新青森の新幹線には十分間に合うから、途中の五所川原で、

立佞武多を見てゆこうと、旅行の同行者が提案しました。

五人が2台のレンタカーに分乗しての帰り道です。

いろいろ熱心に大きさや、その迫力について力説されましたが、

まあそんなに勧めるなら、という程度でついてゆきました。

 

その館とやらの裏手にある駐車場に車を止めて表に回るように案内がありました。

裏から見ると、何やら倉庫のような窓一つない建物です。

同行者の説明ではこの建物は吹き抜けになっていて、

天井まで届く「ねぷた」が収まっていると。

 

それを聞いても、「ほんとか?」と眉に唾をつける真似をしたくなるほど、

多分高さが30m近くあるのではないかと思われる高い外壁でした。

 

 

入場料六百円を払い中に入りました。

まず目に飛び込んできたのは迫力満点のあのねぷた独特の顔で、

一瞬では全体が把握できません。

見上げれば、はるか高みにまで造形が続き、

下から上へ、上から下へと視線を何度も行き来させ、

やっと全体のスケール感がとらえられました。

 

「なんちゅう大きさ、高さだ」これがだれでも持つ感想だと思います。

 

シースルーのエレベーターに乗り、

立佞武多を間近に見ながら昇ってゆくのは、

巨大ロボットが登場するSF映画のようです。

 

 

4階で降りてもまだ佞武多のほうが高く、

「撮影位置はこちら」の案内看板があるところからカメラを構えても、全体が撮れません。

 

建物は吹き抜けになっており、3体の立佞武多が納められています。

この三体を囲むようにスロープになったらせん状の通路が、

一周で一階分降りるように設計されています。

この通路の一部が跳ね上げ式になっており、

佞武多が出入りできるようになっています。

 

紹介ビデオに続き係の女性の説明があり、高さは23m、重さは19t。

これを人力だけで移動させるとか。

特殊な和紙で防水加工となっているので雨でもビニールなど掛けなくとも、

運行ができるようになっているとか。

いくつかのパーツに分割されて制作し、組み上げられているとか。

一年に一体が制作され三年で引退だとか。つい聞き入ってしまいます。

 

 

説明を聞き終え、スロープ状の回廊を歩くと、

三体の佞武多を様々な角度から眺めることができます。

また壁には、昔の佞武多の設計図とか、歴代の佞武多、

制作過程など興味深い資料が展示されています。

 

一階に降りてもう一度、見上げると改めてその高さ、

大きさに圧倒されます。

やはり祭りの中心には、人の目をいやでも集めるような、

非日常的な華麗さ、巨大さ、にぎやかさ、を持ったものが必要なのだと感じさせられます。

 

人口5万ちょっとの決して大きくないこの町で、

このような巨大な造形を制作、運用していることを思うと、

住民の方の心意気を感じました。

 

8月4日からの立佞武多祭りだそうです。

町中をこの巨大な「ねぷた」が練り歩いている姿を、

ぜひ見に来なければと思いつつ、館を後にしました。