日本に高速道路が誕生して半世紀以上が経過しました。
その開通によって、日本の車社会の質が向上してきたのは紛れもない事実です。
ただ、長年のデメリットもあります。
それは 「高速料金」 の問題です。
日本は2009年9月に誕生した民主党政権下で、高速料金の無料化を実験的に実施した時期もあったが、それ以外は有料であります。
高速料金は開通以来数年ごとに値上げされており、ガソリン価格の上昇と相まって、利用者の負担は徐々に増えています。
はっきりいえば、日本の高速料金は高すぎるのです。
日本の高速料金が高いといわれる理由は、諸外国と比較するとよくわかります。
日本の場合、NEXCOが管轄する路線の一般車の通常料金は、1kmあたり 「24.6円」 で計算されています(2024年2月現在)。
続いて、海外主要国の一般車の高速料金を見てみよう。
・フランス🇫🇷:15.5円/km(日本の63%)
・スペイン🇪🇸:13.4円/km(同54%)
・イタリア🇮🇹:8.7円/km(同35%)
・ポルトガル🇵🇹:10.2円/km(同42%)
・ギリシャ🇬🇷:7円/km(同29%)
・イギリス🇬🇧:原則無料
・ドイツ🇩🇪:原則無料
ちなみにカナダ🇨🇦も基本無料、アメリカ🇺🇸も“フリーウェイ”と呼ばれるように基本無料であります。
近年、海外の一部の国や地域では、道路維持管理費の高騰から高速料金を値上げしているところもあるが、それでも日本の料金設定に比べればはるかに安いです。
同じアジアでも、
・韓国🇰🇷:9.6円/km(同39%)
・中国🇨🇳:9円/km(同37%)
と、日本の半額以下に設定されており、大きな差があります。
韓国の2.6倍、中国の2.7倍です。
日本の高速道路の料金が高いのには、さまざまな理由があります。
第一の理由は、日本の 「特殊な地形」 に関係しています。
国土の約7割は山地であり、平野部は諸外国に比べて少ないです。
そのため、高速道路は難所に建設しなければならず、山をつなぐ橋や山あいのトンネルの数を増やさなければならないため、建設費や維持費が大幅に増加します。
また、日本は地震大国であり、対策のための補強・補修工事費も必要となります。
歴史のある路線であればあるほど、耐震補強工事は高額になります。
さらに、日本の道路そのものが1960年代の高度経済成長期に一気に建設され、高速道路も計画・建設されたが、そのときの多大な借金をいまだに返済中であります。
こうした理由から、日本の高速料金は高く設定されています。
ちなみに、日本は諸外国に比べて税金が安く設定されており、高税率国では高速道路の維持費を 「税金でまかなっている」 ため、高速料金が安く設定されているという見方もあり、高速料金だけで一概に判断するのは難しいのかもしれません。
気になるのは、高速料金が今後どうなるのかということです。
まだ値上げされるのか、それとも無料化されるのか。
答えは「いずれ」無料化される――であります。
しかし、この「いずれ」というのが厄介なのです。
そもそも高速料金は、「高速道路の建設費を借金で調達し、料金を利用者から徴収し、返済が終われば無料にする」という話でした。
当初の計画では、日本初の高速道路である名神高速道路(1963年開通)は開通から25年後、東名高速道路(1965年開通)は開通から23年後に無料化する予定でした。
しかし、高速道路建設費の借金は思うように返済できず、借金は膨らむばかりでした。
加えて、名神高速と東名高速から徴収した高速料金を 「他の路線の建設費」 にまわされたため、借金の返済が困難になりました。
国土交通省は高速道路の有料化期間を9回(!)も延長しており、2023年初頭には、2065年までに無料化する計画がさらに50年延長され、 「2115年」 となりました。
2024年から91年後です。
フィクションの世界だが、2115年と言うとドラえもんが生まれた後です。(ドラえもんは2112年生まれ)
結局、未来の世代が過去の遺物の重荷を背負っているのです。
とはいえ、高速道路を安全かつ快適に利用するために、利用者から高速料金を徴収して維持管理しなければならない現状を見過ごすわけにはいきません。
国土交通省を中心に、高速道路についてさまざまな議論を重ねられています。
今後の政策に期待できるだろうか。
いや、できません(反語)。
日本の高速料金の高さは、もはやどうにもならない領域です。
そうであるならば、とにかく利用者にとってできるだけ経済的に利用できる方法を考えた方が賢明なのかもしれません。