2023年のナイロビ国際ブックフェアが9月27日〜10月1日にかけて行われました。

会場はケニアのナイロビにあるサリット・エキスポ・センターです。アフリカ文学の可能性を世界に示す重要なイベントでした。

 

今年のテーマは「出版を通じた才能の育成」で、アフリカ全土からだけでなく、世界各国からの出版社や著者、書籍愛好家が集結しました​​​​。このイベントは、アフリカ大陸の文学的豊かさを世界に広める重要な手段です。特に、今年の新しい取り組みである「ライツ・カフェ」は、出版物の知的財産権の売買を可能にする斬新なプラットフォームとして注目されました​​。

 

日本人にとっては、「アフリカ文学」ということ自体にあまり馴染みはないのではないかと思います。

そもそもアフリカ大陸は多様な国と文化から成り立っており、一概に「アフリカ文学」と括ること自体が難しいです。(※といいつつ、ここではこの言葉を使わせてもらいますmm)

 

また、出版的な事情もあります。

日本で出版される外国文学の多くは欧米の作品が中心で、アフリカの作家による作品は相対的に少ないです。これは出版市場の傾向や、翻訳される作品の選定における優先順位に関連している可能性があります。また、アフリカの多くの国で使用される言語は、日本で翻訳者が少ないことも、出版の障壁となっているかもしれません。

 

しかし、アフリカ文学にはとても大きな魅力と可能性があります。

ノーベル文学賞を受賞したナイジェリアの作家チヌア・アチェベや、南アフリカのノーベル賞作家ジョン・マックスウェル・クッツェーなど、国際的に高く評価されている作家も多数います。彼ら彼女らの作品は、アフリカを以下のような観点で深く掘り下げます。

  1. 歴史: アフリカ文学では、しばしば植民地時代の影響や独立後の政治的混乱がテーマとして取り上げられます。例えば、チヌア・アチェベの『Things Fall Apart』は、ナイジェリアのイボ族の伝統的な生活と、それに侵入するキリスト教や西洋文化の影響を描いています。このような作品は、アフリカの歴史的背景を理解するうえで貴重な資料となります。
     

  2. 文化: アフリカの多様な文化は、言語、宗教、習慣を通じて文学作品に表現されます。例えば、南アフリカの作家グギ・ワ・ジオンゴは、ケニアの民話や口承伝統を用いて、植民地化と文化的抵抗について語っています。これらの作品を通じて、アフリカの豊かな文化遺産が伝えられます。
     

  3. 社会問題: アフリカ文学はしばしば、貧困、戦争、人権侵害、性差別などの社会問題を取り上げます。例えば、ジョン・マックスウェル・クッツェーの『Disgrace』は、アパルトヘイト後の南アフリカを舞台に、個人の道徳と社会の不正義について問いかけています。このような作品は、アフリカの現代社会の複雑さを浮き彫りにします。

日本においても、アフリカ文学に興味を持つ読者や研究者は少なくなく、アフリカ関連の文学イベントや学会なども開催されています。アフリカ文学に対する関心が高まることで、より多くの作品が日本語に翻訳され、日本の読者にも広く知られるようになるかもしれません。

 

日本の書店でも、大きめのところならアフリカ文学は必ず扱っています。

「世界文学」「外国文学」のセクションに(西洋文学ととも)に並んでいますし

「人文・社会科学」セクションに入ってることもあります。

 

つぎに本屋さんに立ち寄ったときは、ぜひ探してみてください:)