前にも書きましたが、胃潰瘍からの出血で、お医者様から、
「アルコールはダメ」、栄養士さんからは「よく噛んで食べなさい」のご指示がありました。
消化器官から出血するというのは、私にとっては一大事です。
正直、大いにビビッて、律儀にこの言いつけを守っていたためか、
体に少し変化がありました。
変化が感じられたのはおなかのユルミ具合です。
元来おなかが余り丈夫なほうではなく、週に一度くらいの割で、
ユルイおなかになっていました。
若いころからのことで、外出先で苦しまないよう、冷たいものは控え、
ペットボトルなども常温のものを買う。
そういう風に注意していても、週一くらいの割で、そうなのです。
一日一度以上は必ず通じたうえですから、便秘などというものはどうやったらなるのか不思議に思っていたくらいでした。
ところが、それが違ってきました。
栄養士さんの「よく噛んで食べなさい」のご指示通り、
「食べ物は30回カミカミ運動」を始めて以来、
おなかが緩くなったのは一回だけです。
ネットなどで見ていると、便秘を直したいならよく噛んで食べなさい、
見たいなことが書いてあります。
どうやら、よく噛んで食べると便秘が治る人と、
反対に、おなかのゆるみが減るものがいるようです。
つまり、消化器官はよく噛んだ食物だけが、滞らず、緩まず通り過ぎてゆくようにできていると思われます。
そう考えると、私のおなかの具合の問題は、早食いにあったようです。
父親などはお茶碗のごはんをタテヨコ四つに分け、四回掻き込んで食べてしまうといっていました。
建築関係の人間だったのですが、現場などで何人かで食事の時は、最後に箸をつけ、最初に食べ終わって、先輩や職人さんの世話をした。
などという話を聞かされていたせいか、
「早飯早何とか芸のうち」のような感覚があり、
たいして噛まずに胃袋に流しこむ習慣がついていたようです。
おまけに歳を重ねて歯の噛み合わせが上等でなくなってくると、
ますます食べ物が原型に近い状態で、
胃腸に送りこまれるようになってきます。
多分、私の胃腸もだいぶお疲れが出てきているのでしょう。
歯がだめになったのは入れ歯で対応しました。
その食べ物をすりつぶせるようになった歯で、
食べ物をよおーく噛んで、胃袋に送り込んでやるようになったので、
消化器がうまく働く本来の状態になったのかもしれません。
ご飯粒は甘くなるまで、生野菜はシャリシャリ感がなくなるまで、
焼き魚も繊維感がなくなるまで、しっかり噛んでいます。
肉も柔らかいものや、ひき肉よりも、
ある程度の塊のほうがゆっくり味わえます。
大げさに言えば人生で初めてまともに意識して、
食べ物を口にしているかもしれません。
明日の朝食も、文字通り噛みしめていただくことにします。