覚悟はしていましたが100万近い見積り額を見るとさすがに考えました。それでも仮の入れ歯(お試し入れ歯と呼んでいます)を使用しながら、歯の治療を進め、状態が変わっても院内の技工師さんが帰宅までに改修してくれるらしいので、「歯無し家」状態はないとのこと。ほぼ希望通りの計画でした。あとはその見積もりの金額が納得できるかどうかでした。


 

いろいろ周囲の話を聞くと、治療は保険でやっても入れ歯を作るのは保険外というケースが結構あって、結局私のもらった見積に近くなるようでした。それで、何とか金額に納得してあとはお金の算段に移りました。

 

ちょうど車の買い替えを考えていたのですが、もう一度車検を受けることにして、車代金を歯の治療に充てることにしました。

 

最近では、車に毎日乗ることも少なくなくなりましたが、歯は一日三度の食事に必ず使います。使用頻度と快適性から、車と歯を比較したら、歯に軍配が上がります。どちらかにお金をかけなければいけないのであれば、入れ歯をとります。


 

そう決心して、そこからやっとP歯科医院での治療が始まったのです。ここで治療の内容を事細かに書いても退屈でしょうし、私も忘れてしまいました。

まず最初は悪い歯、いずれ抜くことになっている歯を残したまま、「お試し」入れ歯を作りました。

 

上の歯は、オールプラスチックで、かなりに薄く作られていますので、上あごが一面覆われていても、わずかな違和感があるだけで、すぐ慣れました。

発音するにもほとんど抵抗がなく、会話も自然にできました。

また歯の上半分をカットして、切り株状態にしたものに金属をかぶせ、入れ歯側に磁石をつけて固定の度合いを上げました。

 

下の入れ歯も同じように薄く精密にできていますので、磁石と吸着でほとんどがたつきませんし、歯茎との間に細かなものが入って痛いということを感じたことがありません。

何より金属のバネがないので見た目がすっきりしていますので、「イーッ」と言ったり、大口開けて笑うにも抵抗がありません。

この「お試し」入れ歯を使いつつ、歯周病の治療を続けましたが、指導された中でなるほどと思ったのが、うがい薬イソジンの原液を歯ブラシに着け歯磨きをするというもの。ピンポイントには円錐形の形をした歯間ブラシを使って患部を消毒しました。これを続けることで、ほぼ歯茎からの出血はなくなりました。

 

そして何よりありがたかったのは、歯を抜いたり、カットしたりして、口の中の状態が変わっても、その状態での入れ歯に1時間くらい待っていれば調整してくれたことでした。

当然「お試し」入れ歯は補修跡だらけになりましたが、機能的には問題なく、快適な状態で帰宅でき、不具合を我慢することは皆無でした。

ただ、あまりにも快適になんでも噛めるようになったので、つい調子に乗って、厚い固焼きせんべいを思いきり噛んで、上の入れ歯を壊したのが一回。固いフランスパンをほおばりながら思いきり噛んで、下の入れ歯を一回。それぞれ割ってしまいました。それでも、早い時間であればその日のうちに、割れ目がわからないほどきれいに修理してもらいました。

それで、やってはいけない力のかけ方がなんとなくわかり、これも入れ歯利用のトレーニングだと理解しました。

 

お試し入れ歯を使用しつつ長い治療が終わって、本チャンの入れ歯が出来ました。フィット感も一段と良くなり、快適に過ごしています。

 

お手入れは夜寝る前に一度外して、軽くブラシで汚れを落とし、泡の出る洗浄剤に10分程度つけておきます。この間に、残った歯を丁寧に磨きます。

洗浄剤を洗い流して、お口にセット。そのままおやすみなさいです。

 

これなら団体旅行に行っても、夜の歯磨きを丁寧にしているくらいにしか思われず、入れ歯ケースを洗面台に置いておくこともないので、余計な気を遣うこともありません。

 

3か月に一度定期検査があるそうですが、この調子ならトラブルは起きそうもありません。何かあればまたご報告します。