サッカー審判TIPS(74)
質問に答える
笛を吹き、プレーを止めファウルの判定を下す。
ファウルを取られたほうは確信犯的なファウルでなければ、「えっ、今のがファウルかよ」という不満そうな顔をする。ファウルをするつもりでなくボールを取ろうとして相手をつまずかせたような場合、「これはわざとじゃない」という思いがあるから、それに対してファウルを取られると一気にストレスが溜まる。
そうすると、こういう言動が出てくる。
「主審、今のは何のファウルなんですか」
口をとがらせていかにも不満そうに聞いてくる。
一度こう答えたことがある。
「異議は認めませんからね。警告になりますよ」
すると、
「異議ではなく質問です。何のファウルなんですか」
さて、どうしますか?
私の取った行動は以下の通りでした。
「質問に答える必要はありません。今のはファウルです。判定は変わりません」
素っ気無いなー。不親切やなー。
と思われるかもしれません。
しかし、審判は判定の解説をする必要はないのです。
説明を求められてもそれに答える必要はありません。
それどころかルールブックには「判定の説明になるようなジェスチャーも必要ない」という趣旨のことまで書かれています。
判定の説明になるようなジェスチャーとはどういうものかというと、これは私の想像だが、例えばハンドリングの反則があったときに右手で自分の左腕をポンポンと叩いたり、ホールディングの反則を取ったときに自分の審判服を引っ張ってみたり、などということであろうと思う。
これって私はできるだけ行なおうとしている。
確かに説明する必要はないのだが、これを行なうことによって周囲の選手もベンチも観客もどうして今の笛がなったのかがわかるので良いだろうと思ってのことである。
俺さまの判定は絶対なのだ、間違いはないのだから黙って従っていればよいのだ、という威張りくさった気持ちではいかんと思っている。
そしてジェスチャーだけでなく声も併用するようにしている。
「はい、ユニフォーム引っ張っちゃだめだよ」とか「ちょっと足を高く上げすぎたね」とか。
仏頂面で無言の審判でも試合は成り立つが、プロの審判も選手と声を交わしながら試合をコントロールしているとのことなので適度にしゃべることも大切であると思う。
じゃぁ、上に書いたように質問への回答を拒否したのはコミュニケーションを拒絶していることにならないかい?
ん~、そうだなー。
あくまでも判定の説明はこちらから一方的に行なっているので自分が説明するつもりの内容以上の情報提供をする必要はないと思うのだ。一人に対して質問に答えたらそれ以降他の選手から説明を求められたら断れなくなる。
だからこちらから説明をすることはあっても質問に答えることはしない、ということでどうだろう。
また先のケースでは、質問をしてきた選手がいつも文句ばかり言うクレームの常習者ということもあったのだ。(文京区リーグのとあるチームの●番の選手、キミだよ) ←番号伏字にしました(笑) 2007/11/02 14:47
こちらも人間だ。そういうヤツの質問にまともに答えていたら試合がヘンになると思ったら無視したくなるのもやむを得まい。
ではでは。