青海駅に行くつもりが青梅駅に行ってしまった――これは、ネットで特に有名な行き先の間違いの例です。
青海駅はゆりかもめの駅だが、青梅駅はJR東日本青梅線の駅です。
直線距離にして約50km離れています。
同じ東京都内の駅とはいえ、片やベイエリア、片や多摩西部。
駅から見える風景や道中の車窓もまったく違うのだが、土地勘のない人にとってはわかりません。
漢字の読み方も地味に難しいです。
青海は「あおみ」であり、青梅は「おうめ」と読みます。(なお、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインにも青海駅があり、こちらは「おうみ」と読む)
青海と青梅。
字面も似ているし、読み方も違います。
何も知らずに、青海を一発で「あおみ」と読めるでしょうか。
「あおうみ」と読んでしまう人もはずです。
こうした字面が似ていて、読み方がちょっと難解な駅名はスマホの入力で間違えることも多く、行き先間違いに繋がりやすいというわけです。
スマホの予測変換のせいで誤入力しやすいという意見もあります。
ではなぜ、青海と青梅の間違いが頻発するのでしょうか。
青海駅はかつてZepp Tokyoのほか、パレットタウンやヴィーナスフォート(現在はいずれも閉鎖)などライブハウスや大型商業施設があったほか、フジテレビへのアクセスにも使われるということで、著名人が間違えるケースも多いです。
そのため、土地勘のないアイドルや歌手のファンが間違って青梅駅に行ってしまう例が相次いでいるのです。
そして、コンサートに出演するアイドルまでもが、行き先を間違う例が続出しているのです。
2016年に「R-Village Girls」のMEIさんが、2018年に「全力少女R」の佐藤絵里香さんが青梅駅に向かっています。
ちなみに、佐藤さんの姉は元AKB48の佐藤由加理さんだが、なんと姉もAKB時代に同じミスをやらかしてしまったのだというそうです。
そして、もっとも有名になったのは「HIGHSPIRITS」の小室あいかさんでしょうか。
ライブ開始に間に合わなかったハプニングはネット上で大いに拡散され、話題になりました。
小室さんと佐藤さんの2人はその後、「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)に出演、青海と青海を間違った経緯を語っていました。
やはり、行ったことがない駅であれば、車窓を見たところで違和感を抱きにくいようです。
なお、Zepp Tokyoが閉鎖された後も、同じ台場にあるZeppダイバーシティTokyoは引き続き営業しています。
こういったハプニングが報じられると、「間違うはずがない」「おかしい」というコメントが相次ぐが、はっきり言って誰でもやってしまう可能性があるミスです。
都道府県の位置はもちろん、駅名を誰もが正確に覚えているわけではないのだからです。
おそらく、こういった行き間違いは水面下で多数起きていると思われます。
ただ、間違えても東京都内の駅同士での間違ならなんとかなるかもしれないが、同一の駅名が異なる都道府県にある埼玉県の大宮駅(JR東日本東北本線・東北・上越新幹線、東武野田線)と京都府の大宮駅(阪急京都本線)、福島県の福島駅(JR東日本東北本線・東北新幹線)と大阪府の福島駅(JR西日本大阪環状線、阪神本線)を間違えて、まったく異なる地方に行ってしまったら大変なことになります。
埼玉高速鉄道の鳩ケ谷駅で、「ここは鳩ケ谷駅です幡ヶ谷駅ではありません」と書かれたポスターが貼られていた画像がX(旧:Twitter)に投稿され話題となりました。
埼玉高速鉄道公式キャラクターである「たまさぶろう」が、サングラスをかけた状態で描かれているこのポスターは、「違う、ここじゃない」と鈴木雅之さんのヒット曲「違う、そうじゃない」を思わせるタイトルで、「ここは鳩ヶ谷駅(埼玉県川口市)です」「幡ヶ谷駅(東京都渋谷区)ではありません!」と注意喚起しています。
鳩ケ谷駅は埼玉県川口市、幡ヶ谷は渋谷区北部の京王線の駅ということで、距離としてはかなり離れていることから、Xでは「これ間違える人いるんか?」と疑問に思われていましたが、実際、鳩ケ谷駅の駅員さんの話では「何例か間違えた事例がありましたので、注意のために貼りました」とのことでした。
ポスターのデザインは鳩ケ谷駅の職員で考えたそうで、たまさぶろうがサングラスをかけているのはやはり鈴木雅之さんをイメージしたそうです。
なお、注意喚起のポスターはCDジャケットを意識したデザインになっており、B面曲として「C/W 幡ヶ谷で5時」との表記もあり、やはり鈴木雅之さんと菊池桃子さんのデュエット曲「渋谷で5時」のパロディータイトルになっています。
なお、鳩ケ谷から幡ヶ谷に行くには1時間近くかかるので、間違えた場合はかなり大変です。
なおSNSでは
「馬込と駒込、多摩動物公園と東武動物公園を間違えた自分は何も言えません……」
「亀戸と亀有を間違えた猛者もいます」
「五反野と五反田を間違えた奴がいた」
といった意見もあり、様々な駅でこのような間違えは起きているようです。
SNSでは、こうした駅名の間違いが起きる理由として口頭で聞いた場合の「聞き間違いなどもあるのでは?」との指摘もありました。
確かに「はとがや」「はたがや」や「あおみ」「おうめ」などは早口でいうと聞き間違う可能性もあるかもしれません。
土地勘がなければなおさらです。
「知り合いのおじいちゃんが赤塚行きたくてタクシー乗ったら訛ってたせいで赤坂に連れて行かれた話を聞いたことある」といったエピソードを披露した人もいました。
ちなみに海外でもこうした事例はあるようで、2012年のサッカーヨーロッパリーグのアトレティコ・マドリード-ビルバオ戦で、ルーマニアの「ブカレスト」に行くはずが、間違ってハンガリーの「ブタペスト」に行ったビルバオサポーターがいたと報じられたこともあります。
時刻表の定番「JR時刻表」(交通新聞社)「JTB時刻表」(JTBパブリッシング)には、毎号必ず、索引を兼ねた全国の鉄道の路線図が掲載されています。
この路線図はスマホで眺めるよりもわかりやすいし、駅の位置関係を把握する上では断然便利です。
かつてはオフィスに紙の時刻表を常備している企業は多かったが、最近は少なくなりつつあります。
デジタルの時代だからこそ、紙ならではのメリットを見直してみてはいかがでしょうか。