夏の高校野球大会が開幕しました。
その開会式で選手の行進を先導するのが、西宮市立西宮高校の女子生徒です。
49代表に加えて、日章旗や大会旗、歴代優勝校の校旗などの担当も含め、今年は126名が合格しました。
入場行進の際、プラカードによる先導が始まったのは1949年の第31回大会からで、それ以来、西宮高校の女子生徒から選抜されるのが習わしとなっています。
そのきっかけとなったのは、戦後の学制改革です。
各地で選ばれる代表校に多数の「新制高校」が出場するようになり、まだなじみの薄い学校名を印象付けるため、プラカードに学校名を書いて、行列の先頭に立つことが発案されました。
また、学制改革によって数多くの高校が男女共学になったこともあり、「開会式でも何か新機軸を出したい」「女性も大会に参加してもらおう」と、女子生徒による先導が決まったそうです。
この「プラカード先導」を検討する会議に参加していたのが、甲子園球場からほど近い場所にある西宮高校の教諭で、「それじゃ、うちの女子生徒で」と快諾しました。
戦前は女学校だった西宮高校は男女共学校に変わったばかりで、「変革」を打ち出すには適任でした。
プラカード・ガールはかつては3年生が担当しましたが、その後は2年生が担当するようになり、現在では1年生も先導役を務めるようになっています。
「プラカード・ガールになりたい!」と西宮高校に入学する女子生徒も多く、毎年、倍率は2~3倍にも及ぶという狭き門です。
過去には、祖母・母・娘3代に渡ってプラカードを持った生徒もいますし、抽選の縁で担当したチームの選手と結婚した生徒もいます。
今年は126人の枠に、1、2年生の70%を超える251人が応募しました。
オーディションではプラカードの代わりに竹棒を持ち、歩くリズムや姿勢の審査を受けるそうです。
初めて先導役を選んだ1949年当時の選考基準は「身長155センチ以上、身体強健、運動選手、容姿端麗」でした。
現在は運動選手にこだわらず、また「乙女心を傷つけてはいけない」と「容姿端麗」の条件も削除されました。
選ばれた生徒は抽選で担当校が決まり、行進の練習をして開会式に臨みます。
ちなみに、春のセンバツでは2007年まではボーイスカウトの高校生がプラカード先導役を務めていましたが、2008年以降は各出場校の生徒が務めています。