私が危惧するのは、強制集団死に関する教科書検定問題でも露わになった旧日本軍の総括されていない精神構造をそのまま持ち込むことになり、鳩山首相の「駐留なき安保」と民主党右派の唱える「国防の自立こそが真の独立である」ことが利用され、沖縄民族に新たな不幸を課し、沖縄と日本の間に新たな分断の歴史が生まれることである。
今後民主党政権が注意しなければならないのは、日米軍産複合体によって描かれた図面に取り込まれないことである。日米同盟権益者が与党にも野党にも潜り込み、両方がハンドリングできるように布石を打ってくるはずだ。今は五五年体制の自民党・社会党時代に見られた古い体質のアメリカが作ったダブルハンドルを国民の手に取り戻せるかどうか、その攻防なのである。日本の未来のためには同じ民主党議員であっても問い質していかなければならない。こういった米国のネオコン系の目論見を一番気付いてるのは小沢幹事長ではないだろうか。強引な小沢幹事長への検察の圧力も根はそこにある。まさに日本の真の独立が問われているのである。
 EUではリスボン条約が締結され憲法条約が発効されることになり、一〇年から事実上のEU合衆国が誕生し、EU大統領と外相が生まれる。NATO軍はEU軍に変容し、国際連帯税も導入され、国連を媒体に世界政府が台頭してくる兆しも見え始めている。オバマ大統領が米国のゴルバチョフにならぬよう、中国が急激な発展の反動に潰されぬよう、日本の民主党政権が、内部の不協和音を取り除き、オバマ大統領を支持した米国と目覚めた中国が力を合わすよう取り持つくらいのリーダーシップを発揮することだ。
今日本に必要なことは、グローバルな世界の大変革に対し、科学、文化、政治、宗教等あらゆるベクトルが、戦争に従事している戦争文明から、病み疲れた地球を再生する方向へとシフトし、「地球が最初」であるという人類の未来ビジョンを掲げることだ。