今年もアユのシーズンがやってきました。

私のグループは10年以上、

伊豆の川に解禁の週末に出かけることにしていますが、

最近は余りよい思いをしたことがありません。

 

それでも、お祭りだからとお誘いいただくので、

お付き合いさせていただいています。

例年宿に入る前、近くの橋の上から川をのぞくのですが、

今年は全くアユが苔をはんでいる姿が見えません。

 

アユはやすりのような口で石についている苔を

削り取って食べるのですが

その時、体を横にしたりくねらせたりするので、

遠目にも、体の横の白い部分がキラッとひかるのがわかります。

 

最初は少し見えづらくとも、アユのつきそうな石をしばらく見ていると、

そのキラッがみえてきます。

それがいつまで見ていても、一向に見えてきません

不安を抱えながらも、上流に期待することにして宿に入りました。

 

翌朝は、6時過ぎに起床、

道具も持たずに散歩兼様子見に出かけました。

案の定どこでもほとんど釣れていません。

宿で朝食を食べながら仲間の意見が一致したのは、ここでは竿を出さない、

帰りにほかの川でやってみようと言ことになりました。

ということで、この川での釣果はまさかのゼロ。

私は、比較的良かったとされる相模川に転戦し、

何とか二桁のアユにお目にかかれました。

 

鮎研究者の方の話では今年は太平洋側の川への遡上が少なく、

去年不調だった日本海側の遡上が良好とのこと。

 

そういえば多摩川も相模川も昨年の十分の一位の遡上量のようでした。

 

このグラフはアユの漁獲量と放流量を一つにまとめたものですが、

放流量をいくら増やしても漁獲量が年々減り続けていることがわかります。

 


シンポジウム「天然アユを取り戻すために今できること」高橋勇夫氏提供

 

 

私と同世代以上の方は、若いころの6月1日の夕刊には、

川が釣り人と竿で埋め尽くされている解禁風景が

載っていたのをご記憶かと思いますが、

最近はほとんど見ません。

 

調べてみると1970年代までは解禁風景が新聞に載っていましたが、

1980年以降はほとんどありません。

 

同じ理由か、小田急線には5月31日の夜「あゆ号」という、

解禁に合わせた臨時列車が新宿から箱根まで走っていたそうですが、

これも同じくらいの時期に取りやめになっています。

 

釣り方も肩を寄せ合うようにしても釣れる毛バリ釣りから、

隣の人と、最低でも10メートル程度の間隔をとらねばならない、

友釣りにシフトしました。

写真で見るインパクトが少なくなったこともあると思います。

 

何より、海から上がってくるアユの絶対数が大きく減って、

普通の釣り人はアユ釣りをしなくなったのだと思います。

 

年々アユの数が減ってゆくような感じは寂しい限りですが、

産卵場を整備したり、水質の改善で、遡上が回復するという話も聞いています。

これからは、釣るだけではなく、増やすことに何かお手伝いをせねばと、

改めて考えさせられた解禁でした。