恋のつぼみは君がくれた
ニワゼキショウ
花言葉は「豊かな感情」
テニスコートのそばに、オートバイが止まった。
ヘルメットを外しながら降りたのは、同じ1年軟式テニス部の山本君。
たった3人しかいない1年男子部員の一人。
一番華奢な子だから、およそオートバイに乗るイメージはなかった。
「わ~、山本君、バイク買ったん?」
「いつ免許取ったん?」「カッケ~じゃ~ん」
と、練習後のテニスコートを整備していた”女子雀”たちは口々に声をかける。
山本君はいつもはシャイっぽいのに、よっぽどハイになっていたのか、
「16になったから、ようやく免許取れてん。講習は入学前から行ってたんやけど」
とうれしそうに話している。
私は、冗談半分で「いっぺん、後ろに乗せて~」と言った。
他の子も「わ、いいよね~、乗ってみたい~」と言っている。
すると山本君、
「女は乗せへんねん」と、きっぱり言って男子の部室に入っていく。
「なんや~」って、言いながら私たちもコート整備に戻っていった。
私は『硬派っぽいのん、悪くないね…』なんて思いながら。

更衣室で制服に着替えて、
私は百葉箱のある小さな庭で、同じ方面に帰るバスケ部の友達を待っていた。
この庭はこの間まで、芝生だと思っていたけど、今は小さくて可愛い花が一面に咲いている。
私はかがみ込んでプレートを読み、「ニワゼキショウって言うんだ」なんて言いながら、
花々を見つめていた。
そのとき、ジャッ…とバイクが止まる音がして、
「松野」と私の名前が呼ばれた。
振り向くと、山本君。
ふくれっつらで「やっぱ、乗せてもいいけど…」なんて言う。
「えっ…」
私はカアッと顔が火照るのを感じる。
「今はいいわ…」
続けて…だって、学校の敷地内で二人乗りなんてしたら…と言い訳しようとしたら
「なんやっ!」と、小さく言い捨てて、山本君はバイクで走り去ってしまった。

2ヶ月前、入部の歓迎会の自己紹介で、「僕はケンカが強いです」なんて言ってた山本君。
私はそのとき、
なんか、男の子やね~。つか、その自慢、子どもっぽいよ?
なんて感じていた。
オートバイに乗るのを断ってから、山本君、私のこと、無視してるし…。
目が合いそうになると、不自然にパッと視線そらしてるし!
もう、何なんだよ。山本!
私はあれからなんか言いたくてしょうがないんだけど。
男って、プライド大事なんやね。そう怒らんかて、いいやんか。
私が一人でいるとき誘ってくれたのは、なぜなのよ?
あれから、山本君が気になって仕方ない!
男子コートで練習してるとき、すごくいい笑顔をすることがあるし…
サーブのとき背中がすごくしなる感じ、いいなと思った。
恋のつぼみは、君がくれたんだよ。
このまま知らんぷりを続ける気なの?
私は自分の部屋の椅子に逆向きにまたがって、くるんくるんと回り、
バイクの後ろに座っている自分を想像する…
山本の背中から手をまわして、彼をキュッとつかまえたい。
そして、あのゴンタクレの顔を真っ赤にさせるようなこと、耳元でささやいてみたいな!
「わたし以外の女の子乗せちゃだめだよ…」
*あなたなら、なんて言って彼を真っ赤にさせますか?
ニワゼキショウ
花言葉は「豊かな感情」
テニスコートのそばに、オートバイが止まった。
ヘルメットを外しながら降りたのは、同じ1年軟式テニス部の山本君。
たった3人しかいない1年男子部員の一人。
一番華奢な子だから、およそオートバイに乗るイメージはなかった。
「わ~、山本君、バイク買ったん?」
「いつ免許取ったん?」「カッケ~じゃ~ん」
と、練習後のテニスコートを整備していた”女子雀”たちは口々に声をかける。
山本君はいつもはシャイっぽいのに、よっぽどハイになっていたのか、
「16になったから、ようやく免許取れてん。講習は入学前から行ってたんやけど」
とうれしそうに話している。
私は、冗談半分で「いっぺん、後ろに乗せて~」と言った。
他の子も「わ、いいよね~、乗ってみたい~」と言っている。
すると山本君、
「女は乗せへんねん」と、きっぱり言って男子の部室に入っていく。
「なんや~」って、言いながら私たちもコート整備に戻っていった。
私は『硬派っぽいのん、悪くないね…』なんて思いながら。

更衣室で制服に着替えて、
私は百葉箱のある小さな庭で、同じ方面に帰るバスケ部の友達を待っていた。
この庭はこの間まで、芝生だと思っていたけど、今は小さくて可愛い花が一面に咲いている。
私はかがみ込んでプレートを読み、「ニワゼキショウって言うんだ」なんて言いながら、
花々を見つめていた。
そのとき、ジャッ…とバイクが止まる音がして、
「松野」と私の名前が呼ばれた。
振り向くと、山本君。
ふくれっつらで「やっぱ、乗せてもいいけど…」なんて言う。
「えっ…」
私はカアッと顔が火照るのを感じる。
「今はいいわ…」
続けて…だって、学校の敷地内で二人乗りなんてしたら…と言い訳しようとしたら
「なんやっ!」と、小さく言い捨てて、山本君はバイクで走り去ってしまった。

2ヶ月前、入部の歓迎会の自己紹介で、「僕はケンカが強いです」なんて言ってた山本君。
私はそのとき、
なんか、男の子やね~。つか、その自慢、子どもっぽいよ?
なんて感じていた。
オートバイに乗るのを断ってから、山本君、私のこと、無視してるし…。
目が合いそうになると、不自然にパッと視線そらしてるし!
もう、何なんだよ。山本!
私はあれからなんか言いたくてしょうがないんだけど。
男って、プライド大事なんやね。そう怒らんかて、いいやんか。
私が一人でいるとき誘ってくれたのは、なぜなのよ?
あれから、山本君が気になって仕方ない!
男子コートで練習してるとき、すごくいい笑顔をすることがあるし…
サーブのとき背中がすごくしなる感じ、いいなと思った。
恋のつぼみは、君がくれたんだよ。
このまま知らんぷりを続ける気なの?
私は自分の部屋の椅子に逆向きにまたがって、くるんくるんと回り、
バイクの後ろに座っている自分を想像する…
山本の背中から手をまわして、彼をキュッとつかまえたい。
そして、あのゴンタクレの顔を真っ赤にさせるようなこと、耳元でささやいてみたいな!
「わたし以外の女の子乗せちゃだめだよ…」
*あなたなら、なんて言って彼を真っ赤にさせますか?