日本で蒸気機関車が廃止された理由 | 女装男子かなこのブログ

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鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人々の知的好奇心を刺激してくれます。




一度日本から消えた蒸気機関車。


蒸気機関車は、人気が高い鉄道車両の一つです。


大きな音を立てながら煙突からモクモクと煙を出し、蒸気を吐いて走るさまは、他の鉄道車両では味わえない迫力があります。


それゆえ夏休みになると、蒸気機関車がけん引する客車列車(SL列車)が大勢の人で賑わいます。


現在、日本の鉄道会社に在籍している蒸気機関車は20両(日本鉄道車輌工業会調べ)あり、行楽客の目を楽しませています。


ところが日本の鉄道では、1976年にすべての蒸気機関車が廃止されました。


現在走っている蒸気機関車は、いったん廃止されたのちに走行できるように復元された(動態保存されている)ものです。


それではなぜ日本では、一度すべての蒸気機関車が消えたのでしょうか。


今回は、その謎に迫ってみましょう。


結論から言うと、「動かすための効率が悪い」のです。 


蒸気機関車は、電気機関車やディーゼル機関車とくらべて動かすのに多くの労働力と時間、費用を必要とし、非効率であるゆえに、電気機関車やディーゼル機関車に置き換えられて消えたのです。


もちろん、走行中に煙や煤(すす)を排出することも、蒸気機関車が敬遠された理由の一つです。


ただ、廃止の決め手になったのは、前述の通り多くの労働力・時間・費用を必要とすることだったのです。


とはいえ、ここまでの説明で理解できる方は少ないでしょう。


なぜならば、蒸気機関車の保守や運転などの作業は、私たち鉄道利用者からは見えないこところで行われており、何が非効率なのかわかりにくいからです。


一般にはあまり知られていませんが、蒸気機関車を動かすには多くの手間がかかります。


まず、蒸気機関車は、1人では運転できません。


運転操作をする機関士(1人)の他に、機関助士(1~2人)が必要だからです。


機関助士は、火室(石炭を燃やす部分)に石炭を投入し、機関士の死角になるところから前方を確認して、機関士の運転操作をサポートします。 


また、蒸気機関車は運転前に1~2時間の保守作業をしないと動きません。


火室で火を起こし、ボイラーの温度を上げて、蒸気の圧力を一定以上にします。


蒸気機関車の各部品をハンマーで叩いて点検します。


可動部(動く部分)にある油壺(小型蒸気機関車でも100箇所以上ある)に潤滑油を注ぎます。


走行中に消費する石炭と水を補給します。


これらを3人以上の作業員が手分けして進めないと、蒸気機関車は動かないのです。


蒸気機関車は、運転を終えてからも1時間程度の保守作業を受けます。


火室の底(灰箱)にたまったシンダ(石炭の燃え殻。ちなみにペロー童話の「シンデレラ」はこれに由来する)や灰を外に排出します。


車体に付着した煤を水で洗い流し、表面を拭き上げるなどのアフターケアを要するからです。


いっぽう電気機関車やディーゼル機関車は、キー操作ですぐに起動し、1人で運転することができますし、運転前後の保守作業も蒸気機関車よりも短時間で終わります。


また、これらは蒸気機関車よりもエネルギー効率が高いので、運転に必要な費用が安く済むというメリットがあります。


さらに電気機関車は、外部から電力の供給を受けながら走るので、燃料や水を供給する必要がなく、長距離を連続で走ることができます。


つまり、蒸気機関車を電気機関車やディーゼル機関車に置き換えれば、必要とする労働力や時間、費用を節約でき、鉄道を効率よく運営することが可能になるのです。


このため日本の鉄道では、蒸気機関車の走行性能に匹敵する電気機関車やディーゼル機関車が開発されたのちに、蒸気機関車が徐々に削減され、最終的にすべての蒸気機関車が廃止されました。


以上のことを頭に入れてSL列車に乗ると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。