ローカル線の問題 | 女装男子かなこのブログ

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JR西日本はこれまで、多くの利用客がいる都市部や新幹線でできあがった利益でローカル線を維持してきましたが、4月11日、一部のローカル線について、区間ごとの収支を初めて発表しました。


公表された17路線30区間は、1日1キロメートルあたりの平均乗客数が2000人未満という、いわば利用客が少ない路線です。


年間約247億円の赤字だといいます。


長谷川社長は公表の意図について「関係する自治体の皆さまと情報共有し、より一層対話を深めたい」とし、路線のあり方について各自治体と一緒に考えていきたいという意向を示しています。


あくまでJR西日本は「廃線」とは口にしていませんが、いつも利用する鉄道が大きな赤字だと聞き、地域では不安が広がっています。


近畿で最も営業赤字が大きかったのは、紀勢線の新宮~白浜間。


那智の滝をはじめ、観光名所も多い地域ですが、平日の昼間、電車1本を乗り降りするはわずか数人です。


それでも、利用者からは「残してほしい」「ほかに線が通ってないから、すごく困ると思う」といった声が聞かれました。


また、日本海に面する兵庫県香美町は、カニ漁が盛んなことから冬は観光客でにぎわいます。


その香美町を通る山陰線の城崎温泉~浜坂間についても、大きな赤字が続いているということです。


地元の観光協会によりますと、かき入れ時は雪深く、交通手段として、鉄道に大きく期待しているということです。


こうしたローカル線の「廃線」が懸念される中、4月14日、兵庫県の斎藤知事は、山陰線でつながる鳥取県の平井知事と会談しました。


斎藤知事は「JRさん、もともと国鉄という歴史がある中で、(やはりユニバーサルサービスということで、)沿線の一体性を維持していく責務もあると思います」と言いました。

突き付けられたインフラ存続の危機に、対象となった兵庫県内の沿線自治体からは「赤字だからと切り捨てるのか」と維持を求める声が上がっていました。


「赤字区間だけを切り取るのは、運営の見直しありきのように思える」


播磨新宮-上月間の赤字額(2017年度から3年間の平均)が6億円だった姫新線の地元、兵庫県佐用町の庵逧典章町長はJR西日本の発表に首をかしげました。


町民の生活圏は、鉄路を通じて姫路を中心とした都市部とつながっています。


高齢化が進み、町外の学校へ通う高校生も増えている中で、「経営状況は理解できるが、生活の軸をなくされてはこちらも困る」と憤りました。


佐用町にある4つの駅のうち、三日月・播磨徳久・上月駅の3つの駅舎などは、町が総額4億5000万円をかけて整備し管理しています。


さらに佐用町は鉄道の利用を促進するために、学生の定期券補助や、5人以上で姫新線を利用した場合に片道分の切符代を補助するなどの取り組みを行っています。


町内にある県立佐用高校は普通科のほかに農業科と家政科もあり、同校に通う生徒の7割ほどが町外から鉄道などで通っていて、廃線になれば生徒への影響も大きいといいます。


姫新線利用促進・活性化同盟会によると、姫新線の姫路-上月間では、沿線の自治体の取り組みで、2009年度には238万人だった乗客数がコロナ禍前の2019年度には322万人にまで増加しています。


姫新線の利用者の減少に危機感を感じた兵庫県内の沿線の自治体、姫路市・たつの市・佐用町は一体となって、姫新線の活性化のためのプロジェクトを立ち上げました。


当初は電化による高速化を目指しましたが、費用がかかることから非電化のまま高速化を目指し、現在主力となっているキハ122・キハ127系気動車が登場しました。


軌道強化もあって最高速度も85km/hから100km/hに引き上げられ、到達時間は10~20分短縮されました。


その後も自治体と住民一体となっての取り組みは続き、2015年度は利用者が300万人を突破、コロナ禍になる前の2019年まで300万人を超えていました。


しかし、今回の発表では、播磨新宮-上月間だけが赤字路線とされました。 


佐用町の庵逧典章町長は、「利用者が少ないところだけを取り上げて赤字路線という発表の仕方をされましたのでね。そういう部分を切り取って廃線にしていくのか、そういう意図が感じられまして、非常に危機感を感じている」と言います。


姫新線沿線にある食品メーカー、ブンセン(兵庫県たつの市)が毎年、国鉄時代からダイヤ改正ごとにポスター型の姫新線の時刻表を製作して新聞折り込みで沿線の住宅に届けています。


沿線のたつの市や佐用町の住民は、この時刻表をもとに外出の予定を立てるそうです。


西脇市の片山象三市長も「加古川線全体の実態を反映した数値ではない」と公表方法に疑問を投げかけました。


西脇市-谷川間は赤字額(2億7千万円)や収支率などが示された一方、接続する加古川-西脇市間は対象外として明らかにされませんでした。


新潟県の糸魚川市を走る大糸線は、コロナ禍の前でも年平均5億7000万円の赤字です。


今後の在り方が見直されようとする中、沿線の地域では不安が広がっています。


大糸線は長野県の松本駅から糸魚川駅までをつないでいます。


電化されている松本駅から南小谷駅まではJR東日本が運営、その先の糸魚川駅までは非電化でJR西日本が運営しています。


必要としている乗客がいる一方で利用者の数は年々、減少しています。


1990年代までの大糸線のJR西日本が管轄する区間では、夏の避暑と冬のスキーのシーズンには京阪神地区から多くの臨時列車が運転されていました。


2000年代以降、これらの臨時列車は運転されていません。


1日の平均利用者数がピーク時、1282人でした。


しかし、2020年度は50人まで減っています。


大糸線は新型コロナウイルスの影響がない2017年度からの3年間でみても年平均5億7000万円の赤字でした。


糸魚川市の米田徹市長は「通学通勤の生活だけでなくて観光や産業、防災など当地域において欠かすことのできない大切な公共インフラでございます。今の段階におきましては、鉄路以外ないととらえております」 と言います。


大糸線は沿線の観光にも貢献してきました。


糸魚川市などを襲った1995年7月の水害では、姫川の堤防が決壊し大糸線の線路や鉄橋が流されました。


それでも大糸線は2年4か月後に全線が開通しました。


大糸線の地元では過去にも廃線を危ぶんだ時期がありました。


きっかけとなったのは北陸新幹線の開通です。


並行して走る在来線はJR西日本の経営から離れ、第3セクターが運営することになりました。


その結果、新潟県内にあるJR西日本管轄の路線は大糸線だけとなりました。


当時から赤字だったため廃線となるのではないかと不安が広がっていたのです。


地元の住民は「大糸線・北陸線を守る会」を設立、JR西日本に存続を求めてきました。


ローカル線の収支を公表した2日後、JR西日本の長谷川一明社長は赤字のローカル線について廃線などを前提としないと強調しました。


水害や北陸新幹線の開通など存続の危機を乗り越えてきた大糸線。


これからも生活や観光のインフラとして地域を支えてくれるのか。住民は不安を募らせています。


もちろん赤字線区が多くなれば無視できない数字になります。


国鉄再建法が制定される前年、1979年度の国鉄の運輸収入は幹線約2兆7000億円に対して、地方交通線は約1700億円と全体の6%しかありませんでした。


営業損失は幹線約5500億円、地方交通線約2300億円と全体の3割近くを占めていました。


JR西日本も国鉄と同様に内部補助が成り立たなくなっているのであれば、各路線各区間の収支をつまびらかに公開せずとも、せめて山陽新幹線、近畿エリア在来線(アーバンネットワーク)、広島や岡山などの地方都市圏などのくくりでよいから数値を示すべきでした。


今回の発表を素直に読むと、30線区の深刻な赤字を改善するためにJR西日本は見直しを進めたいのだと思うはずです。


しかし、ややこしいのは、同社は赤字は理由ではないのだと主張するのです。


「コロナで赤字だから(ローカル線の見直しを)やるんだろうと言われますが、コロナ前からご利用いただけていません。中期経営計画に掲げて地域と取り組みを進めているように、何とかしないといけないという課題認識はコロナ前からありました。 (JR西日本は)二期連続赤字で大変な状況でもあり、結果としてコスト削減や損失改善につながるのかもしれませんが、ますますローカル線が鉄道として役に立てない状況が進んでいくため、なるべく早く議論を始めましょうということです」


結果的に収支改善につながることは否定しないものの、「赤字」だから「廃線」したいのではなく、現状では選ばれていない鉄道を地域の実情にあった、利用しやすい交通機関に転換する前向きな議論なのだと何度も強調していました。


だが、今回の発表で論点は収支と赤字、つまりJR西日本が「不採算路線」から「撤退」するか否かに絞り込まれてしまいました。


もちろん路線別の収支を伏せたまま自治体と議論はできず、公表しないという選択はあり得なかったが、問題は赤字額ではなく地域交通を利用しやすい形に再生することが第一義だと訴える方が分かりやすかったように思えてきます。


斉藤鉄夫国土交通大臣は4月12日に開かれた定例会見で、JR西日本が4月11日に公表した輸送密度2000人キロ/日未満の線区別収支について、記者の質問に答えました。


冒頭、今回の公表をどのように受け止めているのかについて問われた斉藤大臣は、「JR西日本からは、地域の方と各線区の実態や課題を共有し、持続可能な地域交通体系の実現について議論を行っていく必要があるため、線区の経営状況に関する情報開示を行うこととしたものであり、事業の休廃止など路線の見直しを行うためのものではないと聞いています」と述べ、廃止を前提にしたものではないと前置きしました。


公表は地域交通の再構築の上で有意義なことであるとしました。


反面、「輸送密度2000人未満であることをもって一律に取り扱うことは適当ではないと考えています」とも述べており、JR西日本に対し、情報共有を通して地域と円滑に対話することを期待しました。


大臣自身も2018年4月に廃止された三江線(三次~江津)沿線で育っており、鉄道がなくなることに寂しさを実感しているとも述べているが、それだけに地域の公共交通を残していくことは非常に重要であるとして、鉄道事業者に任せるだけではなく、自治体を含めて地域で話し合う空気を醸成するためにも、意義ある公表だったという認識を示しました。


また、国土交通省では2月から、地域鉄道のあり方を検討する「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」を開いているが、ここで輸送実態を踏まえた議論を行ない、その結果を夏頃にもとりまとめたい意向も示しています。


このほか記者からは輸送密度2000人/日未満の線区のみを公表したことは後ろ向きな姿勢ではないのかという意見が出たが、これについては「鉄道事業者がどの範囲で路線別収支を公表すべきかについては、各社の事情に応じて地域との対話の過程で鉄道事業者が適切に判断していくべき事柄と考えています」と述べるに留めました。


一方、JR西日本が公表した線区の中で唯一、新潟県内に含まれている大糸線については、新潟県の花角英世(はなずみひでよ)知事が4月13日に開かれた定例会見で記者の質問に答えました。


質問で、記者からは「廃止を前提にした議論が」という言葉が出たが、これに対して花角知事は「あなた(記者)の個人的な見通しではないのか」と釘を刺し、廃止ありきの空気をけん制。


数字自体は厳しいものであると認識しつつ、大糸線の活性化策を協議する場づくりの最中であり、今後は南小谷~平岩間が含まれる長野県と連携して取り組んでいくと述べるに留めました。


大糸線については、2017~2019年が年平均5億7000万円の赤字となっており、100円を稼ぐために要した費用を示す営業係数は2693円だが、収入に対する費用の割合を示した収支率は3.7%と低い水準にあります。


これは運行本数が少なく、その分、線路保守などに要する営業費用も少ないことの証左で、逆に特急や貨物列車が多く運行されている幹線では比率が高くなる傾向にあります。


また、コロナ禍を反映した2018~2020年の平均では、収支率こそ2.9%と低くなったが、2020年度の1日あたりの輸送密度が対2019年度比で半減(102人→50人)していることから、赤字額は4000万円、営業係数は738円増加しています。