新幹線500系、最後の時 | 女装男子かなこのブログ

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1996(平成8)年、未来からやってきたような新幹線車両が製造されました。


JR西日本が開発した500系新幹線の試作車です。


ドイツの工業デザイナーである、アレクサンダー・ノイマイスターがデザインした車体は、それまでの新幹線とは比較にならないほどシャープであり、円筒型の車体、T字型のパンタグラフなど見る人に画期的な高速車両を想起させました。


500系は、当時の鉄道営業速度でフランスTGVと並び、世界最速となる最高速度300km/hを実現した車両でもありました。


停車時間を含む表定速度でも、広島~小倉間で世界一を達成し、当時のギネスブックにも掲載されたほどです。


JR東日本のE2系、E3系新幹線の初期型が引退した2023年現在において、1997(平成9)年製造の500系W2編成は、新幹線で最古参の営業車両でもあります。


500系はどのような経緯で登場したのでしょうか。


それはズバリ、関西圏~九州間での航空機との激しい競争が理由でした。


福岡空港は市街地にあり、地下鉄との乗換で20~30分ほどで福岡市中心街に行ける「日本一便利な空港」です。


そのため、最高速度270km/hの300系新幹線でも優位には立てず、最高速度300km/hを出せる500系が必要とされたのです。


500系の量産先行車(W1編成)は全電動車で、編成出力は18240kW。


馬力に直すと25000馬力というとてつもない高出力でした。


ちなみに、最高速度320km/hを誇るE5系新幹線は、10両編成で9600kW。


1両960kWですが、500系W1編成は1両で1140kWと上回っていました。


W2編成以降は、過剰性能ということで17600kWに下げられましたが、それでも1両1100kW。


後発で、同じ300km/h運転を行うN700系新幹線は17080kWなので、新幹線として最大の編成出力を有しているともいえます。


ちなみに1両平均で最も出力が高いのは、8両編成の九州新幹線用N700系7000・8000番台で、全電動車のため1両あたり1220kWです。


500系にこれほどの性能を持たせた理由は、320km/hでの営業運転も念頭に置いていたからです。


これは性能上可能でしたが、阪神・淡路大震災を受けて非常制動距離の順守が求められたことや、費用対効果を考えて、300km/h運転に留められました。


500系は1997年、新大阪~博多間の「のぞみ」に投入されます。


そして翌1998(平成10)年、東京~博多間の「のぞみ」にも投入されます。


所要時間は初めて5時間を切り、4時間49分でした。


ちなみに、現行の東京~博多間最速「のぞみ64号」は、品川、新神戸と2駅停車が増えて4時間46分ですが、これはN700系の加速に適した歯車比と、デジタルATCによる効率的な加速制御によるものです。


なお停車駅が少ないとはいえ、500系による新大阪~博多駅間2時間17分は、現在でも破られていない記録です。


高性能を誇る500系でしたが、様々な問題点もありました。


まず高価なことです。


1編成あたり300系より6億円も高く、9編成が製造されただけで増備は打ち切られました。


また、前頭部が長い形状のため先頭車両の側扉が1か所のみとされました。


ただ先頭車両の普通車の座席間隔を、300系の1040mmから1020mmに減らしたことで、編成定員では1人多い1324名となっています。


先頭車両の普通車は絞り込んだ前頭部形状の関係で荷物棚が設置できず、床置きの荷物置き場が設置されています。


こうした問題点は、N700系では解消されています。


500系は2008(平成20)年より短編成化の改造が行われ8両編成となり、編成番号もWからVに変更されました。


この際、8号車の新大阪寄りに「子ども用の疑似運転台」が設置されています。


4~6号車は2+2列座席とされ、特に6号車は元グリーン車ということもあり高い快適性を備えています。


なお、パンタグラフやパンタグラフカバーの変更で300km/h運転には非対応となり、「こだま」として285km/h運転も行っています。


また、第1編成が廃車となり、先頭車の521-1が京都鉄道博物館に、522-1が日立製作所笠戸工場(山口県下松市)に保存されました。


2010(平成22)年に「のぞみ」運用から500系が撤退しました。


しかし、子どもや鉄道ファンからの高い人気もあって、V2編成(旧W2編成)が2014(平成26)年より「プラレールカー」に、2015(平成27)年よりアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とタイアップした「500 TYPE EVA」に、2018年より「ハローキティ新幹線」に改装され、注目を集めています。


特に1号車はこうしたタイアップ企画の展示室となっており、「プラレールカー」では大型ジオラマ、「500 TYPE EVA」では「エヴァンゲリオンの実物大コクピット」、「ハローキティ新幹線」では物販コーナーも備えたフリースペース「HELLO! PLAZA」となっています。


「ハローキティ新幹線」は現在も運行されており、「こだま842号」「こだま849号」で限定運用されています。


その一方で、2022年に2編成が廃車されました。


登場から四半世紀以上が経過した500系。


その人気の高さから、高速走行で老朽化の早い新幹線の車両としては異例の長命となっています。


JR西日本は2024年2月14日(水)、山陽新幹線で運用している500系新幹線について、6編成のうち4編成を2026年度末までに用途廃止すると発表しました。


同社は、東海道・山陽新幹線用のN700S系(16両編成)を、2026年度までに4編成追加投入、「のぞみ」などで運用していた既存のN700系を16両編成から8両編成に改造し、山陽新幹線に投入するとしています。


改造は、博多総合車両所で実施します。


ATCとブレーキシステムを改良し、地震発生時のブレーキ距離が従来のN700A系から5%短縮されます。


また、大容量のデータ通信を実現することで、車両の状態監視機能を強化。


パンタグラフやブレーキ装置についても摩耗部品の長寿命化を図り、メンテナンスコストを削減する予定です。


また、車いすスペースも4席設けるとしています。


500系は9編成が製造され、既に3編成が廃車となっていますが、いよいよ本格的な引退が始まりそうです。