女性変身ヒーロー | 女装男子かなこのブログ

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突然ですが、皆様は「女性変身ヒーロー」と聞くと、どんなキャラクターを思い浮かべますか? 


例えば・・・男性変身ヒーローと共に戦うパートナー?

(「仮面ライダーストロンガー」のタックル、「ウルトラマン80」のユリアン、「時空戦士スピルバン」のダイアナなど)


それとも、5人のヒーローチームに所属している、強くて魅力的な紅一点?

(スーパー戦隊の女性戦士)


あるいは、可憐な衣装に身を包み、みんなの夢を守る伝説の戦士達でしょうか?

(セーラームーン、プリキュア)


日本では、「美少女戦士セーラームーン」や、スーパー戦隊シリーズを筆頭に、たくさんの女性変身ヒーローが誕生し、彼女たちの物語は世代を超えて語り継がれ、今日も世界中で愛され続けています。


女性変身ヒーローの言い換えとして、変身ヒロイン(Heroine)という言葉もありますが、東映アニメーション制作のプリキュアシリーズをはじめ、近年のアニメ・特撮作品内での表現を包括的に尊重し、本記事では「ヒーロー」という言葉で統一したいと思います。


突然ですが、皆様はスーパー戦隊シリーズをご覧になったことはありますか? 


スーパー戦隊シリーズは、漫画家・石ノ森章太郎先生と八手三郎(東映のオリジナル作品の共同ペンネーム)が原作の、カラフルなコスチュームを纏った5人のチームヒーローを主人公にした、東映製作の特撮ヒーロー番組のことです。





1975年に第1作「秘密戦隊ゴレンジャー」(テレビ朝日)が放送されて以降、「太陽戦隊サンバルカン」(1981年)、「電磁戦隊メガレンジャー」(1997年)、「忍風戦隊ハリケンジャー」(2002年)、「海賊戦隊ゴーカイジャー」(2011年)等、シリーズが継続され、現在放送中の「王様戦隊キングオージャー」(2023年)まで全47作品が製作されています。


そんなスーパー戦隊シリーズにおいて欠かすことができないのが、女性メンバーの存在です。


近年のシリーズでも男性メンバーと肩を並べ、「○○ピンク!」と声高らかに名乗り、勇猛果敢に立ち向かっていく女性メンバーの姿は、今やスーパー戦隊シリーズの大きな魅力となっています。


ピンクの他にも黄や青、白、緑、紫のほか、なんと戦隊の中心となる赤を引き受けた者もいました。


そんな女性メンバーの偉大な祖であったのが、「秘密戦隊ゴレンジャー」に登場したモモレンジャー(ペギー松山)でした。


ゴレンジャーの紅一点であり、武器開発と爆弾処理のスペシャリスト。


男性隊員を凌駕する格闘術と共に、流行のファッションにも敏感というキャラクターでした。


モモレンジャーの決め台詞といえば、「いいわね、いくわよ!」。


これは、ゴレンジャーの必殺技ゴレンジャーストームやモモレンジャーの固有武器のイヤリング爆弾を投げる時の言葉です。


メンバー固有の武器を持ちながらも、最後の必殺技は全員の連携で起動するという設定が絶妙ででした。


モモレンジャーの登場以降、スーパー戦隊シリーズは太陽戦隊サンバルカン(1981年)を除き、ほぼ毎作女性をメンバーに加えた形でシリーズを存続させていくことになりました。


時代が進むにつれ、戦隊のリーダーとして他4人の男性メンバーを率いた者(「忍者戦隊カクレンジャー」(1994年)のニンジャホワイト)や、5人の中でも最強説が唱えられた者等(「烈車戦隊トッキュウジャー」(2014年)のトッキュウ5号)、女性戦士はその存在感をより一層発揮していくようになったのです。


このように、後の女性戦士達の登場に大きく貢献したモモレンジャーですが、 実は・・その呼称には逸話も残されていました。


ゴレンジャー各メンバーの呼称は、「色+レンジャー」という組み合わせで名称が決まっています。


つまり、「赤+レンジャー=アカレンジャー」、「青+レンジャー=アオレンジャー」といった具合です。


同様にキレンジャーやミドレンジャーと他のメンバーの名前が決まっていく中、問題だったのは、ただ一人の女性メンバーの呼称でした。


制作側は当初「ピンクレンジャー」という呼称を提案していたそうです。


ところが、1975年当時の日本では、ピンク映画やピンク産業といったように、やや大人びた、極端な言い方をすれば卑猥な表現として「ピンク」という表現が使われていた背景がありました。


「ピンクじゃなかったら、モモか。果物のモモ、ハートのモモ…」 その結果、最終的に「モモレンジャー」という呼称に決まったそうです。 


モモレンジャー・ペギー松山役の小牧りささんの太股がきれいだったので、「モモレンジャーでいこう」と決まったそうです。


ちなみに、当初ペギー松山役に予定されていたのは竹下景子さんでしたが、当時竹下景子さんが出演していたお菓子のCMが番組のスポンサーとは別のメーカーだったので流れてしまったそうです。


「秘密戦隊ゴレンジャー」を男女混成のヒーローにしたのは、グループヒーローであることからメンバーそれぞれに独自の個性を持たせたことに加え、「女の子もヒーローごっこに参加できるように」という石ノ森章太郎さんの配慮もありました。


こうしてモモレンジャーを加えた男女混合のヒーローチームとして、1975年4月5日に放送を開始した「秘密戦隊ゴレンジャー」ですが、25%という高視聴率を獲得する人気番組として成長しました。 


このモモレンジャーですが、制作スタッフによって5人の中でリーダー格のアカ、それを補佐するアオ、そしてそれに続くナンバー3の地位が意図的に与えられており、こうした女性メンバーを際立たせようという試みは特に話題を集めるようになります。


このゴレンジャー人気は、メイン視聴者である子ども達だけでなく女子大生にも浸透し、東映の吉川進プロデューサーのもとに3人の女性大生が訪れ、5冊以上の大学ノートに「ゴレンジャー」に対する意見や感想をびっしり書いていたそうです。(実際、子ども番組で20%を超える視聴率を獲得するには、男児だけの人気では不可能で、女児や女子大生まで巻き込むことが重要なのだとか。)


このモモレンジャーが開拓した「男性ヒーローと共に戦う女性ヒーロー」像は、特撮ヒーロー番組に留まらず、世界中に愛される女児アニメ作品にも継承されていくことになりました。


ここまでお話ししてきた「秘密戦隊ゴレンジャー」は、男女5人混成のヒーローチームでした。


ゴレンジャーに所属する5人はそれぞれの分野に精通したエキスパートチームであり、互いに足りない力量を補い合うことによって、敵を連携プレーで退治するというヒーローとして国内で大ヒットを記録しました。


この男女混成のゴレンジャーからはじまったスーパー戦隊シリーズの台頭は、海の向こうであるアメリカにも大きな衝撃を与え、1993年にシリーズ第16作の「恐竜戦隊ジュウレンジャー」(1992年)が、“Mighty Morphin Power Rangers(マイティ・モーフィン・パワーレンジャー)”として輸出されると、同国で爆発的なヒットとなりました。


このように、男女を問わず国際的な認知度を得るようになったスーパー戦隊シリーズに続いて、女性だけで編成されたヒーローチームも日本から誕生し、世界各国を巻き込んだ大旋風を起こすことになります。


その女性ヒーローチームこそ、皆様ご存じの「美少女戦士セーラームーン」(テレビ朝日)でした。


セーラームーンは雑誌「なかよし」に連載された武内直子さんの漫画が原作で、1992年よる東映アニメーション制作のアニメ作品として放送されました。


カラフルなコスチューム(セーラー服)に身を包んだ5人の美少女戦士達が、それぞれの力と技を駆使し、協力し合いながら敵を退治する姿は子ども達の心を掴み、社会現象に至る大ヒットを記録しました。


本作は、おっちょこちょいで泣き虫な中学2年生の女の子、月野うさぎが美少女戦士・セーラームーンに変身し、彼女のもとに集まった4人の戦士達(セーラーマーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナス)と共に、ダーク・キングダム(悪の組織)と戦う物語。


「月に代わって、おしおきよ!」の決め台詞でもご存じの方が多いかと思います。


実はこのセーラームーン誕生の背景にあったのは、先述した「秘密戦隊ゴレンジャー」の存在でした。


ゴレンジャーとセーラームーン、特撮とアニメでジャンルこそ異なりますが、5人の戦士達が力を合わせ敵と戦うというフォーマットは共通しています。


セーラームーン原作者の武内直子さんは、子ども時代に「秘密戦隊ゴレンジャー」を観て育ち、それを頭に踏まえた上でセーラームーンを描いていたのだといわれます。


今でこそ、世界中から愛される人気アニメ作品となった「セーラームーン」ですが、放送開始から半年の間は裏番組の「たけし・逸見の平成教育委員会」(フジテレビ)「まんが日本昔ばなし」(毎日放送)に押され視聴率は高くはなく、人形などの関連商品(バンダイ製の玩具等)が夏から販売され、秋以降から人気が上昇し、関係者の予想を上回る大ヒットを記録したそうです。


その人気は「まんが日本昔ばなし」の放送時間をゴールデンタイム(夜7時~10時)の外に追いやり、TBS系のアニメが民放キー局系の中で最も早く1994年にゴールデン・プライムタイム(夜7時~11時)から消滅させるほどでした。


このセーラームーンは日本での人気を獲得した後に、当時複数のアニメ作品を日本から輸入し、各作品がヒットしていたフランスにも輸出する動きが出始めます。


ところが、東映側にも輸出の上で懸念がありました。


それは本作が「女の子のアクション」を伴う作品であることでした。


この懸念通り、フランスのテレビ局側は当初受け入れを渋ったものの、現地のプロデューサーの鶴の一声で、1993年のクリスマスから放送が開始された結果、大ヒットしたそうです。


その結果、1995年3月には同時期に放送されていた「ドラゴンボール」と共に、「セーラームーン」は放送局での視聴率第1位・2位を獲得し、フランスで表彰されるまでに至りました。


美少女戦士を名乗り、邪悪な敵に勇猛果敢に立ち向かいながらも、可憐さや優美さも大きく強調された「セーラームーン」に続き、21世紀という新たな時代を迎えた日本において、新たな女性ヒーローチームが誕生します。


その作品こそ、東堂いづみ(東映アニメーションのオリジナル作品の共同ペンネーム)の原作で、2004年に放送が開始された東映アニメーション制作のアニメ作品「ふたりはプリキュア」(朝日放送)でした。





本作は、ベローネ学園中学校女子部に通う2人の女の子、ラクロス部のキャプテンでスポーツ万能な女の子、美墨なぎさ(キュアブラック)と、成績トップで科学部部長の優等生、「うんちく女王」の雪城ほのか(キュアホワイト)がタッグを組み、伝説の戦士・プリキュアとなってドツクゾーン(敵組織)と戦う物語。


「女の子だって暴れたい!」というキャッチコピーのもとで誕生した「ふたりはプリキュア」の製作にあたり、東映アニメーションプロデューサー・鷲尾天氏が構想したのは、前述したセーラームーンと異なるキャラクター像でした。


つまり、セーラームーンは激しい接近戦を伴うような躍動的なキャラクターではなく、華麗さがメインであったのに対し、プリキュアでは徒手空拳によるバトルと、男の子向けのテレビ番組にあった「変身」や「アクション」を加えて、女の子達に発信することが構想されたのです。


コスチュームのコンセプトも、モモレンジャーのようなピンクではなく「白と黒」。


徒手空拳で戦うことを前提としたアクトスーツとなりました。


本作の監督は「ドラゴンボールZ」でも監督を務めた西尾大介氏が務め、キュアブラック・ホワイト両者のデザインも、靴は女の子アニメで多かったヒールを避け、戦闘時にしっかりと足を踏ん張れるように厚底ブーツが採用されたのだとか。


さらに、これまでの女児向け玩具ではバトンやロッドが主流であったのに対し、男児向け玩具で主流だったカードを使った玩具を開発する等、これまでの女児向け番組の固定概念を打ち破る試みが実践されました。


こうして2004年2月1日に「ふたりはプリキュア」が放送されると作品は大ヒット。


鷲尾氏によれば、関連玩具が売り切れになったという連絡が東映アニメーションに嵐のように入ってきたそうです。


「ふたりはプリキュア」のヒットにより、プリキュアは現在までシリーズとして継続され、2023年にプリキュアは誕生20周年を迎えました。


このように「女児向け番組だから」という閉塞的な固定概念を打ち破り、シリーズとして展開されてきたプリキュアシリーズですが、その影響はメイン視聴者である女の子達にも及びました。


例えば、一昔前までピンク=女の子に人気、あるいは女の子の色という印象が強かったが、シリーズ第13作「魔法つかいプリキュア」(2016年)ではピンク(キュアミラクル)と紫(キュアマジカル)のチーム編成で1年間放送されてきたのに対し、キュアマジカルの人気が高かった点が挙げられ、視聴者である女の子達の好みが、ピンクの可愛い女の子から格好良い女の子へシフトしていることも指摘されました。


また、現在放送中のシリーズ第20作「ひろがるスカイ!プリキュア」では、シリーズで初めて青のプリキュア(キュアスカイ)が主人公として活躍するほか、男性プリキュアや成人女性のプリキュアが登場する等(キュアウィング、キュアバタフライ)、多様化する視聴者のニーズに適合した新たな試みも導入されています。


上述してきたプリキュアシリーズもセーラームーンと同様、その活躍の場は日本だけに留まりませんでした。


かつての「セーラームーン」も、1990年代よりアメリカで放送されるようになり番組は大ヒット、人形等の玩具が流通するようになったように、プリキュアシリーズもアメリカへと輸出されました。


シリーズ第9作「スマイルプリキュア」(2012年)が、「グリッターフォース(Glitter Force)」と題して、2015年にNETFLIXで配信されました。


また、アメリカのテレビアニメ「パワーパフガールズ」を2006年に東映アニメーションとアニプレックスがリメイクして、「出ましたっ!パワパフガールズZ」(テレビ東京、CS放送カートゥーンネットワーク)として放送しました。


「パワーパフガールズ」では幼稚園児だった主人公は、「出ましたっ!パワパフガールズZ」では中学生に変更されました。


ここまで紹介してきた日本のアニメ・特撮作品の「女性ヒーロー」達ですが、 現在もシリーズが継続され、新作アニメや映画の公開も控えているほか、彼女たちに会えるイベントも開催される予定です。


時代を超え、世代を超え、老若男女問わず愛され続けている女性ヒーローたちの今後の活躍が楽しみですね。