オリジナルとは異なる奏者や歌手が演奏・歌唱する楽曲を意味する「カバー曲」。
世に広く知られている楽曲の中にも、オリジナルではなくカバー曲だったというケースは少なくありません。
そこで今回は、実はカバー曲だと知って驚いたのはどの名曲なのかについてアンケートを行い、ランキングにしてみました。
(gooランキング調べ)
3位 なごり雪
フォークグループ「シュリークス」でデビューした歌手のイルカさんが、ソロデビュー後3枚目のシングルとして1975年11月にリリースした「なごり雪」。
卒業シーズンの定番曲として、今も多くの人に歌い継がれている名曲です。
同曲は、もともとフォークグループ「かぐや姫」が1974年に発売したアルバムの収録曲。
イルカさんは当初、かぐや姫ファンに配慮してカバーを拒んだそうですが、曲を手がけた伊勢正三さんに説得され、カバーを決意したのだとか。
伊勢正三さんの地元であるJR九州日豊本線津久見駅では、特急の発着時にメロディーが流れる名曲「なごり雪」が、3位となりました。
2位 千の風になって
秋川雅史さんが2006年にリリースし、同年に「第57回 NHK紅白歌合戦」で披露されたのをきっかけに大ヒットした「千の風になって」。
翌2007年にはクラシック歌手の曲としては史上初のミリオンセールスとシングルチャート年間1位を達成しました。
そのオリジナルは、作家の新井満さん(故人)が作者不詳の英語詩を翻訳し、自ら作曲・歌唱を担当した2003年発売の楽曲。
秋川雅史さん以外にも、新垣勉さんや加藤登紀子さん、辛島美登里さん、つるの剛士さん、中島啓江さん(故人)、岩崎宏美さん、ボーイズ・トゥー・メンなど、多くの歌手がカバーしています。
2007年には世界観を元にしたドラマが制作され、学校の教科書にも採用された「千の風になって」が、2位となりました。
1位 青いイナズマ
2016年に解散したアイドルグループ「SMAP」が、1996年7月にリリースしたシングル「青いイナズマ」。
森且行さんが脱退(引退)してから初めてのシングルです。
木村拓哉さんの「Get you」というフレーズが人気となり、「SMAP×SMAP」(フジテレビ)のテーマ曲にも起用された人気曲です。
そのオリジナルは、林田健司さんが1994年4月21日に発売したアルバム「白組」に収録されていた曲で、同日にシングルとしてもリリース。
2009年には「WORKS version」として再び林田さんのアルバム「WORKS」に収録されました。
2016年発売のベストアルバム『SMAP 25 YEARS』の収録曲にも選ばれた名曲「青いイナズマ」が、1位となりました。
多くの人が一度は耳にしたことのある名曲が上位を争った今回のランキング。
全ランキングは次の通りです。
1位 青いイナズマ/SMAP 原曲:林田健司
2位 千の風になって/秋川雅史、新垣勉ほか 原曲:新井満
3位 なごり雪/イルカ 原曲:かぐや姫
4位 いい湯だな(ビバノン・ロック)/ザ・ドリフターズ 原曲:デューク・エイセス
5位 WAになっておどろう/V6 原曲:AGHARTA
6位 見上げてごらん夜の星を/坂本九 原曲:伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズ
7位 ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー/あやまんJAPAN 原曲:木村由姫
8位 U.S.A./DA PUMP 原曲:ジョー・イエロー
9位 涙そうそう/夏川りみ 原曲:BEGIN
10位 ボヘミアン/葛城ユキ 原曲:大友裕子
11位 また君に恋してる/坂本冬美 原曲:ビリー・バンバン
12位 夏祭り/Whiteberry 原曲:ジッタリン・ジン
13位 アンパンマンたいそう/ドリーミング 原曲:CHA-CHA
14位 TRY ME~私を信じて~/安室奈美恵 with SUPER MONKEY’S 原曲:ロリータ
15位 志村けんの全員集合 東村山音頭/ザ・ドリフターズ 原曲:三橋美智也・下谷二三子
16位 また逢う日まで/尾崎紀世彦 原曲:ズー・ニー・ヴー
16位 ダンシング・ヒーロー/荻野目洋子 原曲:アンジー・ゴールド
19位 CHA-CHA-CHA/石井明美 原曲:フィンツィ・コンティーニ
20位 亜麻色の髪の乙女/島谷ひとみ 原曲:ヴィレッジ・シンガーズ
20位 KANSHAして/SMAP 原曲:林田健司
20位 ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~/DA PUMP 原曲:m.c.A・T
23位 浪花節だよ人生は/細川たかし、木村友衛 原曲:小野由紀子
24位 明日があるさ/ウルフルズ、Re:Japan 原曲:坂本九
24位 キューティーハニー/倖田來未 原曲:前川陽子
26位 セロリ/SMAP 原曲:山崎まさよし
27位 Jupiter/平原綾香 原曲:グスターヴ・ホルスト作曲 ※原曲がクラシックなので、演奏者名ではなく作曲者名で表記
27位 難破船/中森明菜 原曲:加藤登紀子
29位 YOUNG MAN(Y.M.C.A.)/西城秀樹 原曲:ヴィレッジ・ピープル
29位 愛が止まらない~Turn it into love~/Wink 原曲:カイリー・ミノーグ
31位 ZOO ~愛をください~/蓮井朱夏 原曲:川村カオリ
32位 すみれ September Love/SHAZNA 原曲:一風堂
33位 圭子の夢は夜ひらく/藤圭子 原曲:藤原伸 ※園まりもカバーしていたが、こちらのタイトルは「夢は夜ひらく」
34位 BE TOGETHER/鈴木亜美 原曲:TM NETWORK
34位 ホタテのロックン・ロール/安岡力也 原曲:内田裕也&1815ロックンロールバンド
34位 タイミング ~Timing~/Klang Ruler 原曲:ブラック・ビスケッツ
34位 まちぶせ/石川ひとみ 原曲:三木聖子
38位 哀愁でいと/田原俊彦 原曲:レイフ・ギャレット
39位 SHOW ME/森川由加里 原曲:カバー・ガールズ
39位 Feelin’ Good ~It’s PARADISE~/DA PUMP 原曲:m.c.A・T
41位 GOLDFINGER’99/郷ひろみ 原曲:リッキー・マーティン
41位 ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO/ 麻倉未稀 原曲:ボニー・タイラー
43位 SAMURAI DRIVE/hitomi 原曲:cune
44位 Choo Choo TRAIN/EXILE 原曲:ZOO
44位 ファイアークラッカー/YELLOW MAGIC ORCHESTRA 原曲:マーティン・デニー
44位 SUMMER NUDE ’13/山下智久 原曲:真心ブラザーズ
44位 ハロー・グッバイ/柏原芳恵 原曲:アグネス・チャン
49位 夏をあきらめて/研ナオコ 原曲:サザンオールスターズ
49位 深夜高速/岡崎体育 原曲:フラワーカンパニーズ
51位 愛は花、君はその種子/都はるみ 原曲:ベット・ミドラー
51位 To Feel The Fire/ONE OK ROCK 原曲:スティーヴィー・ワンダー
51位 NEVER/未唯mie 原曲:ムービング・ピクチャーズ
51位 My First Kiss/Hi-STANDARD 原曲:あんしんパパ
55位 DOWN TOWN/EPO 原曲:シュガー・ベイブ
56位 デイ・ドリーム・ビリーバー/THE TIMERS 原曲:モンキーズ
56位 今はもうだれも/Alice 原曲:ウッディ・ウー
58位 チャイナアドバイス/ロイ-RoE- 原曲:相対性理論
59位 大阪ストラット(パート2)/ウルフルズ 原曲:大瀧詠一
こうして見ると、原曲はシングルリリースされたが全然ヒットしなかったり、B面曲やアルバムの中の曲が目立ちます。
洋楽のカバーも多いです。
「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」(西城秀樹)は洋楽のカバーだったため1979年の日本レコード大賞にエントリーできず、西城秀樹さん(故人)は「勇気があれば」でエントリーしていました。
また、西城秀樹さんと郷ひろみさんは「ケアレス・ウィスパー」(ワム!)を同時期にカバーしていたが、西城秀樹版は「抱きしめてジルバ」というタイトルがついていました。
郷ひろみさんは奥様のアイドル、フリオ・イグレシアスの「黒いひとみ」もカバーしていました。
「いい湯だな」(デューク・エイセス)はもともと群馬県のご当地ソングとしてリリースされ、歌詞に登場する温泉は草津、伊香保、万座、水上と全て群馬県の温泉でした。
ザ・ドリフターズ版では登別、草津、白浜、別府と全国に広がっていました。
ザ・ドリフターズ版はデビューシングル「ズッコケちゃん」のB面曲だったが、両面ジャケット仕様で事実上の両A面扱いであり、「ズッコケちゃん」より本曲の方がヒットしました。
また、この曲をアレンジしたものが「8時だョ!全員集合」(TBS)と「ドリフ大爆笑」(フジテレビ)のエンディングでもそれぞれ使用されました。
タイトルは「8時だョ!全員集合」版は「ドリフのビバノン音頭」、「ドリフ大爆笑」版は「さよならするのはつらいけど」で、歌詞はそれぞれオリジナルのものでした。
「WAになっておどろう」(AGHARTA)はNHK「みんなのうた」で取り上げられた曲です。
「見上げてごらん夜の星を」は平井堅さんもカバー、NHK紅白歌合戦ではVTR映像の坂本九さん(故人)と共演しました。
「NEVER」(未唯mie)は「不良少女とよばれて」、「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」(麻倉未稀)は「スクール☆ウォーズ」、「CHA-CHA-CHA」(石井明美)は「男女7人夏物語」、「SHOW ME」(森川由加里)は「男女7人秋物語」とTBS系ドラマの主題歌としてヒットしました。
「CHA-CHA-CHA」は石井明美さんのデビュー曲でした。
石井明美さんはもともと美容師志望で、歌手になるつもりはなく、高校卒業後は東京・銀座の有名美容院に就職していたが、仕事に馴染めず1年で退社しました。
その後、知人の紹介でアルバイトをしていた東京・六本木のカラオケスナックでスカウトされました。
そのカラオケスナックは芸能関係者が多く集まる店だったのです。
デビュー前は事務所の先輩の中森明菜さんのコンサートの前座で歌ったことがありました。
彼女が「CHA-CHA-CHA」を歌うことになったのも、洋画のカバーに加え「男女7人夏物語」は主演が明石家さんまさんとお笑いタレントが主演するドラマだったからです。
「ホタテのロックンロール」は安岡力也さん(故人)が「オレたちひょうきん族」(フジテレビ)のタケちゃんマンに出演していた頃に演じていたキャラクター「ホタテマン」に扮して歌った曲だが、実際は内田裕也さん(故人)が歌った他局の子供番組のテーマ曲の替え歌です。
あまりの好評ぶりからシングルが発売され、32万枚のセールスを記録し、ついにはホタテマンがサッポロ一番(サンヨー食品)のCMに起用され歌唱する事態となりました。(曲はホタテのロックンロールではない)
原曲もヒットした「すみれ September Love」 (一風堂)はカネボウ化粧品、「Choo Choo TRAIN」(ZOO)はJR東日本とともにCMソングからのヒットでした。
「キューティーハニー」(前川陽子)は同名のテレビアニメの主題歌でした。
ランキングに登場しなかったが、異例のカバーとなったのが「駅」で、竹内まりやさんが作詞作曲して中森明菜さんのアルバムに提供した曲だが、夫の山下達郎さんが「イメージが違う」と指摘、竹内まりやさんが自らカバーしてシングルリリースしました。
このほか、有名なカバー曲としては、
花/石嶺聡子 原曲:喜納昌吉
HERO/中山美穂 原曲:マライア・キャリー
時代/薬師丸ひろ子 原曲:中島みゆき
17才/森高千里 原曲:南沙織
学園天国/小泉今日子 原曲:フィンガー5
夢の中へ/斉藤由貴 原曲:井上陽水
ヴィーナス/長山洋子 原曲:バナナラマ
矢切の渡し/細川たかし 原曲:ちあきなおみ
みちづれ/牧村三枝子 原曲:渡哲也
ビューティフル・サンデー/田中星児 原曲:ダニエル・ブーン
知床旅情/加藤登紀子 原曲:森繁久彌
琵琶湖周航の歌/加藤登紀子 原曲:旧制高校寮歌
マイウェイ/布施明、菅原洋一 原曲:フランク・シナトラ
などがあります。