サッカー審判TIPS(298) 英語の必要性は? | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(298)
英語の必要性は?

10年ほど前の審判講習会でのこと。
海外で笛を吹いた経験を持つ国際審判のT氏が講演。
外国の選手に対して毅然とした態度で判定したり、騒然となったスタジアムで試合を打ち切る判断を下したり、との話をビデオ映像を交えて興味深く話してくれた。

最後に質疑応答のときにKYな質問が出た。

「国際試合を吹くのに英検は何級を持っていればいいですか?」

これには一同カックン。失笑も漏れる。
質問を受けたT氏も困ってしまった。
「英検の資格を持っているからといってサッカーの審判がちゃんとできるというものではありません。逆に英語がカタコトでも自信を持って判定できるかどうかということの方が大事です」
というような趣旨のコメントを述べられた。模範的な回答だ。

ところが質問氏、さらに食い下がる。
「わかりました。でも例えば何級くらいが必要なのでしょうか」

会場には一気にしらけ鳥が飛び立った。

T氏、なんと答えたのか今となっては記憶があやふやだが、
「ご自分で満足できるくらいでよいのではないか」のような回答をしたと思う。

国際審判に同行したり直接話を聞いたりする機会がないので推測ではあるが、サッカーの試合で使われる英語はそれほど多くはないのではないか。
最近は3人または4人のセットを同国人で、あるいは同じ言語を話す人で組むようになっているので、意思の疎通に問題はない。
審判同士はそれでもよいだろう。
選手に対して、ベンチの監督に対して(これは第4の審判の方が機会が多いだろう)、また本部や主催者に対しての説明や指示で英語は必須となる。
カタコトでもよいし、敬語を交えた品格のある表現である必要はない。
ただ、あまりにひどいスラングでは逆に選手がエキサイトしてしまうこともあると思われるので(例えば、Shut up!とかGet away!など)大人の英語を話すよう心がけたい。
(Calm down, please.-落ち着きなさい-、とかね)

ま、電話やメールではなく直接顔を合わせて会話できるので言葉が足りない分は表情や身振りで補えばよいだろう。
強く注意したい場合などは日本語で怒鳴るのも構わないと思う。

距離が近くて「離れなさい」と言いたいとき、「えーと英語で何と言うんだろう」などと考えている時間があったら「はい離れて離れて」と日本語で言いながら手で「シッシッ」と追い払うような仕草をすれば十分に通じる。

ちなみに離れるように指示するときは手のひらを下に向けてシッシッとやるのは万国共通かと思うが、逆こちらに呼ぶときは手のひらを上に向けなければならない。
日本でよくやる手のひらを下に向けての「おいでおいで」は外国では「あっちに行きなさい」と取られる。

まぁ、こんな感じのやり取りなのだから英検1級である必要はないだろう。
ただ、試合以外のところで外国人とのコミュニケーションが取れる必要があるので、例えば滞在中のホテルや移動、現地の役員との打合せなど、日常会話くらいはできるようになりたいところだ。

よく、他人が英語を話しているのを聞いて「あ、表現が違っている」とか「文法がおかしい」と批評するような聞き方をする人がいるが、黙って聞いていて正しい英語が頭に浮かんでいたとしても相手にはそれが見えないのだから、文法が違っていても、声に出してしゃべる方が「こいつは自分の言葉で話せるヤツだ」とガイジンからの評価は高くなる。

間違いを恐れずどんどんしゃべるべきだ。

な~んて、英語のレッスンブログみたい。