逆流性食道炎の治療ですが、まず大事なのは前回の記事のような、食事や姿勢など逆流性食道炎をおこしやすい生活習慣を改善していくことです。ただし、それだけでは症状が完全になくなるのは難しく、薬による治療が必要です。ほとんどの患者さんは、薬によりすみやかに改善します。ただ症状がなくなっても、食道の炎症やびらん、潰瘍などは、残っておりしばらく薬は飲み続ける必要があります。また、現在一般に使用されている薬は、胃から食道へ逆流する胃酸を根本的になおす薬ではないため、薬をやめてしまうと症状が再度出現する場合は、しばらく飲み続ける必要があります。

一般に使われる薬は、胃酸を抑える薬です。

1プロトンポンプ阻害剤(PPI)

胃の分泌腺の、壁細胞にある胃酸を分泌する最終段階のプロトンポンプを阻害し胃酸を抑制する薬で、もっとも効果がある薬です。当然症状がある場合には使われますが、再発を繰り返す場合にも維持療法として使われます。

2ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカ-)

胃の分泌腺にある壁細胞に、ヒスタミンが結合すると胃酸が分泌されるH2受容体があり、そこを拮抗して働き胃酸の分泌を抑える薬です。逆流性食道炎の半数の人に効くといわれております。

3粘膜保護剤(アルギン酸ナトリウム)

食道粘膜を覆い、逆流してきた胃酸から食道を守り、炎症の改善を行う薬です。

単独では効果が少なく、胃酸を抑える薬と併用し使われることが多いです。

4制酸薬(水酸化アルミニウムゲル、水酸化マグネシウムなど)

胃酸を中和して食道粘膜が傷害される程度を軽くする薬です。

その他食道、胃の運動を改善し、逆流を少なくする目的で、消化管運動賦活剤を使う場合もあります。

また内視鏡で、噴門部(食道と胃の境目)を縦に縫縮して逆流防のための「こぶ」を作り逆流を防ぐ方法もあります。

逆流性食道炎は、適切な治療で治る病気ですので、主治医の先生にご相談してください。