宇宙Gメン Ep1「宇宙ボタルの秘密」 | 不思議戦隊★キンザザ

宇宙Gメン Ep1「宇宙ボタルの秘密」

唐突ですまんが、宇宙Gメンという昔の特撮ドラマを紹介させてくれ。それも全エピソードを一話ずつ詳細に。もう黙っていることは出来ない。とにかくスゴイ駄作なんだ!本当だ!ではエピソード1から語る。
 

モノクロっつーか、セピア色

 

一年を通して気候の良いアンドロメダ島。ここには宇宙開発の第一人者、川中博士が所長を務める「アンドロメダ宇宙研究所」が設置されていた。

 

まんま

 

川中博士

 

研究所の一室で博士がなにやら演説していた。本日はアンドロメダ宇宙研究所による国産有人ロケットレダ1号の初めての地球軌道周回試験飛行という記念すべき日なのである。博士の演説にも力が入る。演説を終えると、博士は研究員と一緒に一台のテレビを囲む。

 

お前ら本当に宇宙研究してんのか?

 

えーと、テレビに見える箱らしきものは実はテレビではなく映像付き通信機である。TV電話(スカイプ)みたいなもんだと思えばよい。そんで、一見、家族団欒に見えるが実は家族団欒ではなく、レダ1号に乗り込んだパイロットの小西さんと通信しているのである。

 

レダ1号

 

優秀なパイロット小西さん

 

なにこれブラウン管?という疑問は置いておいて、初めてのテストは成功のようである。研究所に少年がひとりいるが、彼はレダ1号パイロット小西さんの弟の達夫少年である。彼はこの研究所でパイロットのための特別教育を受けているのであった。義務教育もやってんのか?この研究所。という突っ込みなど受け付けない勢いで、とりあえずロケットが飛んでTV電話も出来たってんで、みんな喜んでいる。

 

小西さんの弟の達夫少年

 

しかし喜びも束の間、レダ1号に異変が起きる。船内温度が急上昇したのだ。これは大変。博士は「どうしたんだ!」とか「温度調節装置を確認しろ!」とか「何が起こっている!」とか「音が出ないぞ、音が!」とか、なにひとつ有益な助言を与えないものだからレダ1号は爆発する。

 

通信が途絶えて砂嵐

 

宇宙開発には犠牲がつきものとはいえ、結構あっさりめに国産ロケットレダ1号と優秀なパイロット(たぶん)を失ったことを考えるとかなりの損害である。責任者の川中博士にそれなりの処分が必要だろうが別にそんなことはなく、レダ1号記念碑とか建てただけだった。

 

もっと、こう・・・ないのか?

 

ちょっと博士の力量を疑わざるを得ない研究所へ、新しい人材がやってきた。早風青年である。国際宇宙科学局から辞令を受けてアンドロメダ宇宙研究所にやってきたということだ。左遷だろうか?

 

着せられている感

 

早風青年はレダ1号の爆発で亡くなった小西さんの親友で、早風青年も優秀なパイロットであった。さっそく早風青年を交えて会議らしきものが始まった。

 

おいおい、なんで少年が参加してんだよ!

 

小西さんは爆発前に「ホタルは違う」と言い残したという。ここでいうホタルとは宇宙にある発光物体で宇宙ホタルと呼ばれているものである。小西さんが操縦するレダ1号は宇宙ホタル群の中で爆発した。ということは、宇宙ホタルが原因かと思われるが、しかし小西さんは「ホタルは違う」と言ったのである。ということは、宇宙ホタルだと思っていたものは宇宙ホタルではないのか?というか、そりゃ宇宙にホタルなんていねえからホタルじゃねえだろうよ。というか「思ってたのと違う」という意味だろうか?というか宇宙ホタルは宇宙艇に関連があるらしいと意見が出たところで、博士は待ってましたとばかりに「宇宙艇の剥がれた塗料、あるいは過酸化水素熱量が蒸気と酸素に分離してその蒸気が云々」と得意げに語るが、それは仮定の話であって結局博士も宇宙ホタルの正体が一体何なのか分からないということが分かっただけであった。ダメだこりゃと思った早風青年、「機密書類を自分に託して国際宇宙科学局へ届ける指示を出してください」と博士に提案する。なにか考えがあるようだ。

 

ソファにかけたレースが如何にも昭和の応接間

 

機密書類を携えて颯爽とオープンカーに乗り込む早風青年。っつーかなんでオープンカー?屋根がねえぞ、危なくねえか?という我々の心配をよそにオープンカーを発進させる早風青年。

 

なんでオープンしてんだよ

 

その後ろには、早風青年のオープンカーを追跡する何者か。

 

お前もオープンかよ!

 

そしてその後ろには、早風青年のオープンカーを追跡する何者かを追跡するバイクに乗った何者か。

 

こんな農道で追跡したら絶対バレるって

 

もちろん早風青年は追跡されていことに気付く。というか、これは陽動作戦なのであった。早風青年は途中で停車して故障に見せかけ、追跡者を油断させて反撃に出た。追跡者は早風青年の狙っていたとおり機密書類を盗もうとしてきたのだ。これで敵であることは分った。

 

早風青年の見せ場

 

敵の首領と根拠地を聞き出そうとしているところに一発の銃声が響き、追跡者が銃弾に倒れた。「誰だ!」銃声のした方を見ると、犯人が逃げるところであった。犯人は早風青年と追跡者を追っていたバイク野郎であった。

 

追えよ!!!

 

バイク野郎は口を割らせないように仲間を殺したと思われるが、そんなら早風青年を狙えば話が早いのに、バカではなかろうか?

 

研究所に戻った早風青年は川中博士に報告する。早風青年は何か巨大な陰謀が隠れている気がする、という。博士は「私もそう思う」で済ませて、「ではどうすればよいか」というソリューションの提案は全然出来ないのであった。かわりに早風青年がある提案をする。研究所には実はレダ2号とレダ3号があって、それらを使う囮作戦である。えっ、有人ロケットがあと2機もあるの?しかも囮に使うの?もったいなくね?しかし博士はその作戦をあっさり承諾。善は急げってんで、さっそく国際宇宙科学局へロケット打ち上げを連絡する。

 

一方、博士が能天気に使っている無線連絡を傍受している組織があった。悪の組織である。

 

分かりやすい悪の組織

 

悪の組織はグレトデモン閣下が率いるデモン帝国である。悪の組織はどうやら支部があるらしく、ここはコブラ・ヘッドが仕切る悪の組織の支部である。コブラ・ヘッドとグレトデモン閣下がTV電話(またかよ!)している後ろで、下っ端の手下が「なあ、おまえグレトデモン閣下の顔みたことある?」「いや、見たことない」「誰も見たことないって」「それどころか、どこを拠点にしてるのか誰も知らないって」などと私語をかましており、悪の事務所といえどもなかなかユルイ職場のようだ。

 

人民服っぽい制服は支給だろうか?

 

グレトデモン閣下との通話が終わったコブラ・ヘッドのもとへ部下がやってきて「グッドニュースです!」と言っている。日本語に訳すと「良い知らせです!」である。で、なにが良い知らせなのかというと、なにやら武器が完成したらしいのだ。報告を聞いたコブラ・ヘッドは「ナイス!」と答えた。なんだ、こいつら・・・。

こいつらの会話には偽物臭い英単語をちょくちょく入れてきて胡散臭いったらありゃしない。しかしまあ、悪の組織だから胡散臭いのは当たり前なのか。っつーか、妙な英単語以外は日本語だし、グレトデモン閣下も日本語だったし、もしかしてこいつら日本人じゃね?という疑惑が湧いてくるが、日本語の出来る宇宙人かもしれず、ここはひとつ特撮ってことで気にしないことにする。

さて、完成した武器は「レイガン(光線銃)」であった。コブラ・ヘッドはさっそく威力を試すことにした。しかし試す場所ってーのが・・・

 

屋内かよ!狭いよ!

 

これ、事務所の廊下だよな?なんか狭いし荷物とか置いてあるし、言っちゃ悪いが悪の組織って貧乏なの?だから一発逆転を狙って世界征服とか言ってんの?ってゆーか、レイガンを廊下で試すのって危なくね?と考えている間に、レイガンのテストは成功し、コブラ・ヘッドと部下たちは喜ぶのであった。事務所の廊下で。ああ、なんか見てて切ないな・・・。

 

貧乏な悪の組織が事務所の廊下でレイガンの試し打ちをしているとは露知らず、アンドロメダ宇宙研究所ではレダ2号を計画通り打ち上げた。パイロットは早風青年である。レダ2号は大気圏を突破し無事宇宙空間に脱出、レダ1号と同じ軌道に乗った。このままではまた宇宙ホタル群に突っ込み爆発するぞ!と危ぶんでいたら案の定宇宙ホタル群に突っ込み爆発するレダ2号。

 

はっ、早風青年がっ!

 

小型宇宙船でレダ2号を尾行していたデモン帝国の乗組員は「成功しました!」とコブラ・ヘッドに報告する。
そう、デモン帝国はわざわざ宇宙空間まで出張ってきて邪魔をしていたのである。ってゆーか、宇宙ホタルそのものがデモン帝国の罠であった。ってゆーか、宇宙に宇宙ホタルっていう何かをどうにかした爆発物を仕掛けるほどの技術があれば、狭い事務所に逼迫して荷物の置いてある廊下でわざわざレイガンのテストをしなくてもいい気がするのだが。

 

やる気のなさそうなコブラ・ヘッドの部下

 

コブラ・ヘッの部下たちはレダ2号も爆発したし上司へ報告もしたし、これでミッション完了!のはずだったが、別の宇宙艇が現れた。レダ3号である。「えっ?(聞いていない)」と驚いているデモン帝国の宇宙艇に交信が入り、スクリーンに何者かが映った。

 

お前もやる気ねえだろ

 

謎の男は「宇宙ホタルで爆発したのは囮に使ったレダ2号。お前らの犯罪はこの目でしかと見届けた」みたいなことを言うもんだから、ここから宇宙空間で熱いバトルが始まるのかと思いきや、特にそういったバトルもなく、謎の男が操縦するレダ3号がデモン帝国の宇宙艇をゆるゆると宇宙ホタル群に追い込み自爆させたのであった。

 

ちょっとスピードなさ過ぎて何やってんのか分からず

 

で、その映像がアンドロメダ研究所にライブ送信されており、博士をはじめとする研究所の面々はTV電話の前で手に汗握ってハラハラしているだけという、観賞者である我々にしてみれば誠に面白みのない映像なのである。

 

お前らTV電話を囲むことしかしてないじゃん!

 

よく分からんまま終結し、残ったのは謎の男である。一体誰なんだ?達夫少年が誰何すると「私の名は宇宙Gメン、早風君の友達です」と謎の男は謎の言葉を残して終わるのであった。ってか、おまえ早風青年だろ!気付けよ、博士もよ!だいたいレダ2号のパイロットは早風青年じゃん!囮作戦って最初から分かってたんだから、レダ2号に搭乗しなくてレダ3号に搭乗しただけだろ?なんで誰もそこを突っ込まないんだ!

 

「僕は宇宙Gメンです」

 

-完-

 

1963年に制作されたSF宇宙活劇、子供向け30分番組である。一応特撮の範疇に入ると思う。

 

ある意味、お宝

 

一話だけで判断するのは早急かも知れんが、マダムは一話見ただけで「とんでもない駄作だ」と思った。とにかくテンポが悪い。元のフィルムが古いせいもあるだろうが音声が非常に聞き取りにくい。キャメラワークが凡庸。魅力的な人物がひとりもいない。SF宇宙活劇のくせに宇宙空間の描写が非常に甘い。甘いのは宇宙だけではなく、研究所と悪の組織事務所も甘い。大甘だ!

 

唯一研究所っぽいシーンはこれだけ

 

そしてバトルシーン。ってゆーかバトルらしいバトルが全くないとはどういうことだ。活劇を標榜する作品としては致命的ではなかろうか?一番盛り上がるべき最後のバトルシーンも、映るのは船内で操縦桿を操る宇宙Gメンと、船内で必死の表情を見せるデモン帝国の部下たちだけ。しかも全部正面撮り。少しは考えろよ!

 

こいつがずっと魚群探知機みたいなのを操ってて気になった

 

キャメラワークがクソなので俳優の演技力でカバー(出来てない)

 

お前も少しは動けよ!ずっとこっち見てんじゃねえよ!

 

キャメラワークが全然ないことが、こんなに飽きるものだとは思わなかった。それを考えると、実相寺昭雄はやはり天才なんだなあ、と改めて感じ入る。
まあ、とにかく、全体的に気合が足らんのだ。足らんのは気合だけではなく、いろいろと考える余地がある。あり過ぎる。というわけで、これから一話一話を紹介しながら「いかに面白くないか」「なぜ面白くないのか」を検証していきたい。

と思って「宇宙Gメン」というカテゴリまで作ったのだが、なんかもう今回だけで挫けそう・・・。


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