アニメのエンディングソング(以下、エンソン)あるあるのひとつに数えられるのが、「○○音頭」。
たくさんの“音頭”が作られた昭和時代はともかく、レコード会社などとのタイアップが主流となった平成・令和になっても“音頭”が作られるのは、ちょっと不思議な気がしませんか?
そこでルーツをたどってみました。
最初のアニメ音頭ソングは1966(昭和41)年、「オバケのQ太郎」(TBS、番組のスタートは前年の1965年)のエンソンで流れた、「オバQ音頭」です。
当時、SFヒーローアニメの乱発で少し飽きられ気味だったアニメ界に、楔を打ち込むようにスタートした「オバQ」は、男女問わず観て楽しいと大人気になり、視聴率は30%を超えました。
当時、TBS系では日曜夜7時から「ウルトラQ」、同夜7時30分から「オバQ」が放送され、ともに高視聴率を上げていたことから、この時間は他局から「恐怖のQQタイム」と呼ばれていました。
1966年4月9日、ホテルニューオータニで、ある記者発表が行われます。
内容は「オバQ音頭」のリリースです。
原作者で作詞も手掛けた藤子不二雄、Q太郎の声優で歌唱の曽我町子さん(故人)など、関係者約500人を集めた会見でした。
なぜこんなに大々的に催したのか、詳しい経緯はわかりませんが、おそらくアニメが好調で子どもたちにもっと親しんでもらうアイデアとして、歌って踊れて簡単で楽しげな音頭を思いついたのだと思います。
そこで夏の盆踊り大会で使ってもらえるよう、春にレコードセールスを仕掛けたのではないでしょうか。
当時、盆踊りの曲といえば「炭坑節」や「ソーラン節」など、大人向けのものばかりでした。
町内の盆踊り大会に集まる子供たちは、はしゃいで遊び回るだけで踊りゃしません。
しかし、ここから子供盆踊り革命が全国で起こります。
「オバQ音頭」のレコードは1966年5月20日、朝日ソノラマと日本コロムビアから発売されました。
これとは別に、番組スポンサーの不二家では当時発売していた乳酸菌飲料のキャップと送料分の切手で「オバQ音頭」のレコードと交換するキャンペーンをしていました。
エンディングに流れた「オバQ音頭」は好評で、エンディング曲からオープニング曲に変更され、レコードはなんと200万枚を売上げ(当時はまだオリコンが存在しなかったため、公称枚数)、その年の暮れの日本レコード大賞童謡賞を受賞します。
幼稚園のお遊戯会や盆踊り大会でも「オバQ音頭」は使用され、いつしか定番になりました。
また、オバQ人気は絶大でキャラクターグッズも飛ぶように売れ、小学館は1967(昭和42)年に新社屋ビルを建設、通称「オバQビル」と呼ばれました。
「アニソン音頭は売れる!」と業界は思ったに違いありません。
つまり音頭にしがちな理由は、「オバQ音頭」に続く2匹目のドジョウ狙いの延長なのです。
今でこそ大ヒット狙いではないかもしれませんが、音頭は子供ウケが良いはずです。
では今日まで、どんなアニソン音頭が作られてきたのでしょうか。
一部をピックアップしてみました。
<昭和>
♪グズラ音頭/おらぁグズラだど
♪もーれつア太郎音頭/もーれつア太郎
♪鬼太郎ナイナイ音頭/ゲゲゲの鬼太郎
♪大ちゃん音頭/いなかっぺ大将
♪ど根性ガエル音頭/ど根性ガエル
♪ドラえもん音頭/ドラえもん
♪アラレちゃん音頭/Dr.スランプ アラレちゃん
♪クックロビン音頭/パタリロ
♪キン肉マン音頭/キン肉マン
♪ボトムズ音頭/装甲騎兵ボトムズ
♪ひみつのアッコちゃん音頭/ひみつのアッコちゃん(1988年版)
♪ドラゴンONDO/ドラゴンボールZ
♪ちびまる子音頭/ちびまる子ちゃん
♪正調・究極音頭/究極超人あ~る
♪しんちゃん音頭/クレヨンしんちゃん
♪ナースエンジェル音頭/ナースエンジェルりりかSOS
♪ポケモン音頭/ポケットモンスター
♪ハンター音頭/HUNTER×HUNTER
♪NARUTO音頭/NARUTO
♪ゲキテイ音頭/サクラ大戦
♪おジャ魔女音頭でハッピッピ!/おジャ魔女どれみ
♪撲殺音頭でドクロちゃん/撲殺天使ドクロちゃん
♪サンシャインぴっかぴか音頭/ラブライブ!サンシャイン!!
♪DT音頭/イクシオンサーガDT
♪笑顔でBYE!~カミズモ音頭~/最響カズミモード!
♪ハナビラ音頭/異種族レビュアーズ