タイヤに顔がついたキャラクターが描かれたヨコハマタイヤの古い看板類を、街で見かけることがあります。
「あの顔」は、そもそもどのような存在で、いまも健在なのでしょうか。
ヨコハマタイヤの「あの顔」と聞いてピンとくる人は、ある程度の年齢層以上の人かもしれません。
というのも、「あの顔」が描かれた看板類の多くは古いもので、現在、街なかで目にする機会はまれだからです。
そもそもどのようなキャラクターで、そしていつから使われなくなったのでしょうか。
ヨコハマタイヤブランドを展開する横浜ゴム(東京都港区)によると、あのキャラクターの名前は「スマイレージ」といいます。
「Smile(微笑)」と「Mileage(走行距離)」を合わせた造語で、「笑顔で楽しく、どんどん走れるタイヤ」という意味を込めて命名されたようです。
誕生の詳しい経緯は不明ですが、かつて横浜ゴムと資本関係にあったアメリカのタイヤメーカー・B.F.グッドリッチが、1957、58(昭和32、33)年くらいからこのマークを使い始め、同社も1962(昭和37)年から使用を開始しました。
お客様に「ヨコハマタイヤを笑顔で満足してもらうため」に、同社と販売店が一体となってサービスの向上を図る主旨で、当時のヨコハマタイヤ販売店を「スマイルショップ」と命名し、そのシンボルマークとして掲げました。
1980年代後半から、高性能・スポーツ向けとしてアルファベットによる「YOKOHAMA」の認知拡大戦略にシフトし、一般向けとしての「ヨコハマタイヤ」からイメージを転換したため、看板も徐々に赤と黒の新しいロゴ、つまり現在の「YOKOHAMA」ロゴに変更していきました。
現在街で目にする「スマイレージ」の看板類はそれまでの名残だと思われますが、「皆様に親しまれる、楽しいタイヤ作り」という根幹はいまも変わっていないそうです。
「スマイレージ」は現在、会社のシンボルマークなどの位置づけではないが、その存在は貴重な歴史的事実であり、少なからずファンもおり、横浜ゴムのfacebookやTwitterといったSNS限定で使用しています。
同社広報部の取材に「同行」することもあるそうです。
横浜ゴムはSNS上での「スマイレージ」について、「昔を知る方からは『懐かしい』、若年層の方からは『きもかわいい』と親しまれています」と話しています。