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今朝はやっと恒例の朝バールをしてきました爆笑
咳もほぼ治まり、あとはこの鼻声をなんとかすればオッケーというところです。



先日、日本の声楽仲間と話していて、ふと思い出しことなんですが、、

日本にいた頃、歌に関して、何が正しいのか間違いなのか、なにがいいのか悪いのか、どこにいくべきなのか、全てが曖昧で、迷子のようにさまよっていたのを思い出しました。


私はそれらの言葉にならない不明瞭さは自分の実力のなさゆえなんだ、疑問だらけながらとにかく前に進まなければわからないものなんだと自分を奮い立たせ、大学院を卒業し、二期会のマスターも出ました。そこからやっと社会に出てみたところ、昔から持っていたその種の疑問は、なに一つ解決されていなかったし、周りも誰も教えてくれなかったのです。周りに尋ねても『みんなそれぞれだしね』となんとも全てがそれで通ってしまうようなオールマイティな返事がお決まりのように返ってきていました。

社会に出て2年目、歌に嫌気がさし、自分にも嫌気がさし、心のどこかで救いを求めて決めた短期留学。

シンプルに音楽を楽しめなくなっていたあの頃、頭でなく、心から音楽を感じたいとヨーロッパに行くことを人生で初めて考えた。

そこから色々調べ、あるご縁があって、すぐに今の師匠との出会う。

この方とのご縁が、私の歌の全てを変えてくれたと言えます。

漠然と、歌ってこうなはず、こうじゃないはず。の感覚は持っていて、今思えばそれらは大方全て正しかったんだけど、なんせ術を知らないし、変な癖だらけで長く歌ってきてしまったためにそれを取るのも大仕事。声の道を作るって一体どういうことなのか、なにを求めて歌うのか、時間をかけ、しっかりじっくり根気強く、それでいて明瞭に勉強してきました。
頭で理解をするのはまだ可能ですが、実際にやるのは本当に本当に難しいので、メソッドを理解するのに2年半。周りの手を借り、なんとか一人で立てるまでに4年(赤ちゃん笑)、その確率を上げていき、今6年目にして、レッスンを受けずとも自分でコントロールできるようになり、やっと独り立ちし、舞台をこなせるようになりました。

イタリアで学んだこのメソッド《つまりベルカント》は、基本的に劇場で歌うということを目的に改良されてきたものなので、全ての答えは劇場で歌うとわかると言われています。つまり、きちんと答え合わせができる環境がここにはある、ということ。

劇場もいろんなタイプがあり、響きのよいところからそうでもないところまで様々ですが、その劇場でプラテア席の一番後ろまで、またガレリアの一番奥の席まで声の周波数を行き渡らせないといけません。そう。『声』じゃなくて、『声の周波数』だと私は考えています。

また、今ではイタリア人の色々なマエストリや同僚と話したりできるようになっているので、彼らが様々な事柄に対しどう感じているか、昔より当然わかるようになりました。

そこで感じることは、イタリアって、イタリア人って、ほんとシンプルだなってこと。

『イタリアで、イタリア人と、イタリア人のお客さん相手にイタリアオペラをやる。』

特にイタリアオペラのベルカントをやる場合、声の良し悪しを判断する基準って一個だけ。

ベルカントか、そうじゃないか。


そして、彼らの評価の仕方も凄くシンプル。

良いものに対しては凄く素直に、素晴らしいね。僕好きだよ。いいと思う。と褒める。


日本ってなんか違うかった気がするのですが、間違いですか?

日本にいた頃、やけにマルチ性を求められた気がしました。

私は少なくとも、自分の好みで聞き分けをしていたし、自分の劣等感を感じる相手に対しては、その方の全てが自分より上回っているような…
とにかく不明瞭な中での評価は、良いも悪いも大袈裟になりがちで、正確ではなかった。


今は、冷静に、いい面、まだ勉強が必要な面、さらには真摯に歌に向き合っているか、またはなにも考えていないか、不安を抱えているのか、または自信過剰なのか、歌を聞けばわかるようになりました。


ただ、日本においては、ベルカント以外にも、ドイツ唱法や、フランス歌曲に対しての唱法というように、いくつかの種類の歌唱法があるゆえに、良いとされるものがミックスされているように感じます。それでいて、イタリアのような劇場があれば、それを共通のある種の指針として置くことができるのかもしれませんが、ホールの響きと劇場の響きはまた違いますし、そのような認識もあまりないように感じます。

まず声楽といっても、オペラと歌曲では大きく違うという最低限の認識が必要です。

あとは、言語の違う国で発展していった唱法の違いはあるでしょう。私はフランスやドイツ唱法と言ったものは具体的にはわかりませんが、ベルカントのベースで、普段からフランスもののオペラも歌います。なので、問題はどう歌うかというより、どう聞こえるか、のほうが大事だと考えます。
世界にはいくらでも素晴らしい歌手はいますからね。

決して、

『歌い方は、それぞれ違う』などの、逃げた認識は持ってはいけない。


その耳を磨くこと。

そして、追い求めること。

それが大事だと思います。