サッカー審判TIPS(721) アドバンテージ見逃し | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(721) アドバンテージ見逃し

 

最近の自分の主審活動での出来事。晒すのは気が重いが、皆さまの参考に。

 

青チームのトップに縦パスが入る。トップの選手が下がって受け、ワンツーとして前方へはたいた。

その瞬間、赤チームのDFのスライディングが足にかかり倒された。思わず「ピーッ」と笛を吹き駆け寄る。

「エ~ッ?」と声が上がったのは笛を吹かれた赤の守備側ではなく、フリーキックを得た攻撃側の青であった。

何?と思って急いでボールの行方を追うと、パスを出した選手がディフェンスラインの裏に抜けだして、

倒された選手からの見事なワンツーパスを受けGKと1対1になろうとしていたところだった。

「やば!アドバンテージを取るべきだった」と思ったが、プレーを止めてしまったので後戻りはできない。

青チームから「流してよー」「ウソだろー」と不満の声が出る。

そうは言ってもファウルを取ったのはミスジャッジではない。気の毒だが、判定を覆すわけにはいかないので

抗議には耳を傾けずフリーキックの位置に立つ。

もちろん選手たちも文句を言ったところで判定が変わらないことはわかっているので渋々フリーキックの準備を行う。一人の選手が「フリーキックにするなら今のスライディングはイエローですよね」と言ってきた。

 

結果としてはその質問に答えることなくフリーキックを蹴らせることで試合を進行させた。

(得点にはならなかった)

 

さて、反省点としては

※笛のタイミングが遅れがちだと選手の不満が溜まることもあり、ついつい早めに吹こうとしてしまう。

 しかし、ファウルがあったからと言って即座に笛を吹かない方が良いケースがある。今回がまさにこれ。

 縦パスを入れた選手がワンツーで抜け出そうとしているという意図を読み、そのワンツーがファウルにより

 失敗したならば笛を吹くということを意識したい。反則という現象だけでなくプレーの意図まで考慮するべし。

 

そして、この場合イエローカードが必要かどうか。

※ファウル自体はよくあるトリッピングで、悪質度は高くない。ボールを止めようとして足をかけてしまったと

 いう普通のファウルとみた。このファウルだけだったらカードの対象ではない。

 でもこのファウルがなかったらワンツーで抜け出した選手がGKと1対1になっていた。「決定的な得点機会 

 の阻止(DOGSO)」ではないかと言いたいのもわかる。

 私が思うに、ワンツーで抜け出そうと走りこんだ選手を倒したのであれば警告対象だと思うが、パスを

 受けた選手を倒した反則はDOGSOにはならないのではないだろうか。

 大きなチャンスの阻止であってもボールにチャレンジしていてゴールからの距離も割と離れているから

 である。なのでアドバンテージを適用してあげられなかったという気の毒さはあっても普通にフリーキック

 で再開した私の措置は満点ではないが間違いではないのではと自己弁護。

 

どうすればよかったか。

※アドバンテージで流せば良かったと理解した時点で不満を言う青チームの選手たちに「ゴメンゴメン、

 アドバンテージ取ってあげられなくて」と一言投げておけばよかった。審判も人間だから完璧ではないという

 ことはわかっているのだからゴメンと言われたら「しょうがないな」と思ってもらい、以後の判定もやりやすく

 なる。このあたりのコミュニケーション力は今後の課題だ。