11月11日(ブルームバーグ):民主党沖縄県連代表の喜納昌吉参院議員はブルームバーグ・ニュースのインタビューで、野党時代に米海兵隊普天間飛行場(同県宜野湾市)の沖縄県外・国外への移設を主張していた同党の鳩山由紀夫政権が仮に県内移設を容認した場合は県内の支持者から裏切り行為とみなされるとの認識を明らかにした。

  インタビューは6日行った。喜納氏は普天間飛行場を同県名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部へ移設することを決めた現行の日米合意について「自民、公明の政権が沖縄を米国に売った」と批判。民主党が同合意を追認した場合は「沖縄から見れば裏切られた」ことになると指摘し、県民から大きな反発を受けるとの見方を示した。

  民主党は昨年まとめた「沖縄ビジョン2008」で、普天間飛行場の移設問題について「県外移転の道を引き続き模索すべきである。言うまでもなく、戦略環境の変化を踏まえて、国外移設を目指す」と明記していた。8月の衆院選では県内4小選挙区すべてで現在の連立与党の候補者が勝利した。

  喜納氏は「首相も含め重要閣僚になっている人は選挙直前まで県外・国外を訴えて当選してきた。それは有権者に対する公約だから守るべきだ」と語り、鳩山政権に対し、沖縄ビジョンで掲げた県外・国外移設方針の堅持を求めた。

  日米両政府は普天間飛行場の移設問題などについて両国の閣僚レベルのワーキンググループを設置して、現行の日米合意の「検証作業」を行い、迅速に問題の解決を図ることで一致している。ただ、米政府は合意実施を求める姿勢を崩しておらず、鳩山政権は米国と喜納氏の発言に象徴される沖縄県民の世論との間で板ばさみとなっている。

沖縄ポップスター

  喜納氏は沖縄県が米軍の統治下だった1948年にコザ市(現沖縄市)で生まれた。「花-すべての人の心に花を-」などで知られるウチナー(沖縄)・ポップのスターで、2004年の参院選で民主党の比例代表から立候補し、初当選した。「軍事基地は人類から姿を消さないといけない時代に入っている」と平和への思いを訴える。

  岡田克也外相は10月23日の記者会見で、普天間飛行場の移設先について「県外というのがベター」としながらも、「あまり時間をかけるわけにはいかない。事実上、県外というのは選択肢として考えられない状況である」と明言。米空軍嘉手納基地への統合案を含めて検討する考えを明らかにしている。

  喜納氏は、県外移設は困難との岡田氏の発言について「歴史的な政権交代の中に沖縄の歴史は含まれていないということを証明した」と手厳しい。嘉手納統合案を持ち出したことについても「米国は絶対許さないし、そういう無理なことをなぜやるのか不思議だ」と疑問を投げ掛けている。

オバマ大統領

  13、14両日には米国のオバマ大統領が就任後初めて日本を訪問する。鳩山首相は今回の首脳会談では普天間移設問題を主要議題としない考えを表明している。

  喜納氏は米国初の黒人大統領であるオバマ氏を「米国の歴史的な覚醒によって大統領になった」と評価した上で、「日本で常に搾取され、侵略されてきた沖縄に目を向けてほしい。ぜひ、沖縄にも来てほしい」と将来の沖縄訪問を呼びかけた。