1969年10月の放送開始から、フジテレビ系アニメ「サザエさん」(日曜午後6時30分)のフグ田タラオ役を演じた、声優の貴家堂子さん(さすが・たかこ、本名・堀内堂子=ほりうち・たかこ)が5日、死去しました。
87歳でした。
フジテレビと所属事務所の東京俳優生活協同組合(俳協)が10日、発表しました。
死因は遺族の意向で公表しないが生前、最後の収録参加は今月2日でした。
今月26日に放送の「サザエさん ひな祭り1時間SP」が、最後の出演回となります。
貴家堂子を「さすが・たかこ」と読むのは、けっこう難読な名前です。
貴家さんは、高校卒業後の1954年ごろに、NHKとラジオ東京(現在のTBS)でラジオドラマを制作する放送劇団の募集をしていたのを知り、友人とオーディションを受け、TBS放送劇団の第6期生に合格しました。
花嫁修業が嫌だったというのが、オーディションを受けた本音の部分で、芸能界にはそれほど興味もなく、両親も反対していました。
TBS放送劇団で、演技の基本やマイクの使い方など、芸能界のイロハを学びました。
局付きの女優の立場で、その後、劇団は解散したが「レギュラーが途絶えることがなく」女優を続けました。
アニメの声優に初めて挑戦したのは、1963年にフジテレビ系で放送された、国産初の本格的なテレビアニメ「鉄腕アトム」でした。
1969年から出演した「サザエさん」は、オーディションに合格して出演が決定しました。
「リボンの騎士」(フジテレビ)のチンク、「ハクション大魔王」(フジテレビ)のアクビちゃん、「天才バカボン」(読売テレビ)のハジメちゃんなど、声が甲高い、かわいらしいキャラを演じる第一人者となりました。
「サザエさん」への出演は、1年の予定だったというが、そのまま半世紀以上、タラちゃんを演じ続けました。
放送開始から半世紀が過ぎた2019年には、フグ田サザエ役の加藤みどりさんとともに「最も長くテレビアニメシリーズにおいて同じ役を演じ続ける声優」のカテゴリーで、ギネス世界記録に認定されました。
これで、「サザエさん」で放送開始から出演しているのは加藤みどりさんだけとなりました。
「サザエさん」は出演している声優やスタッフの高齢化が進んでおり、若返りが課題となっています。