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米国の軍事力を利用した「独立」を目論んでいた台湾の新総統が主張を後退させた
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202405220000/

台湾では民主進歩党の頼清徳が5月20日、新総統に就任した。

 

1月13日に実施された総統選挙で40%を獲得、33%だった中国国民党の侯友宜、26%だった台湾民衆党の柯文哲を抑えて勝利している。

就任演説の中で頼は「抑止力」を高めて戦争を回避する主張したが、アメリカ支配層から見るならば、これは「戦力」を増強して中国との戦争に備えるということだ。

頼はハーバード大学を卒業した元医師で、蔡英文の政策を継承していると宣言している人物。

 

前総統の蔡英文と同じように、新総統は中国からの独立を主張してきた。

 

就任演説では「現状を維持する」と主張しているが、有権者の反発を考慮してのことだろう。

 

 

民進党はアメリカ政府を後ろ盾にしているのであり、「独立」、つまりアメリカ軍へ台湾を提供する方針を変えることはできないはずだ。

1991年12月にソ連が消滅して以来、アメリカ政府は東アジアでも軍事体制を強化してきた。

 

本ブログでは繰り返し書いてきたように、日本は1995年にアメリカの戦争マシーンに組み込まれ、戦争を見据えて法律を整備、ミサイル施設を建設してきた。

 

2016年に与那国島、19年には宮古島と奄美大島、そして23年には石垣島。

 

その間、2017年には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器を朴槿恵大統領のスキャンダルを利用し、強引に運び込んだ。

 

 

こうした配備は言うまでもなくアメリカ国防総省の戦略に基づいている。

 

 

 

ジョー・バイデン政権が中国敵視を明確にした​2022年の12月にアメリカではNDAA 2023(2023年度国防権限法)が成立​、アメリカ陸軍の特殊部隊が「軍事顧問」として金門諸島と澎湖諸島に駐留し、台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。

 

 

中国福建省の厦門から約10キロメートルの場所にある台湾の金門はアメリカにとって軍事的に重要な拠点だ。

台湾の場合、2022年8月2日にアメリカの下院議長だったナンシー・ペロシが台湾を訪問、1972年2月にリチャード・ニクソン大統領が中国を訪問してから続いていた「ひとつの中国」政策壊しにかかり、アメリカと中国との関係は悪化。

 

 

「ひとつの中国」とは、アメリカなどが台湾を軍事拠点にすることを許さないということを意味、アメリカがそれを壊そうとするのは軍事的な緊張を高めると同時に台湾をアメリカの軍事拠点にすることを目的にしている。

2023年8月には頼清徳副総統がニューヨークとサンフランシスコに立ち寄った。

 

何らかの話し合いが持たれたであろうが、台湾とアメリカとの結びつきをアピールすることが目的だったのだろう。

また、半導体やAI(人工知能)、軍事産業、次世代通信といった産業を育成し、台湾を「AIの島」にするとしているが、すでにこの分野では中国が急速に成長、強力なライバルになっている。

 

中国は大きな市場なのだが、アメリカに従う限り、その市場でビジネスを展開することは難しい。

 

EUと同じような悲惨な運命が待っているかもしれない。

アメリカのジョー・バイデン政権が2022年8月9日に署名したCHIPS 科学法はアメリカ国内における半導体の研究、製造を支援することが目的で、補助金を含む投資総額は5年間で2800億ドルに達するとされている。

 

 

半導体メーカーなどに供与する補助金の審査プロセスに「国家安全保障条項(ガードレール条項)」が追加されているため、補助金を受け取る企業は中国、ロシア、イラン、朝鮮で生産規模を拡大したり共同研究することが制限された。

 

しかも規制対象は1世代以上前の「成熟技術」による半導体製造も含まれている。

それに対し、中国は昨年8月からガリウムとゲルマニウムを輸出する際に特別なライセンスを求めている。

 

このふたつの金属はコンピューター・チップの製造に必要。

 

世界市場における流通量の約95%は中国が生産している。

しかも、先端技術力の分野で中国は急速に進歩している。

 

アメリカは国内外の企業に対し、ファーウェイへの5Gチップ提供を停止するよう要求していたが、中国は代替品の開発を開始、高性能コンピューティングやAI開発に使われるNvidiaのA100 GPUに匹敵する速度のグラフィックプロセッサを開発した。

ファーウェイが2023年8月に発表した5GスマートフォンのMate 60 Proには中国企業HiSiliconのKirin9000シリーズの新しい製品が使用されている。

 

発売開始されると中国で爆発的な売れ行きを示し、iPhone 15を凌駕、必然的にiPhoneの販売台数は深刻な落ち込みを見せた。

 

このスマートフォンに搭載されている新型5Gチップは最先端でないものの、本物であり、高度なチップだ。

 

アメリカ政府による「制裁」が中国のエレクトロニクス技術の進歩を加速させたわけである。

こうした中国の技術進歩だけでなく、アメリカ自身の問題もある。

 

その問題を的確に指摘したのはアップルのスティーブ・ジョブスだ。

2010年の秋、ジョブスはバラク・オバマ大統領から工場をアメリカで建設してほしいと頼まれたのだが、それを拒否している。

 

ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニアが必要。

 

アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできない。

 

アメリカで工場を作って欲しいなら、それだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だというのだ。

 

この問題は解決されていない。

 

 


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