同業者や同じ職場、団体だけに通じる言葉があります。
これはどんな組織にもあることだと思います。
私たちが一番耳にするものは、刑事ドラマの警察官同士の会話でしょうか。
ガイシャ(被害者)、デカ(刑事)、ホシ(犯人「犯人の目星」から)、
ヤマ(事件)、ガサ入れ(家宅捜索)などはよく聞きます。
飲食店などではお客様の前では不快な思いをさせないように、
工夫された意思疎通の言葉が有名です。
昔からのものではムラサキ(醤油)おてもと(箸)、あがり(お茶)
などは私などでも承知しているものです。
ファミレスなどで使われているのは、
バッシング(テーブルの上の使い終わった食器などを下げること)、
ダスター(テーブルなどを拭く布巾)、
シルバー(一般にはカトラリーと呼ばれているナイフ、フォークスプーンなど)
などがあるそうです。
トイレなどは最も隠すべきもので、職場ごとに符丁があるのではと思うほどです。
登山をする方の「雉うち」だの「お花摘み」だのは聞いたことがありますが、
職場によって、「4番」、「ニノジ」、「横浜」、「レコーデイング」などなどがあるそうです。
ある外資系の会社では、メンバーをイニシャルで表現しているのだそうで、
例えば、鈴木一郎さんは、I・Sと呼ばれ、
「I・Sはいまコメットです」のような使われ方をしていると聞いたことがあります。
こんなことを書いたのは、最近親戚の家に遊びに行ったとき、
そこの娘さんが面白いことを言っていたのが印象的だったからです。
彼女は、仏教系の高校に通っていて、バトン部に所属しているそうです。
ダンスでもバトントワリングでもそして、武道などでも同じでしょうが、
基本の動作、型があり、最初はこれを何度も繰り返し、
頭で考えることなしに体が勝手に動くようになるまで練習するのだと思います。
当然それぞれの型には名前があり、人前でそれを披露するときは型の組み立てを考え、
型Aから型B、型Cヘなど仲間内であれこれ考えるのでしょう。
面白いと思ったのは、バトンのそれぞれの基本型の名前が仏教系の学校らしく、
毎日唱えている言葉、四弘誓願門(しぐせいがんもんと読むらしい)、
や三帰衣文(さんきえもん)、五観の偈(ごかんのげ)などを使っているらしいのです。
例えば、演技を組み立てるときは、五観の偈から入って、四弘誓願門につないで、
三帰衣文に流れてゆく、などと打ち合わせをするのだそうです。
バトントワリングなどは、多分アメリカから来たものだと思います。
ですからそれぞれの型に多分英語名がついているはずですが、
それを無視して、ちいさな自分たちのサークル独自で命名するようになるくらいですから、
もっと広く、専門的であれば、いくらでも業界用語ができるわけだと、妙に納得したものでした。