何年待ちわびていたかわからないイベントである。冗談抜きに、つれづれなる昼間宵居風呂の中家事の最中になんども「こんなことがあったらいいな」と考えた。そして、そんな日は来るかもしれないし来ないかもしれないと曖昧に期待をしていた。だから、5月のあの日に発表があったときは混乱した。夢を見ているのかもしれないと思った。現実だと認識したとき、一気に胃が痛くなった。何度か、ライブ時に胃腸炎になったり熱を出したりしたこともある。父親も伯父も突然死している。人生何があるかわからないので、当日を無事迎えられるのか不安で眠れないときもあった。ほとんど病的ともいえる2ヶ月を過ごし、どうにか当日残業の後に会場に入ることができた。
フジフレンドパーク2018/07/14。フジファブリックとユニコーンの対バンである。
まずはユニコーン。今年初めてのユニコーンだった。フジフレンドパークのバックドロップの前におじさんたちが立つというだけで、もはや感無量である。
配置はここ数年とガラッと変わり、OH!MY RADIOを意識したような、半円の配置になっていた。
セットリストは各所に載っているので割愛するが、まさかのセトリだった。FSMが1曲目に来ることも、スターな男やおかしな二人や××といった往年のキラーチューンが聴けたことも、なによりもここ数年全く演奏されていなかったデジタルスープがセトリ入りしたこともすべて予想外で、あまりのことにずっと興奮していたように思う。MCでは奥田さんがバックドロップを指し「コレに呼ばれた」と言ったり「フジファブリックとフジロックとで日にちが近いから混ざりやすい」とぼやいたりするくらいで、フジとの関わりにはあまり言及されなかったように思う。
そして、台座(ダイザー)に躓いて尻餅をつくABEDONさん。ほんと気をつけてください。
そしてフジファブリック。このフレパも毎回セトリが違うので、今回も予想はできなかった。まさかB.O.I.PとTEENAGERが入るとは!B.O.I.Pは去年のファブリックシアターでアコverは聴いたものの、バンドverはライフラツアー以来5年半ぶりくらいではないだろうか。アウトロのラストで片足でバランスをとりつつギターを弾く総くんが素敵だった。
MCではダイちゃんが「楽屋で阿部さんと『キーボードが居るバンドっていいよね』」と話していたことをあかしたり、総くんが「志村君と会ったときに『フジファブリックはユニコーンのようなバンドを目指したい』と言っていて、ポップだけどへんてこな音という目指したいところはすぐにわかった」と述べるなど、両バンドのファンとしてはにこにこしてしまう話をしたりしていた。
フジファブリックがユニコーンの影響を強く受けていることはたびたび指摘されることではあるが、もちろんあくまでもそれは「めざすスタイル」として抽象化されたものであり、サウンドは決してユニコーンの亜流などではない。だからこそB.O.I.Pの仮タイトルに「ちょい迷惑」というユニコーンオマージュにできるし、しかもB.O.I.Pはフジファブリックサウンドとして唯一無二のものとなっている。仮タイトル「イエロー」の曲ではないが、どんなにほかのアーティストの影響が強くても、フジファブリックはフジファブリックとして独自のサウンドを鳴らすことができるのだな、と総くんのMCを聞いて思った。
加藤さんが初めて聴いたユニコーンは『スプリングマン』で、BOBOさんは中3で日本の学校に通い出したときにユニコーン派につくか某アーティスト派につくか悩んだときに、ユニコーンを選んで正解だったという話をしていた。
今年のフレパでフジはかならず対バン相手の曲をカバーするが、このときのカバーはなんと「与える男」だった。これもまた、総くんがカバーしてくれたらいいなと思っていた曲なのでとてもうれしい。しかし、この歌詞はフジファブリックでは絶対に出てこないし、総くんが歌うとなんだかジゴロを聞いているときと同じ気分になる。あと、「だんだんわからなくなる」を聴いているときにも近いかもしれない。
本編最後、今日は比較的にまとまっていた総くんのMCだったが、ここでとんでもないミスがおこる。
「この曲は故郷のことを歌いました。では聴いてください、『東京』」
??????
そんな曲フジにありましたっけ???
東京が炎上したり、東京が深夜だったりはしますけれども??????くるりかな?????
と混乱していると舞台上もざわざわ。総くんはマイクに額をつけてうなだれ、ダイちゃんは「そんな曲うちのバンドにあった?」と突っ込みを入れる。
「なんで間違えるかなー!?」と総くんも言っていたが、ほんとうになんで間違えたここで。志村のイタズラ扱いされていたが、ほんとうにそうだったのかもしれない。そしてちらっとくるりの東京を弾いたりしていた。
もちろんここで演奏された曲のタイトルは「手紙」。ああ、ユニコーンファンの皆様に総くんが天然だとばれてしまった。
アンコール前の機材セットの時点で、これは全員でてくるぞ!と期待が高まる。そして最初にフジだけが出てきて、今日の感謝を述べる・・・のだが、ここでなぜか舞台袖から甲高い笑い声が。完全にこれEBIちゃんの笑い声じゃん。ざわつく会場、苦笑する総くん。フジファンの皆様にも、イケメンEBIちゃんの面白さがばれてしまった。
総くんに呼び込まれてユニコーンメンバーも入ってくるのだが、先ほど転んだABEDONさんがわざとらしく川西さんとEBIさんにかかえられてやってくる。これか、EBIちゃんが大笑いしてたのは。ABEDONさんのズボンが私服っぽくなっていたのも転んだせいなのだろうか。本当に気をつけてほしい。「ちゃんと転ばないとユニコーンになれないぞ」とダイちゃんに無茶降りするわるいおじさんんたち・・・たが、まさかここでやってくれるとは!!総くんとダイちゃんも歌唱に参加していた。CDをほぼ完コピしている感じが愛おしい。
ユニコーンはあまりほかのバンドの曲を演奏しないので、コラボはWAO!で終わると思った。しかし、WAO!ののちにABEDONさんがなんとダイちゃんのブースに入るではないか!奥田さんは「気持ち悪い」とかひどいことを言っているが、自分もABEDONさんのブースに入っていることを考えるとないも言えた義理ではないと思う。そんな中始まったのは「虹」。なんということでしょう。風呂の中や仕事の待機時間などに「フジとユニが対バンして『虹』でセッションしてくれたらいいのにな」とぼんやり考えていた妄想が現実になってしまった。ABEDONさんのキーボードが入ることで、フジなのにユニのサウンドが加わって不思議な感じ。奥田さんが歌うと志村よりねっとりするなぁなどと考える。ユニコーンが志村曲を鳴らしている、その事実に胸が熱くなる。曲はいつまでも生き続けているし、曲が生きている限り魂もそこにとどまり続けるのかもしれない。ニコニコとギターをかき鳴らすテッシーを見ながらそんなことを思った。
最後は全員のハグと手つなぎ挨拶でフレパは大団円。なんで、BOBOさん・ダイちゃん・奥田さん・ABEDONさんの並びだったのかが謎である。ふつう、互い違いにならないか?
言いたいことの3分の1も書けたような気はしない。ただ、本当に心から幸せな時間だった。夢が叶ってしまったなぁ。