苦境に立つ地方のラジオ局、そして新たな試み | 女装男子かなこのブログ

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新潟県と愛知県のラジオ局が、相次いで廃局を発表しました。

広告収入の不足などを理由としているが、地域に根ざしたメディアの消滅を惜しむ声は絶えません。

一方で、ネット配信に新たな活路を見出す局もあります。


新潟県域で放送するFM PORT(新潟県民エフエム放送)は、2020年6月30日をもって廃局します。

3月31日の発表文には、切実な事情が書かれていました。

同社は以前からスポンサー不足による債務超過があり、そこへ大口スポンサーの出稿停止が追い打ちをかけました。

経費削減や営業強化を行ったが、「放送局として経営継続が困難と判断」するに至りました。

2000年開局のFM PORTは、ネットワークに属しない独立局ならではの番組編成で人気でした。

2020年4月時点の番組表を見ると、自社制作に加えて、ラジオ日本(AM・神奈川県)やNACK5(FM・埼玉県)、K-MIX(FM・静岡県)といった他局番組もラインアップされています。

新潟県にはK-MIXと同じJFN系のFM新潟があるので、おそらくK-MIXでは放送しているがFM新潟では放送していないTOKYO FMまたはJFN制作の番組をネットしていると思われます。

独立局はキー局の制約を受けないので編成も独自にできる一方、コンテンツ調達も自力で行う必要があります。

ラジオのネットワークには、AMではNRN(キー局:文化放送・ニッポン放送)、JRN(同TBSラジオ)、FMではJFN(同TOKYO FM)などがあり、それらに加盟すると番組供給を受けられるのがメリットです。

しかし、ネットワークに属していても、順風満帆に行くとは限りません。

愛知県名古屋市を中心エリアとするRadio NEOが、そのひとつです。

InterFM897(東京都)を中心とする外国語放送のネットワーク「MegaNet」に加盟しているが、こちらも6月30日で廃局します。

経緯を振り返ると、ローカル局の事情に加え、外国語放送局の難しさが見えてきます。

かつて名古屋圏には、MegaNet加盟のFM局RADIO-i(愛知国際放送、2000~10年)がありました。

経営難で同局が廃局になったことを受けて、2014年に同周波数でInterFMが「InterFM NAGOYA」を開局しました。

2015年にRadio NEOへ改称し、翌年に別法人になりました。

そして2020年3月末、「諸般の事情」を理由に、6月30日で廃局すると発表しました。

MegaNet加盟局は2011年に福岡の九州国際FM(Love FM)がコミュニティーFM局の天神FMに吸収合併され、2012年には大阪のFM CO-CO-LOがFM802に事業譲渡され、FM802は1局2波になり、FM CO-CO-LOの外国人向け番組は大幅に縮小されました。

JFN系でも、2010年にKiss FM KOBE(兵庫県)、2014年にFM岐阜が倒産、JFL系(キー局はJ-WAVE)では2008年にCROSS FM(福岡県)が倒産、いずれも新会社を設立して事業を継承しました。

このうち、Kiss FM KOBEは1991年の開局以来、いずれのネットワークにも加入しない独立局でしたが、1995年に発生した阪神大地震の後経営が悪化、2003年にJFNに加入しました。

現在、いずれのネットワークにも加入していないラジオ局は、AM局はラジオ日本、岐阜放送、ラジオ関西(兵庫県)、FM局はNACK5、BayFM(千葉県)、FMヨコハマ(神奈川県)、FM富士(山梨県)、α-station(京都府)、そして廃局が決まったFM PORTがあります。

短波放送のラジオNIKKEIは1局で全国放送しているため、ここには含まれません。

このうち、ラジオ関西は1978年にNRNから脱退したため独立局になったものです。

理由はNRNのプロ野球中継が巨人戦から撤退(その後、1993年に巨人戦中継に再参入)、巨人戦の中継をラジオ日本からネット受けするためでした。

ラジオ関西のプロ野球中継は、阪神戦中心の朝日放送ラジオ、毎日放送ラジオとの対抗策のため、巨人戦中心に放送しています。

なお、ラジオ関西はNRNから脱退した後も、NRN加盟局からの番組供給は継続しています。

FM富士は1992年にJFNから脱退して独立局になったものです。

FM富士は1988年の開局当初から山梨県内の県域局にこだわらない経営方針で、開局前からJFNに加入するかしないかでもめていました。

FM富士がJFNから脱退した後は、山梨県内ではほとんどの地域でTOKYO FM・JFN 系のFMラジオが聞けません。


この春は、ネット配信サービス「radiko(ラジコ)」への地方ラジオ局参入も相次いでいます。

3月2日にHi-Six(FM高知)、4月1日にAFM(FM秋田)、Rhythm Station(FM山形)、FM岡山、V-air(FM山陰)、JOY FM(FM宮崎)が配信スタート。

15日からはFMS(FM佐賀)でも始まります。

基本的には、その県域に配信エリアは限られるが、有料会員のradikoプレミアムに加入すると、全国から聴取できます。


今春参加した7局は、いずれもJFN系です。

これまでもJFN各局は系列アプリ「WIZ RADIO」(2018年4月開始)で聴取できました。

しかし、TOKYO FM公式サイトの番組審議会議事録(2019年11月12日開催分)によると、オーディオアド(音声広告)市場や、海外事業者との契約実態を理由に、WIZ RADIOは近く終了し、今後はradikoと緊密な関係を保つ予定だと説明されています。

今回の一斉参加は、その端緒なのでしょう。

首都圏に目を向けると、4月からradikoのデータを用いて、日々の聴取率を推計する「ラジオ365データ」が始まりました。

これまで首都圏ではビデオリサーチの調査が年6回(1週間ずつ)行われていたが、対象期間外の聴取率は把握しづらかったため、新サービスは、これを365日、毎分単位で分析するというものです。

これまで聴取率調査期間には、「スペシャルウィーク」などと称して、豪華ゲストやプレゼントを用意する局が一般的でした。

しかし、TBSラジオは2018年に「スペシャルウィーク」を廃止しており、後を追う局も出てきそうです。

当初は首都圏から提供されるが、近い将来、全国に広がるでしょう。

地元のみならず、全国のラジオ局がライバルとなるとき、改めて各局の真価が問われることになりそうです。