思春期・子どものトリセツ講師
まず
学校が変わり、教科担任制になり、算数が数学に変わったり、部活が始まるなどの環境も変化します。
そして
思春期と呼ばれ、身体にも心にも大きな変化が起こるときです。
中学生となり、その視野が広がり
自分がどう見られているかなど、自分に対する疑問
周りの人や人間関係作りに対する不安
世の中の仕組みや道理についての疑問
親や教師に対する客観的視点からの疑問
将来への漠然とした不安
などを感じやすくなる時期でもあります。
つまり、中学生は、「環境」「心」「身体」「意識」が大きく変化する時期なのです。
いじめや体罰などの明確な原因があるという以外にも、漠然とした疑問や不安から不登校になってしまう。原因の分からないケースもあるようです。 「私たちが中学生の頃にも同じような変化や不安もあったと思いますが、不登校なんて考えていませんでした。学校に行くのは当たり前だと思っていましたよ。」
.「そうですね。私たちの時代は不登校の中学生は少なかったように感じますね。
.
インターネットなどの普及で情報が多く手に入る現代では、中学生の間に不登校の選択肢があるという認知が広まっているのも理由のひとつかもしれません。
「学校に行きたくない」と言われたら
中学生の子どもに「今日は学校に行きたくない」と言われたら、どうしていますか?」 「不登校なんてとんでもない!体調が悪いのでなければ「何言ってるの!行きなさい!」と言っています。
様子がおかしければ「何かあったの?」と聞いたりはしますけど・・・。」
. 「もちろん中学生なんだから学校に行っている方が安心だし、
本当に行けない理由があるならそれを聞きたいですよね。
では、中学生のお子さんの立場になって考えてみてください。
「学校に行きたくない」と言うときの気持ちはどうですか?
そのあとで、親から「何言ってるの!行きなさい!」と言われたときには
どう感じるでしょうか?
. 「あ、、、。そうですね。
「行きたくない」と言うときは、すこし勇気を出している感じ。
「行きなさい」と言われると、わかってもらえていないと感じて、がっかりしたような、悲しいような気持ちになりますね。
.
せっかく勇気を出して言葉にしてみたのに、突然否定されるのは悲しいものですね。
しかも、それが親からの否定であると、行き場がなくなってしまうような気持ちになるかもしれません。
だから、まずは親として
中学生になっても、言いづらい言葉が言える親子関係を作れていると気づいてください。
それに気が付いたら、
「そっか。行きたくないんだね。」
と、言葉にしてみてください。
不登校であるかどうかが、いいのか悪いのかなどは考えず
中学生の子どもの気持ちを受けとめましょう。
まずは「この子はそう思ってるんだ」と認める気持ちをもって接することが大切です。
そんなふうに子どもの気持ちを受け止めたあとで
「どうしたの?」
「なにがあった?」
と、落ち着いて聞いてみてください。
理由があって、子どもが相談したいと思っている場合は、ここで話ができるはずです。
この子もまだ中学生。
親を頼っていたい気持ちはあるものです。
<不登校に原因がある場合>
不登校の原因がいじめや体罰など、明らかに問題のある場合は、その解決に努めたり、その学校へ通い続けるかどうかを考え直してみる必要があります。
家庭だけで結果を出そうとせず、学校や専門機関へ相談しましょう。
そして
一見、親から見て「その程度で不登校?」と思う場合でも、
本人にとっては深刻な悩みかもしれません。
「そのくらいで、なんで行けんのよ!。」
と、さらに原因を追及するような質問をしても、子どもの口からは
言い訳に聞こえる言葉が出てきてしまう可能性が高くなります。
それよりも
「そうなのね。それが、どうだったら行ける?」と
行ける方法を探るように促してみましょう。
<不登校に原因がない場合>
思春期の中学生は先にお話しした通り、漠然とした悩みや不安や疑問から
自分でもよくわからないけれど、行きたくない。行けない。
という状態になるかもしれません。
この場合は、不登校になる原因を聞いても、学校へ行ける方法を探ってもうまく答えが出ないことも多いので、
心と身体を休ませてみるのも大切です。
また、中学生の不登校の原因のうち、約半数は起立性調節障害(OD)などの神経系の病気を合併しているというデータもあります。
親だけで解決しようとせず、病院を頼ってみるのも選択肢のひとつとして持ってみてください。
この場合も
理由を表現できないのにも関わらず、親に「行きたくない」という言葉を言える親子関係があることに気づきましょう。
それは、不登校力かもしれません
親にとっては中学生が学校に通うことが当たり前であるという思いがあれば、
自分の子どもが不登校になったとときに、不安や心配を感じるのは当然です。
では、どうして心配なのでしょうか。「中学生はみんな学校に行ってるのに、うちの子だけ不登校だなんておかしいですよね。
学校の友だちに変な目で見られないかとか、
高校や大学にに進学できるのかとか、
大人になってからもきちんと働けるのかとか、親としていろいろ考えちゃいます。 」
.「そうですよね。みんなが当たり前にやっているし、お母さんもさ学校に通ってに親なった んですもんね。」
.
では、ここで提案です。
「不登校になっている中学生は、不登校を選んでいる力がある。」
THE 不登校力
があるのだ。と考えてください。「え?不登校力?不登校って、諦めてやる気がない状態ですよね?
そんなものに力なんて必要ですか?」
.「そうですよね。
みんなが当たり前に登校しているのに、ひとりだけ不登校だと、
やる気がないようにも見えますね。」
.
しかし、ここには別の考え方もあるのです。
みんなが同じ行動をとっている状況で、ひとりだけ違う行動をする。
これには勇気が必要だとは思いませんか?
私は不登校の中学生を持つ親御さんたちと集まって話をしたことがありますが
やはり、ほとんどの子どもは
「中学生は、学校に行くものだ。」
「中学生は、学校に行かなけばいけない。」とは
「行けるものならば、行きたい。」とは
感じているようでした。
その中で不登校という選択をしようとしている状況なのです。
親にその気持ちを打ち明ける勇気や、
学校に行きたくない気持ちを行動に起こす力を持っていると捉えてみてください。
あなたのお子さんは、自分の意見を表現して行動に移せる【不登校力】を持っているのかもしれません。それって子どもが休みたいって言ったら、子どもの言いなりになるのがいいと言ってるんですか?
中学生に教育を受けさせる義務を放棄しろと言っているんですか?」
.「わ!
そう思わせてしまいましたか!!
そういうわけではないのです!!」
.
法律で定められているとおり、保護者には「子女に普通教育を受けさせる義務」があります。
とはいえ
1日休ませたくらいでは、その義務を放棄したことにはなりません。
そして、1日休めば子どもが学校に行こうと思える状況になることも多々あります。
まずは1日の欠席をきっかけに、不登校になることを不安に思わず
「今日休んだら、明日は行けそう?」と聞いてみたらどうでしょう。
その質問があると、子どもが気持ちを切り替えるための1日にしようとするかもしれませんね。
もしも子どもが
「行けないと思う。」
「わからない。」
などと答えた場合、そのまま
「そっか。行けない気がするんだね。」
「そうだね。わからないよね。」
と、子どもの言葉を繰り返して、その気持ちを受け止めましょう。
だけど、不安にもなるかもしれませんね。
だって、不登校の期間がそのまま続いたら、、、
1か月になったら?3か月になったら?1年になったら?
・・・と想像してしまって「子女に普通教育を受けさせる義務」を果たせなくなる日が来るかもしれない。と。
文科省は2016年に不登校の子どもたちの支援を進めることを目的にした
「教育機会確保法」という法律を施行しました。
これは、
「学校を休んでもよい」ということや
教育支援センターやフリースクール等の施設を利用などを含めた「学校以外の場の重要性」を認めた法律です。
Q.「休んでもよい」というのはどういうことですか?
A.不登校の子どもたちの中には、学校に行かなければと自分を追い込んでしまう場合があります。そんな状況でも保護者は、なかなか休ませると言い出しにくかったのを、
法律を根拠に堂々と「しばらく休ませる」と学校に言えるわけです。
休ませることを勧めにくかった先生にしても、「休むことを受け入れやすくなる」効果があります。子どもも保護者も何もせずに休むことを認めることで自分を否定しなくてもいい
自己肯定感につながります。
Q.そうなると、居場所としては、フリースクールなどの「学校以外の場」が重要になるわけですね?
A.その通りです。学びの場は、なにも学校に限ったわけではないということです。
フリースクールに通うこともそうですし、海外では家庭で親が勉強を教えることを義務教育の一環として認めている国もあります。
学校に通うのは親ではありません。
中学生くらいの年齢になれば、ある程度の自分の行動は自分で決められる力を持っており、その力を伸ばすことが自立につながります。
自分には学校には行きたくないと思っているのに
親のいう言葉を聞き、学校のいう通りにして学校に通う中学生が自立に向かっていると感じられるでしょうか。
学校に通うのは、子どもです。
まずは、短い期間で構いません。
その行動の選択権と責任を子どもに持たせてみるのも必要です。
<中学生が不登校をになったときの親の接し方>「そうは言っても、休んだらゴロゴロしているばかりだし、
1日中ゲームをしている状態なのは許せません。」
.「確かに、そうですよね。
では、中学生の子どもが不登校を選択し、その選択を親が尊重すると決めたとき、親のすべきことは何でしょうか。」
自分の子どもが不登校になると親としても不安です。
しかし、世の中には中学生の時代を不登校で過ごしていた人でも、
シアワセになっていたり成功したりしているケースはたくさんあるのも事実です。
そんな中学生に対して、親ができることを考えてみましょう。
親も子どもも不安を解消できる可能性を探す
中学生が不登校を選択したとき、不安なのは親だけではありません。
本当に一番不安を感じているのは、経験の少ない中学生である本人です。
親として、その不安な気持ちを受け止めた上で、前向きになれるような接し方ができたらいいですね。
例えば、子どもに対しても
「学校に行かなかったとしても、何があれば安心する?」
と聞いてみましょう。
そして、親自身も子どもが不登校を不安に思うだけでなく
「こうだったら安心できるかもしれない」というポイントを考えてみましょう。
不登校でもゲームをするのではなく、
自分で勉強できるなら安心かもしれません。
あとは自分のやりたいことを見つけて集中していたりとか
ボランティア活動とかに積極的に参加しているのもいいですね。
.「いいですね!!
中学生が自分の視野や可能性を広げる行動をしている!」
不安を感じているときもそうですが、中学生の時期は特にするべき行動が決まらないと、
自分で何かを考えたりするよりも、ゴロゴロして過ごしたり、テレビやゲームなどの安易でストレスのかかりにくい方法で時間を使ってしまいがちです。
つまりこれは
学校を休むとを決めたとしても、その次の行動をまだ決めていないのが原因。
子ども自身が何をしたらよいのかがわかっていないのです。
そんな中学生に対しては、こんな働きかけをしてみましょう。
①1日の過ごし方を決めさせる
子どもが不安を解消できる可能性を見つけたら、さらに聞いてみましょう。
「じゃぁ、学校を休んで、今日は何をする?」
すぐに大きな行動を起こす必要はありません。
まずは身体や心を休めたり、未来について考えたりすることでもよいと思います。
気分転換に映画を観たり、スポーツをしたりすることでもいいかもしれません。
子どもの中では、不登校ではあるけれど、勉強はしておきたい。塾には行きたい。
という気持ちもあるかもしれません。
もしかしたら、すでに明確に夢中になれることを わかっているかもしれません。
これ決めれば、ゴロゴロしたりゲームをやり続たりすることが
不登校の目的ではないとわかるはずです。
②親として選択肢を与える
行動を自分で決めるとはいえ、まだ中学生。
自分では決められないこともありますし、知らない世界も広くあります。
不登校の子がどんな生活をしているのかを一緒に調べ、
親が選択肢を与えてあげるのも必要です。
親も一緒になってフリースクール等の存在や情報、ボランティアの調べ方なども一緒に探してみるのもいいですね。
家庭を安心できる雰囲気にするのが親の務め
親自身が不登校に対して不安に思っていると、怒ってでも怒鳴ってでも家から外に出そうと思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、それでは子どもの安心できる場所がなくなってしまいます。
子どもにとって、家庭を安心できる雰囲気にすることこそが
学校や他人では絶対にできない、親だけができることなのです。
親も子どもも
笑って過ごせる雰囲気を作るように努めましょう。
不登校の悩みを親のチャンスとも捉える
子どもの不登校はチャンスです!
親が思っていた「中学生があたりまえに学校に行くこと」を子どもが選択しないという機会があれば、親自身にもまた、今まで知らなかった考え方や世界、生き方が見えてきます。
これは、親も子どもも視野や世界を広げるチャンス!
子どもが興味を持てる分野や集中できることを探せるチャンスであり、中学校以外の活動場所やコミュニティを見つけるチャンスです。
当たり前の枠にとらわれず、親自身と子どもの可能性を広げていきましょう。
不登校の中学生に対して親がすべきことをまとめると
①行きたくない気持ちを受け止める
②行ける方法を探してみる
③不安を解消できる可能性を考える
④学校に行かない代わりに何をするのかを決めさせる
⑤子どもの気づいていない選択肢を与える
⑥家庭を安心できる雰囲気にする
です。
中学生にとって、不登校は不幸なことではありません。
選択肢が多くなっている現代では、自分が違和感を感じたときに別の選択肢を探そうとする力や、自分の意思をもって選ぶ力の方がずっと大切です。
登校することも不登校をすることも
自分の意志で決められる子どもに成長していく姿を応援できる親でいたいものですね。
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