サッカー審判TIPS(718) 「笛で再開」の周知 | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(718) 「笛で再開」の周知

日曜日の試合で主審を担当した際の出来事。
ファウルがあり、フリーキックを与えた。場所はペナルティエリアの外だがゴールを直接狙える。壁がボール前に立っていたので、キッカーに笛を指さし、「笛で再開だよ」と言って壁を下げさせるセレモニー。
前半だけでこんなシーンがどちらのチームにもあった。
ハーフタイムで本部に戻ろうとするときにある選手に呼び止められ、「フリーキックが蹴られるのを止めるときは笛を吹いて合図をしてから壁を下げさせてくれませんか。いつ蹴られるのか、準備しないといけないのかどうか、がわからないから。」
と言われた。
想定外の質問や依頼を受けると頭がパニックを起こす。
言われてみればそうかもしれないが、いちいち笛を吹いてからセレモニー開始だっけ?と回答に窮す。
キッカーには「笛で」と言って止めているのでいきなり蹴られることはないがピッチにいる皆が認識してはいないだろう。
「あ、そう。キッカーには言っているけどもう少し大きな声で言おうか」と思わず回答。「お願いします」と言われてその場は終わった。

ボールがセットされ、壁が下がっていなかった場合、私は通常はこうしている。

顔の高さくらいまで笛を上げ、指さしながら「笛で再開します」とキッカーに言ってから壁を下げさせるセレモニーに入る。壁に入っている競技者にも聞こえているので、主審の笛が鳴るまで蹴ることはできないから安心して壁の位置を調整しながら下がる。主審が壁を下げさせている間に蹴ったらやり直しだ。だから周囲の選手も主審が笛で再開と言ったかどうか聞こえてなくても「まだ蹴られないな」とわかるはず。

壁が下がろうとしていなかった場合は、依頼されたように、短く笛を吹いてからセレモニーに移ったほうがよかっただろうか。
そもそもクイックで再開したい意志があるかもしれないからどんな場合でもすぐにセレモニーではないね。

キッカー側から壁が近いというアピールがあってからでもよいだろう。それならば双方ともセレモニー中にはプレーが再開しないのは明らかだからだ。
競技規則では笛の乱用は避けるべきと記載があり、ファウルがあり審判がプレーを止めた場合でもいちいち再開のための合図はしていないケースは多い。

ということでとりあえずの結論。
フリーキックが行われる場合、まずはキッカーがクイックで蹴るかどうか様子を見る。(ここが今回不十分だったかもしれない)
「壁が近い」とアピールがあったらここで「ピピッ」と短く吹いてからボールに寄り、頭上に上げた笛を指さして「笛で再開します」とキッカーと壁に聞こえるように言う。
そしてセレモニー終了後、主審が良い位置に移動してから笛を吹く。こういう手順にしようと思う。
 

とここまで書いて念のため2019/2020競技規則を確認したら、その209ページに書いてあった。

主審は、プレーの再開を待たせたいとき(例えば、フリーキックのとき守備側競技者に9.15mの距離を守らせるとき)、笛によるシグナルを待つよう攻撃側競技者にはっきり伝えなければならない。

つまり、私が試合中に行った通りでよかったのだ。セレモニー開始前に笛を吹く必要はない。攻撃側競技者が笛の合図を待ってキックすることが守られるはずなのでセレモニー中は皆が安心して待てばよい。