サッカー審判TIPS(730) VARの功罪
ACLの準決勝でヴィッセル神戸が蔚山現代に敗れた試合の結果をネットニュースで見た。
VARの介入により神戸の追加点が取り消されたそうだ。
後日テレビのニュースで映像が流れたのでどういう状況だったのか確認できた。
その経緯は、神戸が中盤で相手からボールを奪ったことから始まる。
そのボールが前線に持ち込まれ、シュートにまでこぎつける。こぼれ球を押し込んで、見事な1点をもぎ取ったかに見えた。
しかしここでVARのお節介が入る。問題は主審がそれを採用してゴールが取り消しになったということだ。
VARが主審にアシストをするとしたら①得点かどうか、②PKかどうか、③退場に値するプレーか、④カード提示の競技者間違いに限られている。中盤での接触プレーが反則だったかどうかなど重大な見逃しとは言えないようなプレーにまでロールバックしてアシストするなど余計なお世話だ。主審は映像を見るまでもなくそんなに遡るシーンのリプレイチェックは行わないとはねつけてほしかった。
中盤でボールを奪った場面は神戸の選手の足が相手の足とボールに同時に当たっているように見える。
これが同時なのか、足を先に蹴っているのかそしてそのプレーの悪質度が高いのかによっては主審がVARの意見を採用して映像チェックしてもよいだろう。しかしこのプレーは明確に足に行っているわけではなく微妙なコンタクトの範囲を出ない。そして得点を取り消さなければならないほどの悪質度ではない。
そしてその時の主審の位置もハーフウェーライン付近にいて、コンタクトがよく見えている場所だった。
そのコンタクトの際に笛を吹かずに流した自分の判断をひっくり返させるようなお節介なVARは拒否すべきだろう。接触プレーの判定は済んで時間にして3プレーも4プレーも先に、距離にしても30m以上進んでいるのだ。
一方、正しいVARの介入もあった。
やはり神戸の試合なのだが、準々決勝スーウォンサムスン戦。
西大伍がゴール前で倒されてPKが宣告された。倒したDFにイエローカードだ。
なぜイエローか。抜けだしたらペナルティエリア内でGKと1対1になる決定的得点機会を阻止した(DOGSO)ため、通常のDOGSOならばレッドカードになるところだが、ペナルティエリア内の場合は退場、次節出場停止、PK献上という三重罰を避けるためにイエローに軽減されたものだ。
ここでVARが入る。
DFの足がかかったのは微妙にペナルティエリアの外。
これはPKではなくフリーキックとなる。しかしながら決定的得点機会の阻止には変わりがない。そこでレッドカードとなったのである。PKではないから三重罰とはならない。そして同時にカード提示の競技者違いもVARから指摘されたそうである。
「PK&黄」から「FK&赤」へ、ということだ。
VARが介入すべき4つの事象のうち2つを指摘した、まあこれはVARが機能した例だろう。
古橋のFKがゴールになってよかったよ。