
新種別の設定や運転形態の変更など、トピックは複数ありますが、その中でも少々残念なのが、神戸線を10両編成で走る列車の廃止です。
神戸線の10両編成は平日朝ラッシュ時の神戸三宮発大阪梅田行きの通勤特急で運転されていたが、改正後は新開地または高速神戸発となり、編成も10両から8両に変更されます。
この通勤特急は大阪梅田行き(上り)のみの片道運転で、復路はそのまま回送されます。
10両編成は、すでに宝塚線と京都線から消滅しており、神戸線が最後の牙城となっていましたが、それも見納めになります。
阪急の10両編成の歴史は、1982年、宝塚線の列車に設定されたことから始まります。
1985年、神戸線と京都線もこれに加わり、3つある阪急のすべての本線で10両編成の列車が走るようになりました。
10両編成が走る時間帯は、神戸線は神戸三宮、西宮北口、宝塚線は雲雀丘花屋敷、川西能勢口、京都線は京都河原町、桂といった駅で、車両の増結作業が実施されていた時期もありました。
10両編成は大阪梅田駅に到着した後、京都線は営業列車で折り返し桂駅で2両編成を切り離し、神戸線・宝塚線は折り返しは回送列車となりました。
なお、10両編成で走る車両は、基本的に一般的なロングシート車で、京都線の特急車両はその対象外でした。
ただし、9300系は、2003年のデビュー後しばらく、10両編成で走っていた実績があります。
また、10両編成は基本的に8両編成に2両を連結するかたちで仕立てられていますが、神戸線では山陽電鉄乗り入れの関係で一時期、6両+4両の組成も見られました。
京都線のみ、8両編成と2両編成の間の幌を連結していました。
神戸線では1995年に、座席収納機能を備えた増結用車両の8200系を投入。
車内の座席をたたみ、オール立席で10両編成の先頭に立つ姿は、神戸線のラッシュがいかに厳しいものであるかを物語っていました。
しかし、8200系のオール立席の運用は乗客に不評で、ラッシュ時の混雑率が低下したため、後に通常の固定座席に改造されました。
近年は全線で10両編成の運用が縮小傾向にあり、2022年には宝塚線・京都線の10両編成が廃止となり、前述のとおり、2025年2月のダイヤ改正で10両編成は完全消滅。
ラッシュ時の大量輸送を支えた堂々の長編成の歴史は、43年ほどで幕を降ろすことになります。
ところで阪急には、「10両編成要員」とも呼べる増結用車両がありますが、改正後はそれが不要となります。
これらの車両の今後については、阪急電鉄の広報によると「その処遇は未定」とのことです。
過去には2両+2両の4両編成で伊丹線や箕面線の運用に回された車両もいますが、増結用の任を解かれたこれらの車両がどうなるのか、要注目です。
2022年の神戸線の10両編成縮小で、7000系の2両編成2本が廃車となり、今後は能勢電鉄に譲渡される見込みです。
京都線の10両編成廃止で余剰となっていた7300系の2両編成は長期保留車となっていた1両を加えて7両編成を組まれ、営業運転に復帰しました。
2両編成については今後は支線への転用、廃車、能勢電鉄へ譲渡される可能性もあります。
2両編成の活用策として、電気軌道総合試験車に改造するのはどうかな、と思います。
阪急ならさしづめ、「ドクターイエロー」ならぬ「ドクターマルーン」です。
ただ、8200系は2編成のみと数が少ないうえ、車体構造や機器が他の車両と異なるところが多く、運用を失うとそのまま廃車の可能性もあります。