ヒット曲「逢いたくて逢いたくて」などで知られた歌手の園まり（その・まり、本名薗部毬子＝そのべ・まりこ）さんが7月26日、急性心不全のため都内の病院で死去しました。
80歳でした。
中尾ミエさん、伊東ゆかりさんと「三人娘」として国民的人気を誇り、ソロを含めてNHK紅白歌合戦に６度出場しました。
園さんは2008年に乳がんを発症し手術。
一度は完治したが2019年に再発し、その後は闘病しながら歌手生活を続けていました。
昨年10月末に「日本歌手協会第50回歌謡祭」に出演予定だったが、体調不良のため欠席しました。
関係者によると今年４月から入院していたというが、亡くなる直前まで異変はなかったというそうです。
亡くなる５日前に中尾さんや伊東さんが見舞いに訪れた際も、普通に会話していたという園さん。
ただ、死期を悟ったのか、辞去しようとした伊東さんに対し「死んだ時のコメントを用意しておいた方がいいよ」と冗談混じりに声をかけていたというそうです。
また、近年は生前整理を行っていたといい、４月の入院後は住んでいたマンションを売却しました。
中尾さんによると、伊東さんとともに園さんのアクセサリーや小物を整理しました。
中尾さんは「報告をして、まりちゃんも喜んでくれました」と様子を明かしました。
園まりさんは1944年4月12日生まれ、神奈川県横浜市出身。
1956年、本名の薗部毬子名義で童謡「つゆの玉ころり」を歌うなどし、1962年に本格デビュー。
デビュー後、中尾ミエさん、伊東ゆかりさんと「三人娘」を結成しました。
国民的アイドルとして人気を得る一方でソロでもヒットを飛ばしました。
1964年の「何も云わないで」や、岩谷時子さん（故人）が作詞し、宮川泰さん（故人）が作曲した「逢いたくて逢いたくて」「夢は夜ひらく」「愛は惜しみなく」と毎年のようにミリオンセールスを記録しました。
ジャズのセンスを持つ伊東ゆかりさん、ポップスで魅力を放つ中尾ミエさんとは異なる個性を発揮し、しっとりと歌う都会的なムード歌謡が支持を集めました。
NHK紅白歌合戦には1963、64年に三人娘で、1965～68年はソロで6回連続出場を果たしました。
歌手としてだけでなく、ドラマや舞台、バラエティー番組でも親しまれました。
2004年からは「三人娘 復活コンサート」全国ツアーを行うなど活動。
2019年には「日本レコード大賞」功労賞を受賞しました。
だが、当時について、WEBのインタビューで「本当は歌なんて好きじゃなかった」「父が果たせなかったオペラ歌手への夢を私に託した」と、歌手の道は自分の意志ではなかったことを明かしていました。
関係者によると、7月30・31日に営まれた近親者による葬儀・告別式には中尾ミエさんと伊東ゆかりさんが参列しました。
弔辞を読み上げた中尾さんは「三人娘の長女で、一番おっとりしてのんびりしていたけど、実は一番のしっかり者でした」などと、別れを惜しんだというそうです。
中尾ミエさん、伊東ゆかりさんは追悼メッセーじを寄せました。
中尾さんは「ついにこの時が来ました。思い返せば長い付き合いでした。嫌々組んだ３人娘だったけど結局これが運命だったのね。人生〝終わりよければ全て良し〟というけれど、まさにあなたの最期は見事でした」と切り出し「身の周りを全て整理し、最後にゆかりと私で残ったアクセサリーや小物を整理し、その足で病院に行って報告をしてまりちゃんも喜んでくれました。私も最期は、彼女のように悔いのない穏やかな最後を迎えたいと思いました。今となっては楽しい思い出をありがとう。落ち着いたらもう少しの間、ゆかりと私を見守ってください。まりちゃん、お疲れ様」と悼んでいました。
伊東さんは「凄く寂しい、淋しい。お見舞いに行った時、コメント考えてねって…考えられる訳ないじゃない」と病床での出来事を振り返り、「60年以上のお付き合いで、沢山の思い出がありすぎです。歌手仲間と言うより、心の友、親友です…もう逢えないのね…。薗部毬子様 お疲れ様でした…。」と悲痛な思いを言葉にしました。
明石家さんまさんが、8月3日放送の「ヤングタウン土曜日」（MBSラジオ）に出演し、園まりさんをしのびました。
園さんは「オレたちひょうきん族」（フジテレビ）のコーナー「ひょうきんスター誕生」で声優の神谷明さんとともに司会を務めていたこともあり、さんまさんは「園まりさんって大歌手で。我々はあこがれの人だったんですけども」と回顧しました。
同コーナーで片岡鶴太郎さんと一緒に「コント55号」のものまねをしたことや、村上ショージさんの「何人トリオ」が出場していたことを懐かしんでいました。