが伺えます。
また、体質的な弱さは慢性的なもので、
プリサイスマシーンのように順調に使える馬は少なく
どこかで大きな故障をしているのも特徴と言えます。
サンデー種牡馬編はまた次回