サッカー審判TIPS(45) 判定には耳も使う | サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー審判TIPS(45)

判定には耳も使う

副審はオフサイドラインの監視とともにタッチラインの監視も同時に行なうケースに遭遇する。
自分の側のタッチラインをボールを持った選手が上がってくる。ディフェンスが寄せに行く。
DFが体を寄せて行くところをFWはかわして抜こうとする。
ディフェンスが蹴りだすか、FWがミスってタッチを割るか、副審としてはよく見極めなければならない。
ボールが完全にラインを割るかどうかは前方に先回りして前から見ておかないと正確な判定はできない。

一方、ボールを持った選手は中へクロスを上げるとか、前方へ走りこむ選手にパスを出そうと狙うことも
ある。
タッチラインの監視をしながらオフサイドラインから前に出ている選手はいないか、キョロキョロと忙しい。本音を言うと、こちら側のタッチライン沿いに攻撃してほしくないよーと言いたくなる。

このような場合、タッチラインを割りそうな可能性がどの程度あるか判断する。
タッチラインからある程度内側に入っていたら、ボールを持った選手がミスってタッチを割る可能性は
低いので、もしボールが出たらDFが出したものとして右手で旗を上げるぞと決めてオフサイドラインを
監視する。
オフサイドラインの前に選手がいて、そいつがボールを要求していたとしよう。
そこにパスが出る確率は非常に高いと思われる。
オフサイドラインを見ながら左の耳でボールを蹴る音を感知しよう。
音がした瞬間にオフサイドラインを越えていたらそいつはオフサイドになる可能性がある。
この時点ではまだ旗は上げてはいけない。
音だけではそいつにパスが出たのかどうかわからないからだ。

そこでよく言われる wait and see 旗を上げるのを待ちまず見る、を実践することになる。
そいつにパスが出たのが間違いなければそこで旗を上げればよい。
守備側の選手やベンチが「旗上げるの遅いよー」と文句を言ったとしても動じてはいけない。
「ふふん。君達は wait and see を知らないのだろう。」と思っていればよい。
もし、そいつの方向ではないところにパスが出て、つまり例えばオフサイドポジションにいた選手は
フィールドの中央付近だとして、パスはタッチライン沿いに縦に出され、そこにオフサイドラインの
後ろから(二列目と表現される)飛び出した選手が受けた場合、旗を上げてはまずいことになる。
だからまず音を聴いて、次にボールがどこに飛んだかを見極めてから旗を上げるかプレーを追うかの
判断となる。

私が旗を振るような試合は観客の大声援で笛や旗の音がかき消されるということはないのでボールを
蹴る音や選手の異議もよく聴こえる。
応援がうるさいピッチで裁くJの審判はたいへんだろうと思う。