オペラ歌手という職業に就きたいという夢。

はじめてそんな想いがよぎったのが、6年前。

イタリアにはじめて来て、劇場で、体の芯が震えるようなあの声のエネルギーを目の当たりにしたあの瞬間。

人生のあらゆるものを全て声に費やした、そんなバックグランドを感じ、ただただ尊敬した。

いや、そんな冷めたものじゃない。

憧れた。心から憧れた。

あれから6年経ち、いろんな舞台に立たせていただく中で、自分という人間が、世界を駆け巡り、スカラ座やメトロポリタンで、超一流と言われる音楽家とともにいろんな作品を作っていく、そんな歌い手になるかならないかと言われたら、私はもうならないと思う。でも悲観的に考えてはないです。第一線でやっていくには、歌のレベルとか音楽性とか人間関係とか容姿の問題とか社交性とかメンタルとか、色々なことが絡み合うのは当然で、私もタイミングが合えば、人生一度くらいはスカラ座に立てるかもしれない笑 そんな夢はまだ持ってます。

ただ、私の夢は、一度きりの舞台ではなく、何度も舞台に呼ばれる歌い手のほう。

当たり前ちゃそうだけど。

イタリアは、経済的に厳しい国と言われています。その波はもちろん、イタリアの財産である芸術方面にまできています。

予算削減、横領などで、劇場で演奏する音楽家でさえに支払いが一年滞る始末。

昨年9月頃、受けるオーディション全てが手ごえ耐えありで、いくつか通って、色々やっと見えてきたなぁなんて思ってたとき、

友人から、また劇場関係のいろんな話を聞き、、

オペラ歌手を職業にする人は、一体このイタリアで、イタリア人以外では何人いるんだろう?

待って。

まずイタリア人で、何人いる?

教えるのは無し。

歌うことだけで生計を立てる人。

イタリア人には敵わないことは、ネットワーク、人間関係作り、コミュニケーション力。

歌では負けたくない。

実際、生計を立ててる人の全員に歌で負けるとは思わない。

生計を立てる人は、私にないものを持ってるんだから、歌が素晴らしいというのは必須ではないはず。

まだ迷いがあります。

抱いた夢に答えを出すには勇気がいる。

その夢ばかり見てもられない。
私には歌以外にも叶えたい他の夢がある。

今頂いている歌う機会が、来月に2作品。

Don Pasquale のNorinaとI Capuleti e i MontecchiのGiulietta

あとはコンサートとRigolettoのGilda

しっかりやることはやらないとね。

正月気分をひきずっている自分に喝。