サッカー審判TIPS(76)
味方同士の蹴り合い
今回は私が主審をしていた中での最大のトラブルの話。
社会人リーグ(東京都リーグ)の試合でのこと。
一方のチームには数人の外国人がいた。
シュートを外した外国人選手に、チームメイトの別な外国人が文句を言った。
すると、文句を言われた選手がつかつかと文句を言った選手に近寄ってきて面と向かって言い返し始めた。今にも顔がくっつきそうな剣幕だ。
主審としては喧嘩の仲裁に入らなければならない。
2人の間に体を差し入れ、「落ち着け」(Calm down)と宥める。
ところが言い合いながらアツくなった2人はあろうことか主審の私の横から足を出して私の後ろ側にいる
相手に対して蹴りを入れようとし始めた。
ヤバイと思いつつ、ボールの在り処が気になった。ゴールキックを左サイドで受けた相手チームのDFがドリブルで持って上がろうとしていた。
とりあえず2人の間から「ボール止めて!」と叫んだ。DFがボールをタッチラインの外に出したのが見えた。
さて、喧嘩はどうなった?
さすがにチームメイトが止めに入って2人を引き剥がして喧嘩は中断。
では問題。この時の判定や再開方法はどうなるのでしょうか。
私は半分パニックに陥りながら、2人にそれぞれイエローカードを提示した。
そして、スローインをしようとする選手を制し、「ボール止めて!」と言ったときにボールがあった
付近からボールを出したDFに間接FKをさせて再開した。
後で都リーグの本部から言われた。
「災難だったね。でもあれは暴力行為だから2人とも退場だよ」
あ、そうか。
相手選手や審判に対してだけではなく、味方選手への暴行も退場処分だ。
予想外のことが起きるとこんな簡単な判定も間違えてしまう。
気をつけねば。
ただし、こういう経験をしたので今後同様のケースがあった場合は間違いなく対応できる。
そしてこれを読んだあなたも間違えずに処置ができることになります。