日本最東端の駅として親しまれたJR北海道根室本線の東根室駅(北海道根室市)が3月14日、最終日を迎えました。
全国各地の鉄道ファンや通学などで利用した地元住民らが両駅に集まり、廃駅を惜しみました。
地元高校生の通学の足として長く貢献したが、利用者数の回復が見込めないとして、JR北海道が3月15日のダイヤ改正に合わせて廃止を決めました。
東根室駅は1961年、最寄りの高校への通学駅として開設されました。
根室本線が根室駅まで到達したのが1921年だったので、それより40年後のことです。
東根室駅が開業してから、駅の周辺では根室市の主導で住宅開発が行われました。
根室本線は、根室~釧路間が花咲線の愛称で呼ばれます。
根室本線は東へ向かっているが、東根室駅付近で大きくカーブしているため、終点ではない同駅が最東端となっていました。
駅舎も屋根もない無人駅で、停車するのは1日わずか11本でした。
木製のプラットホームの傍らに「日本最東端の駅」と書かれた碑がたたずんでいました。
最終日のホームでは、根室市内の鉄道愛好家らでつくる「夢空間☆花咲線の会」が「ありがとう! 日本最東端の東根室駅」の横断幕を掲げて列車の発着を見守りました。
出発する列車に向かって「ありがとう」などと声を掛けました。
駅で降りた乗客には、リニューアルした「最東端駅到着証明書」や記念のポストカードが配られました。
往時は、近くの高校に通う生徒らが通学のために乗り合わせ、にぎわいをみせました。
2018~22年の平均利用者は、JR北海道が廃止の目安とする1日平均3人を上回る10.8人を数えたが、路線バスが整備され、役割を終えました。
もっとも、東根室駅は開業当初から普通列車でも一部が通過するような駅で、当初から地元住民の足としての役割を十分果たせていなかったと言えます。
東根室駅が廃止され、翌15日から最東端になった根室駅には、午前8時27分の始発列車に乗ろうと朝から大勢の鉄道ファンが訪れました。
15日朝、根室駅で始発列車の出発を前に記念の式典が行われ、JR北海道釧路支社の戸川達雄支社長が「花咲線は本当に景色の美しい路線で最東端となった根室駅は終着駅であり始発駅でもあるため、大勢の人に愛される駅になってほしい」と話しました。
そして「日本最東端 根室駅」と書かれた看板の除幕が行われ、地元の住民や全国から駆けつけた鉄道ファンが看板の前で記念写真を撮っていました。
一方、根室駅に到着する下りの始発列車は、ダイヤ改正で釧路発5時35分、根室着8時1分の快速「はなさき」が廃止され、釧路発8時21分、根室着10時53分の普通列車となり、根室市への通勤通学での利用はほぼ不可能なダイヤになってしまいました。
花咲線で通学していた高校生は下宿しなければならないようです。
もっとも、根室市の主な産業は漁業と観光だし、北海道は車が一家に1台というより1人に1台というほど普及しているので、それほど影響はないかもしれません。
根室市の人口は40年前から半減したそうです。
日本最東端ということは、同時に「アジア最東端の駅」も意味します。