サッカー審判TIPS(605)
GKのマーキング
中学生の試合を吹いているときだった。
前半最初のゴールキック。
キック力のあるディフェンダーにゴールキックを蹴らせることにして、そのディフェンダーがボールを持ってきてセットしている間にGK君はゴールエリアに足で線を引き始めた。
土のグランドだから靴の底で線が引ける。
ゴールエリアのちょうど真ん中に縦に線を引こうとしたのだ。
これを見つけたKenKen主審、笛を吹いてゴールキックをしようとした選手の動作を止め、ゴールエリアに走り寄る。
ディフェンダーの選手、自分が何か間違ったことをしたのかとビビっていたが、私がゴールキーパーに向かったのを見て一安心。
そしてゴールキーパー君はなぜ自分が笛を吹かれたのかわからずキョトンとしていた。
競技規則のガイドラインのところに、規則で定められた以外のマークを足でつけた選手は警告されなければならないとある。
それは知っていたが、実はカードを出すのをためらってしまった。
きっとこの選手は足で線を引くことはだめだと教えられていないのだろうな。
でもルールに則って警告しなければならないだろうし。
しかし教育的見地からまずは注意ですませようか。
指導者も含め、このグランドにいる人のうちこの行為が警告に値することを知っている人が何人いるだろう。
主審の独り舞台になりかねないなーという考えも少し頭をかすめた。
結局注意で留め、「勝手に線を引くことは警告対象だよ。気をつけなさい」と言って済ませてしまった。
たとえ周囲が知らないルールでもサッカー普及のため、そして少年たちがこの先つまらないことで警告をもらわないようにするためにもちゃんとルールを適用してイエローカードを出しておくべきだったかと今でも悩んでいる。