最近ガスパチョがうまい。

といってもどこかのスペイン料理屋を見つけたわけではありません。

近くのスーパーで、一リットルのパック詰めになったものが

気に入ってたのです。

ポピュラーなスペイン料理です、

今まで何回かは食べているはずですが、あまり覚えがない。

というより野菜臭い液体という印象が残っています。

 

そのはずです、材料はトマト(生)、きゅうり、

たまねぎ、ピーマンまたはパプリカ

ニンニク、フランスパン、などに

水、ビネガー、オリーブオイル加えミキサーで粉砕攪拌し、

冷やして食べるのです。

飲むサラダとか冷製スープなどと言われるゆえんです。

 

 

 

同じような音でときどき聞くものにガス・パッ・チョというのがあります。

これはご存知、東京ガスのキャッチコピーで

「ガスで、パッと明るく、チョッといい未来」の省略形であり、

この料理と何の関係もない(はずです)。

 

確認したわけではありませんが、

東京ガスの料理教室では、火を使わないガスパチョは

教えないのではないか、などとつまらぬ想像をしています。

 

 

話が脇道にそれましたが、

いつもと同じ食べ物が、あるときおいしく、

ある時はそれほどでもなく感じます。

これは食べ物を受け付ける、からだのコンディションが

影響しているのではないかと思われます。

 

一番よくわかるのが、のどが渇いたときに飲むビールです。

異論もあるかもしれませんが、二杯目はそれほどの感激がありません。

 

また唐突ですが、よく「これまで食べた一番うまいものは何か」

などという質問があります。

あれこれあり即答ができませんが、

「いちばんうまい朝飯は」という問いならば自信をもって答えらます。

それは6月の最初の日曜日、

河津桜で有名な河津川のそばの民宿で出される朝飯です。

 

普段はパン一枚かご飯なら軽く一杯しか食べない私が、

口に入れるものすべてがおいしく三杯はお代りをするのです。

 

特別な料理かといえばそうではありません、

もちろん宿のご主人が丁寧に作ってくれたものには違いありませんが、

ちょっといい民宿のメニューです。

 

この日は河津川の鮎の解禁日で、

前日からここに泊まり前夜祭をやった我が鮎釣りグループは、

まだ薄暗い4時前に起きて8時の朝食まで川を歩き、

鮎の姿を追い求めるのです。

きれいな空気を吸いながら4時間も川をうろうろした後、

宿に戻っての食事です。

お察しの通り空腹が最高の調味料だという話です。

 

ただこのガスパチョは普段の朝食時に食べてもうまいのです。

ここで以前に読んだある実験の話を思い出しました。

ある栄養素を除いたエサを与え続けられたラットは、

複数のエサの中から不足した栄養素を多く含んだエサを

選択的に食べるというものです。

 

 

私も以前は食べなかった野菜の塊のようなものを、

積極的に食べるのですから、

ひょっとしたら何かの栄養素が不足しているのかもしれません。

ラットがそのエサをおいしいと感じて食べているかどうかは、

知る由もありませんが、

きっとそうに違いないと勝手に決めています。

 

以前何とも思わなかった食べ物が、

おいしく感じる理由の本当のところはよくわかりませんが、

うれしく、おいしく食べられるものが増えるのは、

まずはめでたいということにしましょう。