風呂場転倒で怪我をした足は、腫れが徐々に引いてきてほっとしてますが、
まだ歩くと痛みがあるので注意深く様子を見たいと思います。
ほんとにアタシってばおっちょこちょいで嫌になります。
皆さんご心配をおかけしました。m(_ _ )m
さて先週金曜のことですが、九州のNPO法人ウィッグリング・ジャパンさんが主宰する「カフェで学ぼう がんのこと」が渋谷で開催されたので参加してきました。
今回は久留米大学の山田亮(あきら)教授の「がんペプチドワクチンセミナー」のレクチャーです。
2時間のセミナーで聞いてきたことを下記に簡単にまとめてみます。
がんペプチドワクチンとは?
がんの治療は外科手術、抗がん剤、放射線の3つが一般的です。
特に抗がん剤治療は薬剤が全身に浸透するので、転移した腫瘍にも効果があり、広く行われているがん治療です。
その反面、正常な細胞も破壊してしまい、白血球が減少したり、吐き気や脱毛などの重篤な副作用があるのは皆さんご存じのことだと思います。
また長期にわたって使用を続けていると、耐性ができてしまうことも知られています。
そこで第4の治療法として研究がすすめられているのが、免疫療法の「がんペプチドワクチン」です。
どんな治療法なの?
免疫療法は、もとから私たちに備わっている免疫を活性化して、がん細胞を殺すという療法です。
中でも「がんペプチドワクチン療法」は、キラーT細胞というリンパ球をワクチン投与により活性化させるもので、最近NHKでも取り上げられ話題になっていますよね。
このがんワクチン療法はがん細胞だけを認識してやっつけてくれるので、正常細胞を壊すことがなく、副作用がほとんどありません。
がんワクチン療法は患者さんにとって体にやさしく、高い生活の質を維持できる治療法なのです。
他の免疫療法との違いは?
がん細胞を攻撃する免疫細胞としては、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(NK)、NKT細胞、キラーT細胞(あるいはCTL細胞とも呼ばれる)が知られています。
これらの中で一番進化したタイプがキラーT細胞(CTL)だそうで、他の免疫細胞と違い、がんを認識する学習能力があるので、より強力な抗がん作用が望めるのだそうです。
山田亮教授が研究している「がんペプチドワクチン」はこのキラーT細胞(CTL)を利用したものです。
現在31種類のペプチドワクチンが用意されていて、それぞれ患者さんのがんのタイプなどによって4種 類を選び投与します。
このペプチドは水に溶ける性質があり、そのままでは体外に尿などで流れてしまうので、油を混ぜて生クリーム状態にする工夫をしているというトリビアも、山田教授は話してくださいました。
このがんペプチドワクチンを投与したい場合はどうするの?
現在はNHKで取り上げられたこともあり、患者さんが殺到し受診を受け付けていないそうで、徐々に受付態勢を整えていくそうですので、興味のある方は久留米大学病院のサイトをこまめにチェックして下さいとのことでした。
セミナーに参加されている方の中には、「家族がすい臓がんでせっぱつまっている!受診したいのに、ままならない。どうにかならないものか!」と質疑応答で詰め寄る場面もあったりして・・・。
それだけ期待されている治療方法なのだと感じました。
どのような手順で投与するの?
さて治療を受ける場合は、臨床試験か高度医療か自由診療かになるわけですが、臨床試験は比較試験のために無作為にプラセボ(→偽薬。いわゆるニセモノのワクチン)が投与される可能性もあるので、確実に投与したい場合は後者を選択することになります。
入院は必要なく、4種類のペプチドワクチン注射を打つだけですので、要する時間は20~30分程度。
最初の8回までは1週間に1回。それ以降は2週間に1回が原則となります。
お値段はどれくらい?
費用の方は臨床試験の場合は無償(ただし半数はプラセボ)
自由診療の場合は1回の投与につき10万円程度。
高度医療を利用する場合は1回の投与につき6万円(13回投与で100万円・併用療法の抗がん剤療法などの3割負担含む)
やはり高いなぁというのが正直な感想です。
効果はあるの?
一番気にかかる効果の方ですが、現在までのところ「がんペプチドワクチン」でがんが完全に消失するのは稀で、完全に治癒したとされるのは1000例のうち3例のみ。
腫瘍の縮小も2~3割の患者さんでしか見られないそうです。
ただし、ほとんどが末期がん患者さんの投与なので、早期の患者さんに投与した場合は、より多くの症例でがんが完全に消失されるのではないかとの事でした。
今のところ一番期待されるのが生存期間の延長だそうで、平均で1,5~2倍の延命効果があるそうです。
・前立腺がん100例で10か月の延命効果(抗がん剤平均値12か月→22か月)
・悪性脳腫瘍33例で6か月の延命効果(12か月→18か月)
・すい臓がん21例で4か月の延命効果(6か月→10か月)
・肺がん22例で5か月の延命効果(10か月→15か月)
・子宮頸がん19例で8か月の延命効果(8か月→16か月)
・膀胱がん5例で5か月の延命効果(6か月→11か月)
ただしこれは先にも述べたように、ほとんどが末期がん患者さんへの投与ですので、進行度が低かったりした場合は、縮小や消失などの効果が見込めるのではないでしょうか。
卵巣癌はどうなのかという質問をしてみましたが、再発卵巣癌で延命効果が8か月から→17か月と約2倍程度あったそうで、特に抗がん剤がきかないタイプ(たとえば明細胞など)に、より高い延命効果があったそうです。
ただ卵巣癌は免疫系が叩かれる(骨髄抑制)プラチナ製剤の抗がん剤と併用する場合が多く、免疫が低くなると効果が薄くなるようなことをお話しくださいました。
今回のセミナーに参加してみて思ったこと・・・
渋谷のサクラ・フルール青山で開催された今回のセミナーは、お茶を飲みながらのサロン風講座で、1500円でコーヒーとケーキが付いてきました。なんだかとてもお得な気分でした。
(お砂糖と乳製品制限中のアタシでしたが、パウンドケーキをいただいちゃいました。おいしかったです(^~^)♪)
山田亮(あきら)教授は、現在久留米大学先端治療研究センター所長として、「がんペプチドワクチン」が国に承認されるよう臨床試験を行い、様々な活動をなさっています。
今回のセミナーでは質疑応答を含めて2時間たっぷりお話してくださいました。
参加されてた皆さんは40人ほどで、女性半分男性半分という割合。
患者さんだけでなく明らかに医療従事者っぽい方もいらして、難しい質疑応答もバンバン飛び交い、がんワクチンの注目度が高いことが伺えました。
今回このセミナーを受けてみようと思ったのは、やはり常につきまとう再発不安からです。
私は卵巣癌3Cで、その中でも進行具合がかなりひどかったので、正直これから先の事は楽観的でいられないと思っています。
ですのでもし再発した場合、治療のカードをいくつか知っておき、自分自身で選択しながら治療していきたいと思っています。
「寛解状態なのに、そんな事を考えるなんて!」と思われるかもしれませんが、これは決して後ろむきな事ではなくて、前向きに病気と向きあっていきたいからなのです。
そのための知識として知っておきたく、以前から興味があった「がんペプチドワクチン」の講習に参加しました。
で、もしこのペプチドワクチンを受けるとしたら、現在では九州の久留米大学病院まで毎週通うことになり、交通の問題や費用などがネックとなるのでどうかな?と感じました。
東京やその他の地方でもワクチンが手軽に受けられるようになり、認証薬として国に認められるようになるには、まだまだ課題が多そうです。
最後に・・・
現在久留米大学病院グループ15か所の病院では、前立腺がん、胃がん、大腸がん、肝がん、すい臓がん、胆道がん、胆管がん、腎がん、膀胱がん、悪性脳腫瘍、肺がん、肉腫、乳がん、子宮がん、卵巣がん、その他のがんの臨床試験が行われています。
臨床試験や自由診療による投与を希望される方は、「がんペプチドワクチン事務局」のホームページで最新情報をご覧ください。
http://www.med.kurume-u.ac.jp/med/immun/F/
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