サッカー審判TIPS(705) 時計を止めろ | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(705)
時計を止めろ!?
 
審判仲間から聞いた話。
あるチームがコーナーキックを蹴ろうとしたとき、主審がキッカーの膝から
出血していることに気がついた。
そこで選手にベンチに戻って治療をするように指示した。
選手がベンチに戻ってくる際にベンチの監督が主審に「時計を止めて」と叫ぶ。
そりゃー、コーナーキックを蹴る選手はチーム戦術で決めているのかもしれないが
これは対応できない。
 
まず怪我の治療の基本。
(1)けが人の様子を見て、次のアウトオブプレーまで待っても大丈夫か、すぐに治療をしないといけないか判断。
(2)アウトオブプレーになったら(あるいは笛で止めたら)時計を止め、けが人の様子を確認。
 (確認作業にはあまり時間をかけない)
(3)けが人はピッチの外に出す(あるいは自力で出る)。ピッチの外で治療をするのが原則。
(4)自力で歩けない、立てない場合は主審の指示でコーチや監督、医師がピッチに入り怪我の様子を確認する。
(5)動かせるのであれば担架あるいは仲間の肩を借りたり、子供だったら背負われてとにかくピッチから出す。
 ※ピッチから出たらスローイン、ゴールキック、あるいはドロップボールで再開。時計を動かすのを忘れずに。
(6)ここまではフィールドプレーヤーの話。けが人がゴールキーパーの場合は、治療はピッチ内で行なう。
 もちろん時計を止めたままで、治療が終わってプレー続行が確認できるか、あるいはゴールキーパーが交代
 で入るまで待つ。
 ※この違いは、フィールドプレーヤーであればあるポジションの選手が抜けても他の選手でカバーすることが
  できるがゴールキーパーという専門職の場合は怪我の治療を終えるまで他のポジションの選手が着替えて
  代わりに守ったりなどという運用が困難だからと理解している。
(7)上記のように、フィールドプレーヤーは治療のためにいったんピッチから離れることになっており、離れたら
 速やかにプレーが再開される。そして治療が終わり、主審が止血を確認したら(あるいは副審が確認したことを
 主審に伝えたら)主審の指示で試合に復帰する、という手順だ。
 
したがって、治療を受けるのがいかにキープレーヤーで、中心選手でキャプテンであろうとその止血治療のために時計を止めるという特別対応はしてもらえないのだ。
 
では、7人で戦っている試合で治療のためにピッチの外に出なければならないことになった場合はどうなるのだろう。1人抜けた段階で試合が成立できなくなり敗戦となるのだろうか。
かといって出血したままプレーを続けるのは望ましくない。
 
このような場合は止血やコールドスプレーなどの短い時間の治療についてはベンチ前のタッチライン上で治療を受けさせるという運用が良いのではないかと(私は)思う。
しかしながらいったんベンチに下がって治療を受けなければならないような怪我の場合は、残念ながらそこで試合終了となるのではないか。
どなたかご経験のある方はいらっしゃいますか。