8月26日は、

以下の著書、『学力の経済学』
「学力」の経済学/ディスカヴァー・トゥエンティワン

で有名な中室牧子さんの講演を聞いておりました。




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会場の様子。


「リソース(税金)が限られているからこそエビデンスドベースドで政策を考えていかなければならない」
という言葉と、
(EBPの本論とは違いますが)
「アメリカの経営者になぜ成功したかをリサーチした→『自分の好きなことをした。』が最多。成功するかどうかは運だが、好きな仕事をするかどうかは自分次第。」
というのが印象的でした。


この時の話もよろしければ合わせてご覧ください。
当たり前だけどできていない。EBP。
エビデンスに基づく政策(Evidence-Based Policy)

エビデンスドベースドで政策を進めることは大事。

認知能力よりも非認知能力



常に、ナゼ?ナゼ?を考えておくこと。


学力の経済学を読んでいたので、
本の内容をなぞらえる感じではあるのですが、
新しい話もありました。

あと、しゃべるのがとにかく早かったです。


エビデンスドベースドで政策を進めていきたいですね。
あと、アメリカは義務教育段階で通信簿に
非認知能力の評価も入れているというのは、興味深いです。

===

日本の教育政策の問題点

「私の経験」による支配

個人の体験談は必ずしもあらわさない
例外的な出来事ほど衆目を集める傾向
科学的根拠とは個人の体験を大量に観察することによって得られる規則性

経済学者は分布をみる。
すそ野の方に例外がある。
例外事象を観察してるだけではないか。

経済学者は科学的根拠・エビデンス

学力の経済学
20万部売れている
羽田けいすけのスクラップアンドビルドが18万部。

どうすれば子どもの勉強時間が伸びるのか?
→父母の子供の学習へのかかわり方が子どもの学習時間を増加させる効果


お母さんが女子に勉強するように言うとマイナス効果。
父が男子の勉強を見るのが効果がある。

「勉強しなさい」は逆効果
ー経済学とは何か?
社会科学の「王様」
「インセンティブ」(=動機)のあるところに経済学あり

「インセンティブのメカニズム」を明らかにする

やばい経済学
学校の先生と相撲の力士どこが同じ?
→インチキをするインセンティブがある。
先生、テストの答えを書き換えている。
力士、8勝6敗の力士は7勝7敗の力士にわざと負けるインセンティブがある。

八百長をするやつが悪いのか?
→八百長をするインセンティブを与える「仕組み」が悪いのだ。
どのようなインセンティブが人の行動をどのように変えるのか。
これを解きあかすのが経済学。

勉強しなさいが逆効果なのであれば、
子どもが一生懸命勉強するような「仕組み」をつくる
「目の前のにんじん」作戦。



双曲割引→まぁ明日からでいいんじゃないかって思う気持ち。
物事を先送る傾向。
地域によって双曲割引の比率も違う。今の利益が高く見える。

今勉強するのは将来にとって大切なのだが、
将来の利益を過小評価するので、
逆に今勉強することのメリットを高める。


◎フライヤー教授の実験
教育生産関数、企業の生産活動と同じ考え方。
テストで90点取ったら2000円(アウトプットにご褒美)
本を一冊読んだら200円(インプットにご褒美)

◎実験の結果
インプットにご褒美を与えられた子どもの方が成績が改善した。
子どもの学習を指導するメンターが存在すればアウトプットにご褒美はうまくいく


◎ご褒美を与えると勉強するのが楽しいという気持ちを失ってしまうのでは?
外的インセンティブ(お金とか褒められるとか)
内的インセンティブ(自分で楽しくなる)

外的インセンティブを使うと内的インセンティブが失われるのではと。
そんなことがない。

◎お金はよいご褒美か?
小学生はお金よりもトロフィーに反応。
中高生以上はお金に反応

金融教育(=家計簿をつける、など)をセットにすると貯蓄率も上がる。


◎やる気の科学
サイエンスライター、ダニエルピンク「やる気に関する驚きの科学」テッドトーク
報酬って必ずしもうまくいくわけではない。


サイエンスライター、本格的な研究をわかりやすく伝える職業。


◎行動経済学者のラボ実験
MITの大学生に大して行った実験
単純作業では報酬はパフォーマンスをあげる
考える力を必要とするような作業では報酬は却ってパフォーマンスを下げる。
インドの発展途上国でも同様の結論

単純なルールと明確な答えがあるとき、目の前にある単純な仕事をこなすとき、
報酬は視野を狭め心を集中させる役割。

21世紀を生き抜くためには、
創造的で概念的で答えがない問題に答えを出す能力。
内的インセンティブを高めないといけない。

行動経済学ではやっていること
マスタリー:成長できている感覚
オートノミー:自主性
パーパス:公で役に立っている

日本ではエビデンスドベースドの政策決定が無いが、
ブッシュ政権下No Child Left Behind法
根拠がないと予算がつかない。

◎「エビデンス」とは
・数字で計測できている
・「因果関係」が明らか→読書好きが学力が高いのか、学力が高いから読書が好きか。これは因果関係が明らかではない。
・「階層」がある(RCTは信頼性が高い)

『貧乏人の経済学』の著者のバナジーとデュフロがRCTを実施しだした。


◎幼児教育の重要性
教育の収益率に対する大きな誤解。
実は最も収益率が高いのは修学全から小学校の低学年にかけて。
教育のシナジー効果(教育は積み重ねが大事だから)


ペリー幼稚園プログラムをやると、
後々の人生でも影響が出てくる。

4歳の時に投資した100円が65歳になって6000円から3万円の効果。
認知能力への影響力は限定的だが、非認知能力(=生きる力)の差は埋まらない。


◎非認知能力が将来の成功
マシュマロテスト
その場で食べるか15分我慢して2個目もらうか。
我慢したこの方が給与が高く、BMIが低く、薬物の使用経験も低かった。

非認知能力は鍛えて伸ばすことができる。

重要な非認知能力
└自制心
└やり抜く力(GRIT)


池田先生、自滅する選択


夏休みの宿題を最後まで残す人は大人になってもダイエットできず貯金できない。


しつけを受けた人は収入が高い。


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◎なぜエビデンスドベースドにならないのか?
自分の守備範囲じゃないことをしらないのに、エビデンスのないことを言いふらしている。
アメリカの社会はエビデンスドセンシティブ。
新聞とかニュースとかで根拠のないことを報道すると裁判沙汰。
社会としてリテラシーをあげていく。



◎ダニエルピンクのようなサイエンスライターが必要では?
絶対的に必要。
経済学のサイエンスライターが3人くらいしかいない。
広い守備範囲なのにアウトリーチができていない。

◎データ、アメリカが多い。日本はデータがとりにくい。でも財政のことを考えると無駄なお金をつかえない。EBPがドライブしていくためには?

アメリカではNOCHILD・・・でドライブした。
日本では財政の議論、予算が削られていくときにエビデンスがないとだめだ、となってくる。財政が危機的になってくると導入するようになってくるのでは。


日本では議会の三日前にエビデンスをくださいと。
それは無理。
ちゃんとしたエビデンスを取るには10年前から。
政府がインフラとして10年前からデータを構築する。

データがないとエビデンスが取れない。

◎非認知能力を高めるには?
背もたれに背をつけないと学力があがる。
普段意識しないとできないことをやると自制心があがる。

筋肉を鍛えるように精神を鍛える。

自制心を鍛えるのは、記録することが良い。
レコーディングダイエットをやることで、自制心が高まって、やせた。

◎自制心とやり抜く力、体育会はどうか?厳しいことをさせるのはどうか。
部活動、アウトドアのアクティブティ、サービスラーニング(ボランティア)で非認知能力の改善に見られた。間違っても座学で身につくことではないなと。トートバイサムバディ。非認知能力は誰かに教わるものではないかと。

◎相関ではなく因果である。因果か相関かを見極め方は?
難しいですね・・・。
事実と反事実を見る。
塾を行ったら学力があがったというのは、
塾に行かなかったら学力があがるという場合と比較する。
よく似た集団を比較する。
同じような性質を持っている人が○○しなかった人と比べる。

◎どういうふうに情報収集している?分析能力高めるには?
スピード違反をして免許講習をすることになって、
高齢者の免許返納が事故率を下げるというのは因果関係??
ていうの話をしたら学生に「病気っぽいですよ」と。
常に考えている。
自分の毎日起こることが分析の対象。没頭している。


◎ビックデータで因果関係なし、相関があればいい。そこにお金をつけていけばいい。
そもそも因果があってもなくてもいいじゃんと。そういうトレンドについては?

絶対だめで揺り戻しが来る。
クレジットカードの破産が起こる人をビックデータで解析した。
データ分析ではじいた。
予測の精度実績値に当てはめると高くない。
怪しいデータ分析をするとカードを発行できる人に発行できなくなる。


===
◎奨学金のいい制度?
メリットベースの奨学金
給付型奨学金をどう採用していくか。
制度設計の研究がされているのか、だれにどう給付するのがいいのか?
検証をしないといけない。
日本の大学教育とアメリカの大学教育の違い・・

生活保護世帯で大学行っているのは3000人。
そこに奨学金を出して。効果測定。

スピード感をもってやることも大事なので、
小さいところでパイロットテストをしていって広げていく。

リソースが限られているということでエビデンス。
教育に使われているお金、全然投資になっていないじゃんと。
英語教員の人件費3000億。
英語教員の英検1級取得率20%くらい。そういう人に学んだところで・・・。
エビデンスなき投資は税金を払っている人。
エビデンスがないことで大変な損失。


やり抜く力・GRIT
もともととの性質との相関がない。
学力との関係はなさそうだ。
心理学の研究ではマインドセットの持ち方。キャロルデュエック。グロースマインドセット=やればできると声をかける。



◎非認知能力の可視化
アメリカは通知表で学力テストだけではなく非認知能力も評価する。
非認知能力のスコアを自分で確認させてメルクマール。
アンケート調査。アンジェラダックス
アメリカの義務教育でやっている。

やり抜く力を数値化すると、やり抜く力がない人がはじかれる場合も。
倫理的な議論も。

女子は競争が嫌いで、男子は競争が好き。
かつ、社会的な環境によって変わる。
女子は昇格試験も受けない、男よりも。
能力の高い女性ほど競争回避傾向がある。

女子高出身は競争意欲が高い。
いろんな場面でチャレンジするのが大事。

生物学的に説明できる男女差と
環境的に説明できる男女差。

マサイ族は女性の地位が高いが、
マサイ族では逆の傾向。マサイ族は女性の方が競争意欲が高い。

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なぜ成功したか→「自分の好きなことをした。」
成功するかどうかは運だが、好きな仕事をするかどうかは自分次第。







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枚方市議会議員
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