明石家さんまさんが、8月29日放送のテレビ東京系「さんまさん!ここで問題です~回答者・明石家さんまVSクイズさん~」(午後7時58分~)に出演し、自身としては40年ぶりに同局の番組にスタジオ出演しました。
同番組はさんまさんが唯一の解答者となって、川島明さん(麒麟)や出川哲朗さんなど出題者達が連れてきた“日本一”などのスゴい肩書きを持つ“クイズさん”に関わる問題に挑戦するクイズ番組。
さんまさんにとって同局番組のスタジオ出演は、1981~84年に放送されたバラエティー番組「サタデーナイトショー」で司会を務めて以来となりました。
番組では、回答者のさんまさんにテレビ東京にまつわる○×クイズを出題。
しかし、照明が落ちて第1問が始まるのを前に、さんまは「40年ぶりどうのこうの、俺は出川(哲朗)のおかげでこうなったとか、いろんな話がある」と、進行をストップしてしゃべり始めました。
すると、司会の川島明さんは「この照明でしゃべり合う話じゃない」とツッコミを入れました。
「サタデーナイトショー」は深夜番組ながら高視聴率だったが、お色気コーナーが原因で突然の打ち切りにされてしまいました。
その後、さんまさんとテレビ東京は疎遠になっていました。
川島さんから「出るとは思いませんでした」と振られると、さんまさんは「出るつもりもありませんでした」と本音をポロリ。
「いろいろありまして。出川はよく知ってるので、また別撮りでやって下さい。終わってからね」と欲しがり、スタジオを笑いに包みました。
さんまさんは2018年、出川さんのオファーに応え、同局「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」のロケに参加し、話題になっていました。
ここで出川さんが「僕の番組に34年ぶりにテレビ東京に出てもらったんですよ。それまでテレビ東京とケンカなさって、リアルゲンカ。出ないと言っていたのに、“出川の番組だから”って言って、それを解禁して出てくれた」と感謝。
「この人はここで仕事をする人だから。ホントにそこはかっこいいと思っていて」と、胸をたたいて説明しました。
さんまさんは「出川が言うてくれて、楽屋に来てくれて、“ぜひお願いします”、“ええよ。出川もいつも俺の番組に出てくれてるから、ええよ”と言うた。そこに付いて来たプロデューサー、ディレクターが“スペシャル番組、クイズ番組を”と通い続けてくれた。それで今日、この日を迎えている」と説明。
スタジオから拍手が起こっていました。
さんまさんは長年にわたってテレビ東京には一切出演をしていませんでした。
司会者として出演するのは実に40年ぶりになります。
さんまさんは1981~84年に放送されていた「サタデーナイトショー」という深夜番組の司会を務めていました。
当時のテレビ東京の全番組の中でも最高の視聴率を取るほどの人気番組だったのだが、お色気要素の強い番組だったため、局の上層部の抗議により打ち切られてしまいました。
数字を取っていたにもかかわらず、理不尽に番組が終わってしまったことでさんまさんは激怒。
それ以降、テレビ東京の番組には出演しなくなりました。
最近になってから、後輩である出川哲朗さんのために「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」に何度かゲスト出演したことはあるが、それ以外は一切出ていませんでした。
そんなさんまさんがテレビ東京に出るというのだから、それだけでニュース性は十分ありました。
しかも、出演者のラインナップも豪華で、出川哲朗さん、川島明さん(麒麟)、せいやさん(霜降り明星)、ヒコロヒーさんなど、今をときめく人気芸人たちが名を連ねています。
この歴史的な番組が放送されることには、さんまさんとテレビ東京の双方にメリットがあります。
さんまさんにしてみると、過去の因縁を水に流して、民放キー局の中では弱小と言われるテレビ東京に顔を出すことで、好感度がさらに上がります。
一方、テレビ東京にしてみると、さんまさんという大物芸人が出ること自体に価値があるのはもちろん、「テレ東にさんまが出る」という特別なニュース性があり、注目されやすくなります。
また、さんまさんの番組であるということを生かして、後輩にあたる人気芸人をブッキングすることも容易になります。
「さんまがへそを曲げて長年テレビ東京に出演していない」という事実だけを聞くと、さんまさんが一方的にわがままを言っていると感じる人もいるかもしれません。
しかし、それは誤解であります。
テレビ局とタレント(芸能事務所)は、信頼関係に基づいて仕事をしている側面があります。
一度でも信頼を失うようなことがあれば、タレント側が出演に消極的になるのは無理もありません。
特に、長年にわたって業界の第一線で活躍するさんまさんは義理堅いことで知られます。
スタッフやタレントと信頼関係を構築して、それを軸にして仕事を続けてきました。
よく知られるところでは、千原ジュニアさんとの逸話があります。
千原ジュニアさんはバイク事故を起こして重傷を負い、一時は芸能界復帰が危ぶまれていました。
復帰後にさんまさんと共演した際、退院祝いは何がいいかと尋ねられ、冗談のつもりで「レギュラー欲しいです」と答えたところ、その後、実際にさんまさんの番組のレギュラー出演オファーがきました。
さんまさんは約束を守ったのです。
2008年には、さんまさんの出世作である「オレたちひょうきん族」(フジテレビ)のディレクター・プロデューサーだったフジテレビの三宅恵介氏が定年退職するため、退職の記念に「最後にもう一度『ひょうきん族』をやりたい」とさんまさんに申し出ました。
さんまさんはそれを受け入れて、この年の「FNS27時間テレビ!! みんな笑顔のひょうきん夢列島!!」で総合司会を務めました。
恩人である三宅氏のために一肌脱いだのです。
さんまさんが長年テレビ東京に出ていなかったのも、今回あえて出ることにしたのも、結局のところは人間としての「情」の問題でしょう。
深読みするならば、年齢的にも遠くない未来に訪れるであろう引退の瞬間を前にして、特定のテレビ局との余分なわだかまりを解消しておきたかった、という気持ちもあるのではないでしょうか。