宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が

小惑星の「りゅうぐう」から地球へ持ち帰ったサンプルの砂から、

生命の源となるたんぱく質の材料になるアミノ酸が

見つかったことが6日、分かった。

アミノ酸を地球以外で確認するのは初めて。

生命の起源の謎に迫る研究成果で、近く論文で公開される見通しだ。

 

以上のような報道がありました。

 

鉱物や金属やガスなどからどうやって生命が生まれたのか、

そこまではわからないものの、

地球の生物のおおもとが地元の地球産なのか外来産なのか、

そういう議論に新しい証拠が出てきたということでしょう。


 

生命のおおもと外来説は「パンスペルミア説」、「宇宙播種説」

などと呼ばれ、生命の材料となる物質が 隕石(いんせき)

 などで運ばれて地球に降り注いだとされています。


 

これまで、地球に落下した隕石から、

アミノ酸が検出された例はありましたが、

地球上で混入した可能性も指摘されていました。

 

今回の「はやぶさ2」が持ち帰った試料は、

地球の大気に触れることなく調べられたとのことなので

外来説が見直されそうです。


 

ではその隕石はどこから来たのか、どうやら火星らしいとのこと。

火星隕石は、火星に噴出したマグマが冷え固まって誕生した岩石です。

別の小天体の衝突で、火星から岩石が宇宙に放り出され、

長い間宇宙空間を放浪したのち、

その欠片がたまたま地球に到着したというのです。


 

でも隕石が地球の大気圏に突入したとき、

高温で生命の材料物質など黒こげになるのではとも思えるのですが、

以外にも内部は40度を超えることがないそうで、

これで無事、地球に着陸出来るとのこと。


 

宇宙由来といってもご近所の太陽系や離れた銀河から、

というのではなさそうです。

となれば、地球起源説が火星に置き代わった だけです。

深海の熱水噴出孔から吹き出す元素から、

最初の生命が生まれたという「熱水噴出孔説」。

水が凍結してアミノ酸などの分子が濃縮されることで、

最初の生命の誕生が促されたとする「氷結説?」。

舞台を地球から火星に移しただけで同じ議論が出てくることでしょう。


 

コペルニクスが地動説を唱えるまでは、

地球が宇宙の中心とする天動説が正しいとされてきましたが、

観測データが集まり、地動説の正しさが証明されていった歴史があります。

 

結局、地球は宇宙の中心という地位からすべり落ち、

他の惑星と同列になりました。


 

それでも生命を生んだ星という特別な地位は持ち続けましたが、

今回の発見でひょとしたら生命が生まれた星ではなく、

ただの畑であるフツーの星となるのかもしれません。




 

これまでの話とは別に、生命の起源に関しては全宇宙の長い歴史の中で、

ただ一回の偶然によって生まれたとする考えもあるようです。

生命ができるのに必要な酵素を作るための

アミノ酸の配列が偶然できる確率は、1040,000分の1(10の4万乗分の一)だそうで、

たとえるなら

「廃材置き場の上を竜巻が通過した後で、ボーイング747ジェット機が

出来上がっているのと同じような確率。」だそうです。

 

この考え方をとるなら、地球は少なくとも

アミノ酸をもとにした生命が繁栄している、

広い宇宙で「特別なオンリーワン」な星だということになります。

 

感傷的ですが、センターやオンリーワンでなくともよいですから、

心優しいご近所宇宙人さんがいてくれる方が、はるかに喜ばしいように

思います。