血みどろ万華鏡! 女獄門帖 引き裂かれた尼僧 | 不思議戦隊★キンザザ

血みどろ万華鏡! 女獄門帖 引き裂かれた尼僧

女郎屋から逃げだしたおみのは、3年勤めれば現世と縁が切れるという尼寺愁月院を目指す。着の身着のまま逃げ出したのでカネなど一銭も持ってない。他人が捨てた残飯やら畑から盗んだ大根やらで命をつなぎ、山中で猟師どもの慰みものにされながら、やっと愁月院へ辿り着いた。ぼろぼろのおみのを介抱してくれたのは、この庵を結んだ桂秀尼(けいしゅうに)であった。

 

今回画像はこれだけです

 

愁月院には桂秀尼のほかに、おかじ、おつな、おとくという3名の尼僧と、口のきけない少女のお小夜が暮らしていた。桂秀尼がどこからか連れ帰ってきたお小夜は別にして、ここにいる女たちはみんな男絡みで現世を捨てたと思われる。

おみのが愁月院へやってきてすぐ、今度は駆け落ちカップルがやってきた。もちろん庵へ入るのは女だけで、男は女を送ってきただけである。桂秀尼は別れを惜しむカップルに一晩だけ部屋をあてがってやった。
さて翌日、朝っぱらから何やら騒がしい。昨夜のカップルの女が騒いでいるのである。朝起きたら隣にいるはずの男がいないという。桂秀尼は「朝早く出て行った」と諭すが、女は黙って出立するわけないと腑に落ちないのである。あまりにも女が取り乱しているので、おみのは気休めになるだろうと一緒に男を探してやることにした。

とりあえず順番に聞き込みを行ったところ、お小夜が男の煙草入れを拾ったっつーのでその場所に行ってみると、ザンバラ頭で白塗りのヤバそうな男が何かを解体している。げっ、もしかして!?イヤ~な予感がするぞ。
血濡れの斧を持った男の足元には原型をとどめていない肉塊が!ひええええええ!「昨晩イノシシが罠にかかってねえ」と何やら言い訳じみたことを言った白塗り男はおもむろに生肉を口に含み不気味に笑う。おいおい、なんかいろいろヤバいぞこの映画!

おみのは目の前の光景に思考回路がショートしたらしく微動だに出来ず、女は腰を抜かしてひいひいと叫びながら這って逃げた。おみのもなんとか愁月院へ戻ると女が首を吊っていた。展開早すぎ。しかし縊れた女を哀れに思っているのはおみのだけで、桂秀尼はじめ他の尼たちはなんとも思っていなかった。なんて寺だ!ここにいる尼どもはどうかしている!

実際、本当にどうかしてた。桂秀尼はアヘン中毒、おとくは狂女、おつなとおかじはレズカップルだったのである。山中で生肉喰ってたヤバい男は愁月院に雇われている寺男であった。

いくらなんでもこりゃヤバすぎ、と思ったおみのは寺から逃げることにした。しかし山中でまた猟師どもに凌辱されそうになり愁月院へ逃げ帰る。猟師どもは土足で愁月院に上がり込みおみのを捕まえようとする。が、間一髪で誰かがおみのを救った。というより、猟師が誰かに襲われた。襲ったのはおかじである。おかじは猟師の喉を噛み千切った。頸から鮮血がほとばしる!
男子禁制の尼寺に猟師どもがずかずか入ってきやがるから何か起こるだろうとは思ったが、ちょっと展開が斜め上過ぎて脳味噌がついて行けない。エロなのかゴアなのか判断不能。どっちもか。

もうひとりの猟師は逃げようとするが、桂秀尼のブン投げた数珠が猟師の首に絡まりギリギリと締め上げる!どうなってんだ。同時に仏壇(?)の扉が開き、ウジ虫の這う半生即身仏とご対面!なんじゃこりゃあ。
半生即身仏に驚いた猟師がその場にへたれ込むと、すかさず桂秀尼がおみのに槍を渡し止めを刺すよう指示する。おみのは一瞬逡巡するが、とうとう槍を猟師にブッ刺して殺す。おみのもこれで愁月院の一員というか、共犯者になってしまった。
そう、ここ愁月院は男どもを縊り殺す尼寺なのである。愁月院に一歩でも入った男は、生きてここを出ることは出来ない。殺された男たちは寺男に川に沈めれらたり鍋で煮られたりして、ほどよく処理されるのであった。うへえ。

その夜、アヘンでラリったおみのは桂秀尼とくんずほぐれつするのであった。なぜならピンク映画だからだ。

おみのも男を殺して一人前になったところへ、ふたりの男がおみのを探して愁月院へやってきた。飛んで火にいる夏の虫である。ふたりの男は女衒であった。もちろん尼たちに捕まっていたぶられた挙句に監禁される。まあ、仕方ないやな、女衒だもんな。

次に愁月院へやってきたのは行商の男であった。まったく次から次へと犠牲者が都合よく現れるもんだ。ところが行商男に気づいたおみのは狼狽する。なぜなら行商男はおみのに優しくしてくれた唯一の男だらかだ。見返りもなしに握り飯を喰わせてくれた男だからだ。このひとを愁月院に入れてはいけない。そう直観したおみのは「どうか引き返してくれ」と行商男に懇願するが、男は笑って取り合わない。
それもそのはず行商男は実は十手持ちの同心で、愁月院が怪しいってことで張っていたのである。ってなワケで、同心男は愁月院に一泊することになった。

しかし心配でたまらないおみのは桂秀尼に直談判する。「あのひとだけは殺さないでください」と頼んだのである。ところが返ってきた答えは「おみの、あんた、あの男と寝たね!?」であった。図星であった。直談判直前、おみのは同心男と乳繰り合ったのである。だってピンク映画だもん、仕方ないではないか。胸騒ぎを覚えたおみのは、急いで同心男の部屋へ戻る。ふすまをあけるとそこには!!

首を刎ねられてピクピクと痙攣している胴体が転がっていたのである!うわあああああああ!って、ちょっとこのドッキリシーンにはマジでドッキリ。だってご丁寧にも切り株がこっち向きなんだもん。いやあ、心臓に悪いわあ。一体どこへ向かっているんだ、この映画。
観客もドッキリだがおみのもドッキリだ。声にならない叫び声をあげたおみのは土間に転がり逃げ、樽の汲み水を柄杓ですくって口に含む。しかしその水が赤いのだ。驚いて樽の中をのぞくと同心男の生首が沈んでいたのである。キッツイわあ。

さて問題は次のシーンだ(いや、もう全部が問題シーンの連続なんだけど)。キラッキラのライティングにサイケな模様が背景に映し出され、半裸で踊り狂う尼どもと下卑た笑い声を立てながらネコ車を押す寺男。おみのは半裸の尼どもに折檻されつつ「くっそう、殺してやる」「基地外どもめ」などと絶叫するカオスっぷり。ナニコレ???
またしても脳味噌が追い付かない。っつーか、付いてっちゃダメだよな、コレ。とにかくゴジラ対ヘドラもかくやと思われるサイケ具合にこっちが茫然自失だ。

バッドトリップしたおみのの中で何かが弾けた。くっそう、復讐してやる!この寺の尼ども!皆殺しにしてやる!って、まあ、おみのも完全に狂ったワケだ。おみのはまずレズカップルを崖から突き落としてさくっと片付けた。
続いて監禁されていたふたりの女衒を解放した。解放っつってもタダで解放するワケはなく、「お前ら尼どもをブッ殺してこい。さもないとちんこをちょん切ってやるからな!」っつってドスのきいた声で脅すのである。
しかし女衒のひとり蛾次郎はおとくのバズーカおっぱいから発射された毒乳で殺され、おとくは天井から落ちてきた天蓋で圧死、女衒の親分は桂秀尼に鎌で殺される。とにかく死ぬ。テンポよく死ぬ。
ここで残るはおみのと桂秀尼のふたりだけ。倒れた蝋燭から火が付き、寺はいつの間にか火の海である。
さあ、お立合い!生き残るのはおみのか、それとも桂秀尼か!?尼寺の火の海デスマッチ、始まり始まり~!

桂秀尼が鎌でおみのの背中を斬りつける。炎の中で飛び散る血しぶき!おみのは血みどろになりながら、勢いあまって床に刺さった鎌の刃を素手で抜き取り、桂秀尼の胸に深々と突き刺した。事切れる桂秀尼。終わった・・・と思ったら、なんと半生即身仏がバンザイ体勢で飛び出てきた!
うわあ、なんだお前!いきなり出てくんなよ!しかも効果音が「ピョロリ~~ン」だったぞ!いいのか?そんな効果音で。唐突に登場したピョロリン即身仏におみのがひるんだ一瞬、誰かがおみのの背中を植木鋏で突いた!お小夜であった。な・・・・なぜ?おみのは目を見開いたまま死ぬ。

お小夜が外へ出ると雪であった。お小夜の内股をひとすじの血が流れ落ちる。初潮が来たのだ。愁月院は焼け落ちてしまった。お小夜はひとり出発する。そう、次の愁月院を結ぶために。

―完―

トンデモない作品であった。一応ピンク映画という触れ込みなのだが、そこからはみ出しまくってあらぬ方向へアレヨアレヨと転がりまくっていく疾走感は、鑑賞後に奇妙な爽快感をもたらす。その一方で「一体、何だったんだ」という困惑も若干残るが。更にこれだけ詰め込んでたった69分というコンパクト仕様!テンポ良すぎ!濃厚すぎ!

役者陣がまた素晴らしく、殺した男どもを解体処理する寺男が不気味で最高。白塗りで女物の着物を身に着け神経を逆なでするような声で笑う。これほど最大公約数的な「狂人」に合致する登場人物は他にいないだろう。いや、素晴らしい。
そして特筆すべきはおみののド変化っぷりである。最初はただの蓮っ葉な女郎ってな感じだったのにサイケデリックなバットトリップ以降、おみのの逆上は一気に加速する。逆上したおみのの額から眉毛がなくなり下顎を突き出しドスのきいた声で女衒を脅すさまは、さながらマッドマックス2のヒューマンガス様のようである。

小道具もそこそこ凝っており、仏間には地獄絵の屏風が飾られ、庭では赤い芥子が栽培されている。その芥子をお小夜が摘み取り、桂秀尼のアヘンとなるのである(厳密にいうとアヘンは芥子の花ではなく、果実の汁から精製する)。
エロでゴアなくせにどうしたワケかアートワークが実にエクセレントで、特に「赤」の使い方が秀逸なのだ。白塗り寺男の顔に生肉の赤、斧を振り下ろして寺男の着物にとびちる赤、桂秀尼とおみのがレズる部屋に差し込む夕日の赤、芥子の花の赤、同心男の切り株から滴り落ちる赤。炎の赤、そしてお小夜の内腿に流れる赤。う~~~~ん、アーティスティック!(錯乱中)

エロありゴアあり人肉あり。サイケデリック尼僧ダンスに半生バンザイ即身仏。最初から最後まで詰めも詰めたり、キワモノのオンパレード。オールタイムキワモノ。それでも後味がそんなに悪くないのは、少女の流す赤い血と白い雪の相まったラストシーンが非常に印象的だからだ。
ここに挿入された回想シーンでお小夜と桂秀尼の身の上に起こった以前の事件が明らかになり、お小夜が次の桂秀尼になるであろう予感を残して終わる。内容の騒々しいグロさとラストの静的なコントラストは見事。

マジ、この作品は拾い物であった。実はこの日は2本立てでマダムの目当てはもう一本の「怪猫!トルコ風呂」といういかにもB級ピンク映画(ってゆーか、まんまB級)だったのだが、2本比べると断然「女獄門帖 引き裂かれた尼僧」に軍配をあげたい。何の軍配かは分らんけど。

※今回画像がないのは、ネットで拾うことが出来なかったからである。そのうちDVDを手に入れたら、画像をアップするかもしれない。あっ、でもアメブロには無理かもしれないなあ。グロすぎて。



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