クリントン米国務長官が来日し、日米両政府は「在沖米海兵隊移転に係る協定」を締結するようです。先日のブログで紹介した質問主意書でも追及しましたが、先週沖縄出身の野党国会議員で要請書を外務大臣と防衛大臣に提出いたしましたので、掲載いたします。


「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」の署名・交換中止等を求める要請

外務大臣 中曽根弘文殿

衆議院議員 下地 幹郎
衆議院議員 照屋 寛徳
衆議院議員 赤嶺 政賢
参議院議員 喜納 昌吉
参議院議員 糸数 慶子
参議院議員 山内 徳信

報道によると、2月16日から18日にかけて、アメリカの新国務長官ヒラリー・クリントン氏がアジア外交の第一歩として来日する。表敬のためのアジア訪問であるにもかかわらず、クリントン国務長官と中曽根弘文外務大臣との間で、「在沖海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名・交換するという。国内政局の動向が不安定である中、同協定の署名・交換は、唐突とも思える「駆け込み署名」との批判を免れない。アメリカの世界戦略によって進められてきた米軍再編計画を梃子に、「軍事同盟」を強化せんとする日米両政府の目論見は明らかである。
沖縄における直近の民意は、昨年7月18日の「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する」県議会決議が示すように、辺野古への新基地建設を伴う米軍再編に反対である。にもかかわらず、日米合意を地元も受け入れるのは当然とのやり方は、あまりにも乱暴すぎる。そもそも、同協定の署名・交換は、麻生総理の施政方針演説における「在日米軍再編については、地元の声に耳を傾ける」との表明とも大きく矛盾している。地元無視も甚だしく、断じて認められない。
同協定の前文に「グアム移転」「普天間移設」「嘉手納以南の基地返還」の3つを盛り込む「パッケージ論」はアメリカによる日本政府及び沖縄県民を抑え込むための戦略であり、沖縄県民は到底承服出来ない。基地問題は「パッケージ論」によらず、個別に解決すべき問題である。またその内容は、1日本側の財政支出の上限設定、2、資金の米側の目的外使用禁止、が柱のようだ。在沖米海兵隊のグアム移転にかかる日本側負担については、国際協力銀行出資分を含めて約60.9億ドル(約5400億円)ともいわれる。だが、米軍への巨額の財政支出を伴うにもかかわらず、国会で事前検証をすることもない。折しも「100年に一度」の不況の嵐が吹き荒れる中、十分な説明責任も果たさず、閣議決定のみを経て莫大な血税の使い途を決定づける協定締結に国民の理解が得られるはずがない。政府は、そのことを十分に認識すべきである。
以下、強い憤りをもって抗議し、同協定への署名・交換中止等を要請する。


             記

1.外務大臣は、来日するクリントン米国務長官との間で「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名・交換しないこと。

2.政府は、クリントン米国務長官に対し、沖縄県民の基地負担を軽減する具体策として、名護市辺野古と東村高江における新基地建設計画の即時中止、及び普天間飛行場の即時閉鎖・返還を求めること。

3.政府は、クリントン米国務長官に対し、日米地位協定の抜本的な改正を求めること。