アルゼンチン大統領選挙のニュースがありました。

自国通貨ペソをドルに置き換え、そのため不要な中央銀行を廃止、

国家資産をすべて売却、臓器を売買する市場の創設、

銃などの武器の携帯の自由化などめまいがしそうな過激な公約を掲げる

ハビエル・ミレイ氏についてです。

公約もさることながら、同氏が飼っている犬5匹がすべてクローン犬

ということがまた驚きでした。

 

政策より飼い犬の方に関心があるというのはいかがなものか、

とは思いますがお許しください。

 

クローン羊の「ドリー」が誕生してから25年以上たち、

研究は進んでいるのだろうなと思っていましたが、

まさかペットのクローン作りが商用化されているとは知りませんでした。

同氏のクローン犬はアメリカの会社で生まれたとのことですが、

韓国、中国にも同様サービスをする会社があるそうです。

 

 

科学技術庁HPより

クローン犬の作り方は、基本的には体細胞核移植法という技術を用いています。

これは、ドナーとなる犬(コピーを作りたい犬)

の体細胞(皮膚などの細胞)を採取して培養。

 

 

その細胞から核を取り出す。

 

別のメス犬の卵子から核を除去した受容卵子にドナー犬から取り出した核を移植。

 

その後、電気刺激などで受容卵子を活性化し、分裂を促す。

 

分裂した受容卵子を代理母となる犬の子宮に移植。

 

ドナーとなる犬と遺伝的に同一のクローン犬が誕生。


 

気になる費用ですがクローン犬で5万ドル(750万円)

クローン猫で3.5万ドル(525万円)

(中国シナジー社)

 

とかなり高額で一般の飼い主にとってはおいそれと払える額ではありません。


 

クローン技術は、犬だけでなく他の大型哺乳類にも応用されています。

例えば、牛や豚、馬やヤギなどの家畜がクローンされています。

また、絶滅危惧種や絶滅した動物の復活も考えられます。

 

ペットのクローン化は飼い主とペットの情緒的な問題が主ですが、

 

畜産や、特殊な用途例えば警察犬などへの応用は経済的な要請の方が強く、

倫理的なハードルが低いように思えます。

なのでこうした利用が広がってくると、

心理的な障壁が下がって、この技術を進める正義が現れるような気がします。

 

 

 

 

 

アポロ11号が月に初めて着陸したとき神様の罰が当たる

といっていたお年寄りがいたと聞きました。

バチとは言わないまでも、「何用あって月世界へ。月は眺めるものである」

と書いたコラムニストもいました。

でも大半の人は科学の進歩バンザイのように感じていたはずです。

 

今クローン犬になんとなく感じる危惧は、

論理的な言い方をすれば、遺伝的多様性の低下や生態系への影響、

卵子を提供や代理母のリスク・・・などとなるのでしょう。

 

それ以上にどこか罰当たりな行為のように思えるのは、

月は眺めるものだといったコラムニストのように、

自分が、歳をとったからなでしょうか。